薄日が差したりまたどんより曇ったり
桜を見るにはあいにくのお天気です
桜に一喜一憂する気分をまさに言い当てたのが
在原業平のこの歌
よのなかに たえてさくらの なかりせば はるのこころは のどけからまし
<この世に桜というものがまるっきりなかったら、桜はまだかとソワソワしたり、風に桜が散ってしまうのではとハラハラしたりしなくてすんで、のんびりできるのだろうけど>
ちょっと、文法をみておきましょう学習塾のブログですもんね
文法かよ、やめてくれというひとは、ぜひ、読みとばしてください。
「よのなか」は、「世・の・中」と見ないで、「世の中」というひとつの名詞ととらえます。
古典では、「男女の仲」を指すこともありますが、ここではふつうに世間としておきます。
ただ、ちゃらおくんの業平は、桜を女性になぞらえていたかもしれませんね
「に」は、場所をあらわす格助詞。助詞には活用がなく、とくに意味合いを強調する語ではありません。
「たえて」は、まったく、という意味の副詞です。あとにくる否定のことばと呼応します。
つまり、「なかりせば」とくっつこうとしているのですが、あいだにさくらがはいって邪魔をしているのですね。
「さくらの」の「の」は、主語をあらわす格助詞です。古文では、「の」と「が」が、現代文と逆になっていることがよくあります。
まだまだ文法解釈いきますので、細かくなりますから、
この辺り、ずずっと読みとばしていただいて、
「なかり」、ク活用の形容詞「なし」の、つぎの語が動詞ですから、連用形。
「せ」は、サ行変格活用の動詞「す」の未然形。「ば」仮定条件をあらわす接続助詞で、未然形に接続します。
もし~だったら、というときには、じっさいには起きていないことを想像しますよね。だから、「まだ起こっていない」未然形に接続するのです。
古文の語の活用は接続がだいじです。
「はる」名詞。「の」、さっきの「の」とおなじ格助詞ですが、こちらは連体修飾格。「~の」という、ごくふつうの意味です。
「こころ」名詞。「は」は、係助詞で、ほかの語と区別して強調するときに使われます。
「のどけから」が、ひとつの単語で、ク活用の形容詞「のどけし」の未然形。つぎの「まし」が未然形接続の語だからです。
「まし」は、反実仮想の助動詞「まし」の終止形です。
反実仮想は、事実でないことを妄想するときに使うもので、「・・・ましかば、~まし」、「・・・せば、~まし」の形をとることが多く、「~なんだろうけどねぇ」といった感じの意味になります。
つまり、「なかりせば、のどけからまし」は、「なかったらのどかなんだろうけどねぇ。あるから、落ち着かないんだよね」という意味をもっているのです。
在原業平は、六歌仙の一人に数えられる平安時代前期の人物です。
父は皇子、母も皇女という、申しぶんない貴公子なのに、祖父の平城上皇が乱を起こして反逆者になったことで冷遇され、不遇な生涯を送りました。
このあたりの事情が人々の興味を引くのか、のちに、主人公に擬して伊勢物語がつくられました。
在原というのは、源や平とおなじように、皇族を離れて臣下になって名乗った姓です。
理屈っぽくて風情に欠けるといわれる古今和歌集の詠み手ですが、業平は、「心あまりてことばたらず」といわれます。
この歌は、ちょっと理屈っぽい気もしますが、桜を愛でる気持ちがほんとうによく伝わってきますね。
さて、平成の天皇陛下は、橿原を離れて帰京の途に就かれたようで、
午後2時前に、たまたま橿原神宮前駅で電車を乗り換えようとしていたのですが
日の丸の旗を持った人たちがたくさんいてびっくり
どうやらお見送りの人たちだったようです
事故防止のためでしょうか、橿原神宮前駅の中央口改札そばの自販機は、販売中止になっていました
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