お、遺言書が出てきた!不動産の記載もあるし、よかったよかった・・・
前回のブログで印鑑を押していない自筆証書遺言が無効だというお話をしました。今回のお話は、兄弟姉妹や甥姪が相続人で、遺産分割協議の難航が予想されるケースでした。お客様に、遺言書がないかどうかよく確認してくださいとお願いしたところ、自筆で次のように書かれた遺言書を持っていらっしゃいました。
貴言書(ママ)
1.略
2.××市○○町△番地の自宅
Aさん(相続人)、Bさん(Aさんの妻*相続人ではない)で話し合って決めてください。
20年元旦
C ㊞
さて、この遺言書の問題はどこにあるのでしょうか。遺言書の遺の字が間違っていること?相続人でない人が書かれていること?話し合って決めるというあいまいな言い方のところ?元旦という日付?
じつはどれも法的には問題ありません。一番の問題は、被相続人Cさんの自宅は、実は古い団地で、敷地権化されていませんでした。敷地は△番地のほかに□番地と◎番地があり、ほかに集会所の持分もお持ちでした。
遺言書があることに喜び勇んだ私は、△番地の土地と建物、□番地と◎番地と集会所の持分を遺贈を原因として登記申請したところ、法務局から△番地以外の土地と集会所については登記することができないと、にべもなく言われてしまったのです。その後、□番地と◎番地と集会所については、遺産分割協議をするということで落着しました。
前回のブログでご紹介した法務局の遺言書保管制度など、遺言に関する選択肢は増えました。その選択肢を上手に使って、遺言をする方の最後の意思を確実に実現するためには、遺言書の作成に司法書士などの専門家が関与したほうが良いと実感したお話でした。