何とね...
少年は続けた。
「SNS見れば権藤さんの顔の写真が出てるでしょ?住んでる場所も大体わかっちゃう。ブログ読むと、『歓楽街の楽器店』ってところによく行くってこともわかる。お母さんに、『この市で歓楽街って?』って聞いたら、『ここしかない』って言われたから、その中の楽器屋を探したらってここだけだったんだ。『トムコリンズ』も検索して場所わかったけどね...」
何と、ね...
しかし、君はどこに住んでるんだい?この近くなの?
「T市です。」
駅は?
「T駅」
電車に乗ってる時間だけで30分はかかるじゃないか。
それに、私がこの楽器屋にいつ来るかなんてことが分かる筈がない。
どうやって?
「もちろん。塾の帰りにちょこっと店の中を覗いていただけだもん。僕は、ほら、すぐそこ、駅前の通りにある塾に通ってるんだ」
「それで今日寄ってみたらSNSの写真に似ている人がいたってわけかい?」
「そうだよ。単なる好奇心です」少年はすまして答えた。
しかし、まだ腑に落ちないな。
君は、お母さんから聞いて私の本当の名前を知っていたんだろう?
それなら何故君は「権藤さん?」と聞いたんだい?
本当の名前で声をかければいいじゃないか?
「だって、本当の名前で聞いて、『はい』って答えてもらっても、その後、『あんたは払うよ...』ってブログやってますよね?って聞いたら『いいえ』と答えられる可能性もあるでしょ?『いいえ』だったら、僕、それ以上聞けないもん」
なるほど。
「権藤さん?」って声をかけられて、私は君の仕組んだ通り、見事に反応してしまったわけだ...
もぉ~
30%の臆病さ、か...用心深くないな~
<続く>
