歯科領域というのは歯と歯肉、顎関節だけではありません顎骨、舌、頬粘膜、唾液腺、口蓋といった部位も含みます。これらは境界領域とも言われ、医科でも対応しています。
上記の部位に原因があって全身に症状が出た場合、その対応も歯科医が行う場合もあります。又、歯科大学、歯学部付属病院では入院患者の検査から全身麻酔まで歯科医が対応している場合がほとんどです。この場合、患者の周術期(手術前後)の全身管理は歯科麻酔科の歯科医が担当です。
例えば口腔癌の疑いで歯科大学付属病院を受診した場合、検査はすべて歯科医がします。CT,MRI,という通常の画像検査の他、造影、シンチグラフィーという特殊なものまでを含みます。最終診断である病理組織学的な診断も口腔病理科所属の歯科医が複数で診断します。ここで診断がつかない場合には他施設の歯科医、医師に相談する場合もあります。
手術時の麻酔も歯科医がします。又化学療法として抗癌剤投与も医科なら腫瘍内科医が行う専門的な行為なのですが、歯学部付属病院では口腔外科の歯科医が行います。疼痛緩和の麻薬管理もしかりです。いささか乱暴な話だと考えるのは私だけでしょうか。
話はそれますが、日本口腔外科学会所属の97㌫は歯科医師です。医師はわずか2㌫です。ですから口腔外科標榜している場合は、大病院であってもすべて歯科医である、と認識して受診したほうがよいと考えます。
私個人的には全身管理が必要な疾患が歯科医単独で行う事には否定的です。極端な話、歯科医は歯、歯肉、顎関節と噛み合わせに関する診断治療だけを行う事が良いと感じています。ただし顔面外傷や悪性腫瘍で噛み合わせが壊れた場合、その再建には歯科医しか手をだせません。噛み合わせ治療は歯科医単独の領域なのです。医科医師が行うと予後、患者は摂食に困る場合もあります。
画像の読影や病理診断は歯科医が行っても全く問題ありません。専門教育を受けた歯科医は頭頚部領域の診断に強いからです。しかし全身管理を歯科医が行うの事には抵抗があります。経験症例数が医科医師よりも少ないからです。夜間の某歯学部付属病院では信じられないような光景もありました
入院が必要な重篤な疾患でなくても、全身疾患が原因で口腔内に症状を出現している疑いがある口内炎ですら、私は耳鼻咽喉科受診を勧めています。歯科医や歯科口腔外科での見落としが怖いからではありません。もし入院治療が必要になった場合、ルートが歯学部付属病院関連へとつながってしまうからです。これを避けるためという理由です。
歯科領域に限らず初診医の選択は如何なる疾患でも重要です。診る方の責任も重いです。余談ですが「後医は名医」いう名言があります。
次回はもっと身近な「歯科医院の選び方」に触れていきます