【歯科の話・歯学教育②】 | we85のブログ

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糖質制限11年目となる歯科医です。歯科界の歪み、私自身の日々などを書いています。ベールに包まれた歯科医師国家試験の現状についても追求。

歯科と言っても細分化されています。現在歯科医師が標榜できるのは1歯科、2小児歯科、3矯正歯科、4歯科口腔外科の4つです。しかし大学の講座では歯科のなかにも保存修復学、歯内療法学、歯周病学、補綴(ほてつ)学と分かれます。又、歯科麻酔学、歯科放射線学という講座もあり、これは医学部の麻酔科学、放射線科学に相当します。


4年生では午前が講義で午後が実習です。歯と歯周組織の解剖をしっかり頭に入れた上で随分専門的な内容の講義を受けます。


保存修復学では虫歯の削り方の講義が続きます。そして午後の実習では模型を用いて歯科医が使用するのと同じ器具で歯を削ります。内容は簡単なのですが、指導が非常に厳しく若い教員が威厳を持って厳しく学生指導します。今思うと滑稽です。

歯内療法学では歯の神経にまで虫歯を及んだ場合の治療についてです。虫歯が進んで顔が腫れた場合の処置も含みます。しかしこれも内容自体は狭いです。3年生の時の病理学や公衆衛生学の方が奥が深く興味深いものです。歯内療法学でも歯科医になって1年目の教員が異常に威張っています。

歯周病学講義は面白いです。全身疾患と歯周炎の関連もあり、講義は興味深いものです。又口腔清掃の重要性を理解し現在も続けられるのは当時の指導のお陰です。がしかし実習では若い教員が威張っています。衝突してやめていく学生も毎年居ます。


補綴学には3分野あります。総入れ歯、部分居れば、そしてブリッジ、クラウンです。総入れ歯、部分入れ歯の講義では入れた時の物理的な状態に関する内容や材料、さらに入れ歯の作り方や調整を学びます。歯科理工学に近いものがあります。そして実習では実際に作製するのです。午後1時からはじまり長い時では8時くらいまで行います。今思っても全く意味がありませんでした。なぜなら歯科医になった時、入れ歯を作るのは歯科技工士だからです。

クラウン・ブリッジ補綴学では虫歯治療(抜歯も含めて)のあとの詰め物に関する内容が出てきます。講義内容は非常に狭く実習は無意味です。これも歯科技工士の世界だからです。しかし午後の実習では皆真剣に作ります。基礎系の実習では怠けていた者も補綴の実習では真剣です。3年生の時の微生物学実習で結核菌(使用しない大学の方が多いらしい)をいい加減に扱っていた者もクラウン作製には熱心でした。



歯科放射線学では放射線物理学、基礎放射線学、そして放射線治療学に分かれます。放射線物理学では写真家になるのか、と思うような内容です。あまり面白くありませんが退屈でもありません。教養課程に戻ったように感じました。それが基礎放射線学になると歯科用医科用の装置等が具体的に出てきます。物理の知識が無くても十分ついていける分野です。そして放射線治療学では画像の読影について学びます。解剖学の知識がないと訳がわからないはずなのです。歯科用のx線写真だけなら早いのですが、CTやMRIでは解剖を知らないと何も理解できません。シンチグラフィーという特殊な検査方法も出てきます。一気に内容が深まります。放射線治療の講義も深く、放射線学だけにとどまらず癌の集学的治療に関する事も出てきます


歯科麻酔学では全身麻酔、局所麻酔、および痛みの治療という内容で講義を受けます。実習では、まさか全身麻酔をかけ合うわけにはいきませんから、病院見学です。歯の麻酔や笑気の吸入は実際に学生同士でやります。採血の時同様に緊張しました。


こうして4年生が終わります。歯学部6年間の中で最も精神的に厳しかったです。おそらく世間のサラリーマンよりも拘束時間は長いはずです。当時は1割弱留年しました。ここで留年すると補綴の実習もすべてやり直しです。仮に補綴が合格していたとしても、なのです。


次回は5年生以降の話を書きます