あんたは払うよ、権藤さん。の真意 -63ページ目

あんたは払うよ、権藤さん。の真意

ご来場いただきまして誠にありがとうございます。「その1」などと付してある記事は続き物になっていますので、数字の若い順にご一読いただけると幸いです、としていたのですが、最近、数字入れ忘れてました。ごめんなさい。では、そろそろ開演です。Oh, yeah! Play it loud!

何とね...


少年は続けた。

「SNS見れば権藤さんの顔の写真が出てるでしょ?住んでる場所も大体わかっちゃう。ブログ読むと、『歓楽街の楽器店』ってところによく行くってこともわかる。お母さんに、『この市で歓楽街って?』って聞いたら、『ここしかない』って言われたから、その中の楽器屋を探したらってここだけだったんだ。『トムコリンズ』も検索して場所わかったけどね...」


何と、ね...

しかし、君はどこに住んでるんだい?この近くなの?

「T市です。」

駅は?

「T駅」

電車に乗ってる時間だけで30分はかかるじゃないか。

それに、私がこの楽器屋にいつ来るかなんてことが分かる筈がない。

どうやって?


「もちろん。塾の帰りにちょこっと店の中を覗いていただけだもん。僕は、ほら、すぐそこ、駅前の通りにある塾に通ってるんだ」

「それで今日寄ってみたらSNSの写真に似ている人がいたってわけかい?」

「そうだよ。単なる好奇心です」少年はすまして答えた。


しかし、まだ腑に落ちないな。

君は、お母さんから聞いて私の本当の名前を知っていたんだろう?

それなら何故君は「権藤さん?」と聞いたんだい?

本当の名前で声をかければいいじゃないか?

「だって、本当の名前で聞いて、『はい』って答えてもらっても、その後、『あんたは払うよ...』ってブログやってますよね?って聞いたら『いいえ』と答えられる可能性もあるでしょ?『いいえ』だったら、僕、それ以上聞けないもん」

なるほど。

「権藤さん?」って声をかけられて、私は君の仕組んだ通り、見事に反応してしまったわけだ...

もぉ~

30%の臆病さ、か...用心深くないな~


<続く>

若さは遠慮というものを知らない。それでいい。

誰だ?

名前を聞くか?

いや待てよ。知らない方がいいかもしれない。これ以上動揺するのは得策とは言えぬ。

しかし、元カレとは今風な言い方だ...

「君のお母さんは『元カレ』と言ったのかい?」

少年は首を横に振って言った。

「付き合ってるような付き合ってないような感じで、その時はお互いに事情があって、そのまま終わった、って。携帯電話もインターネットもなかったから、その後は連絡してないって言ってました」

ドキン、ドキン。

そういう中途半端な関係は...

あいつか?


それでもわからんな...

「最初から聞こう。どうやって君は『あんたは払うよ...』のブログにたどり着いたんだね?」

「最近、僕の従姉妹が遠視だってわかってさ。お母さんが妹の子供だから心配して、インターネットで『子供 遠視』で検索したら出てきたんだって」

「しかし、ブログのタイトルで何故、俺だとわかるんだ?」

「こんなタイトル付けるのは『権藤さん』しかいないって。記事読んで間違いないって言ってた。あれから20年以上経ってるのに同じ事言ってるって。」

あいつだな...

「SNSの記事あったでしょう?その最後の話は私のことだって言ってるよ。但し、お母さんはSNSやってないから、それについてはデタラメだって」

デタラメには間違いないが、せめて「フィクション」と言って欲しいものだ...

「でも、ブログからどうやってこの場所まで来れたんだい?」

「簡単だよ。権藤さんはSNSやってるでしょう?ブログに書いてあったもん。お母さんから権藤さんの本当の名前を聞いて、SNSの中で探せばいいんだけじゃない?」


<続く>

なにっ!?!?!?

俺のこと?

戸惑う私に構わず、少年は緊張した顔つきのまま続けた。

「おじさん、権藤さんでしょ?『あんたは払うよ』ってブログやってる...」


落ち着け。

見たところ中学生?学生服着てないから小学生か?

私の次女よりは年下だろうな。もし、同級生だったら「○子ちゃんのお父さん?」と聞く筈だ。「権藤さん」なんて言う必要ないもんな...

よしっ。ここは、ゴルゴ13の言うところの30%の臆病さ(用心深さ)、だ。


「2つ間違っている。まず、俺は君のおじさんではない」と私は言った。

「じゃあ、何て呼べば良かったんですか?」

「まあ、『先輩』だろうな・・・」

「先輩?」

「ああ、どう見ても君より俺のほうが年長者だ」

「知らない人に、先輩、って言うわけ?」

「心配するな。『先輩』と呼ばれれば、大抵の大人は嫌な気はしないから」

「そうなの?」

「そうだよ。大人なんてそんなもんだ。テキトーでインチキな生き物なんだ。信用するなよ。先生だって同じだぞ」

少年は少し笑った。


「次に、『あんたは払うよ、権藤さん』とは、私が言うセリフだ。したがって、私は、権藤さんではない、ということになる。」

「あ、そうか。じゃあ・・・」

「いや、今更だから、この場は権藤さんでいいよ」

名前を教える必要もないだろう。


「じゃあ、権藤さんが『あんたは払うよ・・・』のブログやってるのは間違いないでしょ?」少年が言った。

私は頷いて聞いた。

「どうして俺が権藤さんだと思うんだい?君とは初対面だよね?さっぱりわからないな・・・」

「僕は初対面だけど、僕のお母さんは会ったことあるんだって」

!?!?!?

「お母さんがネットで検索してて、権藤さんのブログを見つけたんです...『このブログやってる人は元カレよ』ってお母さんは言ってました」


<続く>

俺のギター(ギブソンSJ200)の弦高がまた高くなっちまった。(あ、ヴィンテージではありません。)


何時まで経っても状態の安定しないギターだな、こいつ。


楽器屋の長期滞留在庫で、「トップが日焼けしちゃいました価格」だったから買ったんだけどさ、元々の価格が高いから、安いけど高かったぞ。いや、高いけど安かった、のかな?


ヴィンテージ・ナチュラルだと思えばいいや、と思ったんだけど、サイドとバックは真っ白のままでやんの。


買って数年で何回かネックいじったんだけど、未だに安定しないのかよ~!


ったくよ~


しかし、素人目にはネックはほぼ真っ直ぐな感じだ。


サドルはとっくに限界まで低く削ってしまった。


仕方ない。


このギターを買った楽器屋は既にこの街から姿を消している。


私は、歓楽街の楽器店にギターを持ち込んだ。


「最近、店の外から楽器眺めて、すぐどっか行っちゃう男の子がいるんですよね...ギター欲しいのかな...」店の主は挨拶がわりに近況を話した。





「う~ん。ハイ落ちみたいですね・・・」


なんだよ~ギター・マガジンの記事みたいなこと言うじゃないか。


「ネック抜いて調整して、X万円ってとこかな~?」


あ~やはり、そんなになっちゃうよね・・・


ブツブツ・・・





私は、歓楽街の楽器店を出た。


道端に一人の少年が立っていた。


学習塾の専用のリュックを背負っている。


その少年は、硬い表情のまま私を見て、意を決したように言った。


「あの・・・権藤さん・・・ですよね・・・?」





<続く>

ここ数日、友人から私のブログに対する苦情が殺到している。

曰く、

「青春ロックン・ロール小説だ、と言うから見たのに!」

「ネタがなくなったんでゴルゴにしたんでしょ!?」

「ロックン・ロールの詐欺師!」

「嘘つき!」

「インチキ!」

「人でなし!」

・・・

「アタシの青春を返して!!!」

そ、それは俺のせいじゃないだろ!?え?俺のせい?


厳しいな~

落ち込むよな~

みんなヒドいこと言うなぁ...

落ち込むよな~

これじゃ、まるでジョン・レノンの”NOBODY LOVES YOU(WHEN YOU'RE DOWN AND OUT)"みたいだ...


そう言えば、ラジオの番組で、ビートルズが大好きだというある教育者がこんなことを言っていたな...

「次の曲は、ジョン・レノンの”NOBODY LOVES YOU"です...自分が元気ないときにこの曲を聴くと、「いや~落ち込んじゃったら誰も愛しちゃくれないんだよな~」って思って、すっごく元気になれるんですよ」


え~っ!?そう?

元気になる!?これ聴いて...


確かに素晴らしい曲だ、ビューティフルだよ。

でも、これ聴いて、俺は元気にはならないな~

落ち込んだままで、しみじみしちゃうぜ、全く。


人によって、全く受け取り方が違うのね...

道理でゴルゴのウケが悪いのか・・・?


~ジョン・レノン『心の壁、愛の橋』WALLS AND BRIDGES~

あんたは払うよ、権藤さん。の真意
元気なときに聴いてしみじみとする方が、私はいいです...