むかし近所のマンションで殺人事件があり、二階に住む一人暮らしの若い女性が殺された。
それ以来そこで幽霊が出ると噂されていたが、今ではマンションは取り壊されコインパーキングなっている。
ある時そのコインパーキングを利用した友人が何気なく空を見あげたら3メートルぐらいの高さに女が仰向けで浮いていた。
ミュールを履いたスラリとした足には黒ずんだ腐敗網が見えて、それが生きている人間では無いことがわかった。
かつてあった建物の構造から、そこで殺人事件が起きた二階に住む女の部屋だったのかと想像できた。
建物は壊されても、その場所に留まる亡霊の姿に友人は恐怖より哀れみを感じたという。
唯一の救いは女が仰向けで無残な死に顔が晒されずにいる事だろうかと思ったとき……。
女が仰向けの状態でスーッと降りて来てピーンと音が鳴るとエレベーターの扉の開く音が、どこからか聞えてきた。
女の顔面には包丁が突き刺さり、恨めしそうに友人を見あげていた。