音節構造 | One On One

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音節とは発音可能な最小単位をいう。

日本語の音節の総数は111あって、その構造はほぼ子音(consonant)と母音(vowel)のCV型におさまる単純なものである。

具体的には(A)ゼロ子音+1母音(B)1子音+1母音(C)1半母音+1子音(D)1子音+1半母音+1母音(E)特殊音となる。

このA~E(開音節)から構成される型から、発音される音節名は9つある。

 

清音、濁音、半濁音、ガ行鼻濁音のそれぞれに、直音、拗音がある。

(清直音、清拗音、濁直音、濁拗音、半濁直音、半濁拗音、ガ行鼻濁直音、ガ行鼻濁拗音)

それに特殊音。

 

(もっとも多いのは清直音の44である)

 

日本語の仮名で表記している漢字1字の音読み漢字音は314種ある。仮名1字=62種。仮名2字=214種。仮名3字=38種。

したがって、漢字1字の音読み問題において、正解の確率は314分の1である。

 

日本語の音節が発話において、等時間の意識で発音されるがこれは「等時拍のリズム」とも言われ、英語の音節よりたいていの場合多い。音節を拍ととらえた場合、3拍から6拍語が語彙のほとんどを占めている。

 

1音節(syllable)は基本的に1拍(mora)と考えられるが、促音、撥音、長音については、先行音を含んだものが1音節となる。つまり、格好(kakkoh)カッコーにおいてkak-kohの2音節、ka-k-ko-hの4拍。また、新聞(sinbun)=sin-bun(2音節)、si-n-bu-n(4拍)ということになる。

 

音節を表記するための音素記号の数は、母音5、子音13、半母音2、特殊モーラ3となっている。特殊モーラの撥音(N)さらに9個に分けられる。

 

「モーラ音素」と総称される特殊音素は3つあり、<N=撥音><Q=促音><R=長音>である。

音声的環境において、調音の弁別はそれに続く音節の子音によって変わる。

<N>における調音は5種、<Q>は3種、また<R>は引き音節という説がある。

<N>の具体例としては「さんま」「万年筆」「天地」「りんご」「銀行」。これらの単語で、「ん」の表記は同じだが、別の音調を持ち、また表記も違う。

これらは韓国語の終声(パッチム)を引き合いにすると分かりやすい。

 

さて中国語の音節についてみると、その構造は日本語より複雑である。中国語として使われる漢字一字の構成要素はおおきく声母(initial)、韻母(final)の2つに分けられる。ここに音程をさす声調(tone)が加わるため、すべてで3要素である。

 

韻母はさらに3つに分けられ、介音(middle)+主母音(vowel)+韻尾(ending)となる。声母-介音-主母音-韻尾-声調の全ての頭文字をとって、IMVETと呼び、これで中国語の音節構造を表すことができる。

 

冒頭で、日本語での漢字音を314種と述べたが、中国語においては1300種とそのほぼ4倍である。これは日本語の音節構造がほとんど開音節から成り立っているからであり、一方、中国語はIMVETにより複合的な音を構成しうるからである。

 

この結果、日本において「同音異字」また「異字同音」は中国語より多い。

もともと中国で使用される漢字は、同音意義の多い漢字であるといわれるが、個人的に単純にこれが日本語漢字、特に熟語での同音意義も多いということになるかは疑問である。それは、日本語が膠着語であることや、厳格な声調があることによる。

 

補記:この記事に関する意見を頂けたら幸いです。