30-② 抑歴史を尚ぶ進化論と、平等を旨とする社会主義とが、殆んど思想界の上下に貫盈せる今の時に当たりて、奇矯大胆、時に殆んど突梯不稽とも見られるべき彼が如き説の如何なれば、(略)(準1)
突梯(トッテイ)とはかどだたず、世俗にさからわないさま。連綿の双声。
突梯滑稽(とっていこっけい)
不稽(ふけい)とは考えられない、根拠がない、いいかげん意。
荒誕不稽(こうたんふけい)
30-② とんでもないでたらめ。 こうたん
荒誕
【訳】そもそも歴史を重んずる進化論と、平等を正しいとする社会主義とが、ほとんど思想界の上下に悪影響を及ぼしている現在、突拍子もなく大胆で、ほとんど万人向けででたらめ、いいかげんとも思えるニーチェの説が、なぜこんなにも世人のこころに響いたというのか。