【アスリートサポート】総合格闘家 佐藤龍汰朗選手のS&Cサポート&PANCRASE355帯同
今回はトレーナー目線でこの戦いに向けて、サポートしてきた半年の内容を振り返ってみたいと思います。
出会いは昨年の12月
2024年の年末、佐藤選手から「世界を目指すためにフィジカルを見直したい」と連絡をもらったのが始まりです。
※佐藤龍汰朗選手は、Fighting NEXUS 初代ミドル級王者を2024.11.28に獲得して、今年から更に上を目指す為に、海外の団体の参戦を視野にいれています。
初回セッションでは、
•カウンセリング
•身体評価(肉体、メンタル、スキル)
を行い、プログラムデザインを組み立てました。
佐藤選手の目標として、「世界と戦う為に打撃に自信を持ってるようになりたい」「その為に打撃力やステップのスピードを上げたい」の2つが目標でした、その中で話しをさらに細かくヒアリングしていくと「左ストレートの体重が乗らない」という感覚がある事がわかりました。
選手も何故その目標が出来ないのが言語化できない事があるので、細かく何ターンもコミニュケーションを取りながらカウンセリングを行います。
そして、実際に動きを見せてもらうと、右股関節の内旋可動域と体幹の連動性に課題があることがすぐにわかりました。これを改善できたら打撃の質が変わると思いました。
(初回セッションで股関節の評価を行う。)
評価で見えた3つの側面
上記以外にも初回の評価では、フィジカル・メンタル・スキルの3方向から分析しました。
「肉体面」
上下肢とも筋肉量は十分。ただし下半身前後のバランスに少し差があり、股関節の可動域制限が打撃動作に影響。膝や足首、上半身は柔軟性十分ですが、体幹周囲にはコンディショニング調整によって削れる余地があり、減量を通じて階級内でさらなるパフォーマンス向上が期待出来る状態でした。
「メンタル面」
試合慣れしていて大舞台でも動じない強さがある一方、栄養面の関心は低く伸びしろあり。
モチベーションは高く、世界を見据えながらも小さなステップを積み重ねられるタイプです。
「スキル面」
左ストレートの体重移動に課題があり、股関節制限が打撃、タックル両方のパワー不足につながっていました。
プログラムデザインの方向性
この評価結果をもとに、半年の基本方針を決めました。
1.股関節可動域の改善を最優先にし、動きの制限を取り除く
2,体幹の安定性と連動性を高め、打撃と組技の両方でパワーを出せる土台を作る
3.上下肢の筋肉量は十分だったため、自主トレではウェイトを継続し、パーソナルでは爆発的出力や動きの質に集中
4.栄養指導は強制せず、本人の関心が高まったタイミングで情報提供
5.1ヶ月単位でプログラムを回し、いつ試合が決まっても試合期に入れるよう準備
配分としては、下半身パワー40%、上半身パワー20%、体幹ストレングス20%、股関節可動域改善20%でスタートしました。
順調に始まったはずが
年明けから計画通りのトレーニングが始まり、動きも少しずつ変化。
佐藤選手も「動きが変わってきました」と言っていたので、良いと思っていた矢先。
(下半身のパワーを高めるクイックリフトTRは100kg)
4月の練習中に靭帯断裂で全治2〜3ヶ月。
5月に予定していた海外試合はキャンセル。
あの日の連絡は、正直、せっかく頑張って課題に取り組んできた姿を見ていたので非常に残念でした。。
怪我からの立て直し
そこからは頭を切り替え怪我明けでも戦える身体にシフトする事にしました。
考えたのは3つです。
1.再発を防ぐため、高負荷パワーは制限(怪我の再発管理)
2.股関節と上肢をつなぐ連動性を再構築(キネティックチェーン)
3.動ける自信を早く取り戻させる(元々の強みに自信を与える、ベースを戻す)
配分は上半身40%、体幹30%、股関節可動域改善30%。
戻るだけじゃなく、前より強くなることを意識して毎回メニューを組みました。
試合期へのスイッチ
怪我から1ヶ月ちょっと経ち何とパンクラス355の出場が決まりそう、
元ウェルター級のチャンピオンとの試合で、勝てばベルトに繋がる可能性もあると言う事で試合が決定致しました。
そして、試合迄2ヶ月を過ぎている為、ここからファイトキャンプに突入すると言う事だったので、ここからは試合期特化した内容に切り替えました。
•パワー20%
•フィットネス(体力レベルを戻す)40%
•可動域改善40%
怪我の再発リスクを最小限にしつつ、持久力・バランス力・メンタルを同時に整える。減量や水抜きなどの食事内容やPFCのコントロールのお話しもしています。
試合当日
会場近くの路上は真夏の熱気。地面からの反射熱が足裏に響く。
アップ前、佐藤選手はいつも通り笑っていましたが、目だけは静かに研ぎ澄まされていました。
(試合会場の立川ステージガーデン)
炎天下だったので、予定より短く、でも質の高いアップに変更。
いつも通りの動き、ステップが見れて行けるとそう思った瞬間です。
そして、最後にグータッチ。
その時、表情が完全に戦う人の顔になっていました。
(試合当日PAPを高めるアップ)
(落ち着いた印象で試合に向かって行きました😁)
勝利、そしてこれから
半年間、成長も停滞も怪我も全部経験して、この日を迎えました。
佐藤選手はそのすべてを糧にして勝利を掴みました。
(勝利のシーン最高にカッコよかったです!)
これからも「世界で勝てるフィジカル」を作るために、一緒に走り続けます。
青島 渉




