大変気になる、日本との商習慣の違いがあります。
それは人と
・会うのが先か、会うメリットを判断するのが先か
という点です。
日本でも見知らぬ人からアポを要請されれば
「貴方と会う意味はなんですか?」と聞くことはありますが
通常、紹介があったりビジネス上のつきあいがあれば
初対面でも会うものです。
「まず会って互いを知り、意見が合致したら先に
進めましょう」
という暗黙の了解です。
しかしながらシンガポールでは逆です。
例えば
「東京で○○を探しているのだが誰か知らないか?」
私「その件を知っている人がいて紹介できるよ」
「ではまずその人と○○に関する情報をすべてください」
うーむ、会わずしてすべての情報を知りたいとは・・
そもそも知人は知人であって、社内の人間ではないですから
全ての情報を知るにはいろいろ聞かなければいけません
こちらもかなり面倒です。
私「先方もどの程度興味あるかわからないと情報を
わざわざくれないよ」
「しかし、よくわからずに会って時間を無駄にしたら
互いの損ではないか」
彼らは「ビジネスにもならないのにわざわざ会って、
向こうの時間を無駄にしたら申し訳ない」
と真剣に考えているので、上記のような会話になります。
日本的には、
・売込む側が先にメリットを提示して、買う側がそれを
吟味して合意すれば会う
という習慣であり、また知らない人に不必要な情報を
渡すのは機密保持の点でも問題があるため
売り込みでもないのに「先に情報を渡せ」と言われるのは
気分を害します。
その感覚は、こちらでは半分は正解で半分は不正解と
言えます。
需要と供給のバランスで、困っている方、
立場が弱い方がいろいろな努力をしないといけないのは
万国共通です。
しかしながら常に「お金を出す方が強い、売る側は弱い」
という感覚でシンガポールでビジネスをすると
頻繁につまづきます。
商習慣というのは体に染みついているので、このような
ことは経験しないとわからないものです。
少し違う話ですが、シンガポールに来た日本人が、
「シンガポールのサービスは悪い」と
愚痴を言っていることがありますが、根本的には
「お金を出す方が強い」という意識がありすぎると
ストレスがたまることになります。
日本は顧客サービスレベルは世界一と言われ、
「お客様は神様です」という言葉もありますが
国が違えば意識も変わります。
あまり自分の価値観にとらわれないようにしないと
疲れてしまいます。
何事も、過ぎたるは猶及ばざるがごとし
ということかもしれませんね。
こういった違いに気づくのも、おもしろいです
