最近、見かけなくなったあの赤いセメントの正体。 ドックスベストセメント!
ベテランの歯科医の先生なら皆知っていると思います。
カッパーセメントと言われる赤色をしたセメントがあった事を。
最近はあまり見かけることがなくなったけど、自分が若い頃のむし歯の治療の話です。
金属の下にできたむし歯をとっていると、たまに赤色をしたセメントを見かけました。
その赤色のセメントに覆われてないところはむし歯が深く進行しているのに、赤いセメントで覆われている部分の象牙質は硬くなって、むし歯は進行していなかったんですよ。
そういうことを何度も経験しました。
当時勤務していた歯科医院の院長に「あの赤いセメントは何ですか?」と聞いたところ、
「あれはカッパーセメントと言って銅が含有したものだよ。不思議なことにあのセメントの下はむし歯になっていないんだよ。」
院長も自分が思っていた事と同じことを考えていました。
それからすっかりその事は忘れていたのですが、数年前のある時にドックスベストセメント」という奇妙な名前のセメントを知りました。
変な名前のセメントだなぁと思って色々調べたら、ミネラル(銅とか鉄)が配合されている。
それは、もしかして20年くらい前に見かけたあの赤色のセメントでなないか!
あのセメントに近いものかと?
銅の配合量が多すぎるとその殺菌作用が強すぎて歯の神経までダメージを与えるため、あの赤色のセメントはなくなってしまった事が判明。
そしてむし歯は完全に除去する方向に向かってしまったようだ。
だけど、今の歯科治療はなるべく歯を削らない予防へシフトしています。削らないほうが明らかに歯の寿命を長くします。
ドックスベストセメントは、まだ日本では認可がおりてないが、これからの予防時代に相応しいセメントだと考えます。
実際、神経をとるかどうかギリギリの場合は、ほとんどむし歯をとらずドックスベストセメントをいれただけで、その後なんの問題もないという患者さんが多数います。銅イオンでむし歯菌が殺菌されて、歯の神経が生き延びたと考えられます。
ドックスベストセメントはアメリカでは認可がおりているものなので、ミネラル(銅や鉄)の配合量も神経にダメージを与えるものではありません。
ズキズキしたような痛みがある場合は適応ではありせんが、これからの予防(歯を削らない)の時代にマッチした材料ですね。
日本の厚労省でも早く認可してほしいですね。
ただ、ドッグスベストセメントは、良いけど、虫歯の予防で一番大切な事は、毎日の食生活だよ!