雨になりました
奈良のような散策型の観光地は、お天気が悪いと、行き場に困ります
とくに、奈良公園は、
足元が悪いうえに、鹿のフンが融けてぬかるみ、
すり寄って来る鹿もペッタリぬれているという、
始末に負えない状態になります
そんな中で、修学旅行や校外学習、
スケジュールが動かせないので、
見て回る生徒さんも、引率の先生も、たいへんです
万事のんびりしていた昔とちがって、
スケジュールがずいぶんタイトになっているので、
シーズンには、なるべく雨が降らないでほしいと、願うばかりです
奈良の観光資源は、基本的に歴史に根差した古い物ばかりですから、
点在する社寺や博物館を訪れるときに、
日本の歴史を勉強しているかしていないかで、
ずいぶん印象が異なるだろうと、思います
きのう会期が終了した正倉院展も、
ただなんとなく「むかしの宝物」と思って見るのと、
1300年も前に人の手でつくられた品々が、
シルクロードの端のほうから、ラクダの背や人の肩や、帆船に揺られて、
日本にまではるばるもたらされ、
鮮やかな色や形を現代でも保っていることに思いを馳せながら見るのとでは、
心への響きかたが異なるでしょう
選ばない言いかたをすれば、「古くさい」奈良の魅力は、大人(それもひと歳拾ったいい大人)になってわかるものかもしれません
だから、修学旅行や校外学習で奈良を訪れるみなさんには、
また、ずっとずっと先に、ぜひもう一度来てみてくださいね、と、言っておきたいです
そして、もう立派なおとなのみなさんには、
きっと今だからわかる渋さがありますから、ぜひ奈良に来てみてください
と、言いたいですね
その、歴史の勉強ですが、
嫌いな中学生さんが、けっこういます
もちろん、古い物にまったく興味がないという、嗜好的な問題もありますが、
たいていは、覚えることがたくさんありそうで、いやになるからです
そのせいか、大学生や社会人になると、
どういうわけか、歴史に興味を持ち始める人が出てきて、
「もうすこし勉強しておけばよかった」などとおっしゃったりするのです
ほんとうに、もうすこし勉強しておけばよかったのにね、と、言いたくなります
中学校での歴史の勉強は、高校の日本史ほど詳しくはないので、
じつは、覚えることはさほど多くないのですが、
初めて見るような見慣れない語句がたくさんあると、
いやだという拒絶反応から勉強が始まってしまいます
これでは、歴史を好きになるはずがありません
歴史の教科書は、たいてい、政治・経済・文化の順に記述されています
じっさい、人間の社会は、
政治が安定して経済が発展し、その経済力で文化が花開くという道筋を持っているので、
その通りに記述してあるのは当然なのでしょうが、
現在まで残っていて触れることができるのは、文化です
だから、まず、写真などを多用して文化に触れ、
その文化が形作られた背景として、その時代の社会の形成・発展を勉強すれば、
歴史の間口が広がる気がするのですが、
たいていは、小難しい政治のしくみ(二官八省とか侍所政所問注所とか)から入って行くので、歴史は完全な暗記物と化してしまいます
行動範囲のせまい中学生さんの社会力では、用語が難しすぎて理解もままなりません
それで、定期テストのために、きちんと理解しないまま覚えようとして苦しむのです
習うより慣れろという言葉がありますが、
時間がなくて理解できないのだったら、用語に慣れてしまいましょう
(これは、歴史が超苦手な人のための最後の手段です。理解するのが本来です)
フェスノートに語句(漢字はきちんと漢字で)を書き出して、言葉だけを何度も音読します
フェスノートに書く時間もないひとは、提出用のワークの答えを、声に出してひたすらなんども読み返します
「ぶけしょはっとぶけしょはっとぶけしょはっとぶけしょはっとぶけしょはっと・・・」
読み慣れれば見慣れます
見慣れれば、教科書で見ても怖くはありません
「あ、この言葉知ってる」だけで、もう、その箇所はおともだち
そうやって、教科書にともだち部分を増殖させていきましょう
歴史はどうしてもいやだというひとも、
ともだち部分が多くなったら、ちょっといやでなくなるかもしれませんよ