「特別展 和食 日本の自然、人々の知恵」を鑑賞して | The trumpet shall sound!~魂の目覚めの福音をお届けします~

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こんにちは。
記事にするのがとても遅くなりましたが、先月末あたりに、和食展(正式:特別展 和食 日本の自然、人々の知恵)に行ってきました。

「和食」といえば2013年に、「ユネスコ無形文化遺産」に登録さたように、世界的にも知られるようになってきました。
個人的に、「和食」ということばからイメージされるのは、精進料理のような物だけでした。
ところがこの特別展は、和食という概念を、もっと深いところから幅広く紹介していました。
行く前は、「商業的なものなんじゃないの?ビジュアルに頼りすぎとか・・・」なんて、ちょっと批判気味にみていましたが、いざ行ってみると、自分の中で「点と点」だった情報や知識が、線で繋がり面になる、というようなことがありました。
和食の世界を、一度に幅広く全体的に見ることができたのは、とても貴重な体験です。
また、身近でありながらもそのありようを部分的にしか見ていなかったことを理解し、ますます「和食」というものに興味を持つこととなりました。

盛りだくさんで非常にボリュームのある展示でした。
これから全国何ヶ所かに巡回するようですので、間に合う方々は、開催日と期間を最後に書いておきますので、参考にどうぞ。

🌿「特別展 和食 日本の自然、人々の知恵」を鑑賞して

入るとすぐに、「世界の食の地図」の展示がありました。
三大栄養素と呼ばれる、人間が生きていくのに必須とされている栄養素は、「糖質、脂質、たんぱく質を指す、という説明があり、それらを世界各地の人々が、どのような食物から主に摂取しているのかを示す地図だったのですが、日本は主に「米」や「雑穀」でした。
地図の中には、他にも米食をしている地域や、米がとれないために違うものが主食になっている世界の他の地域が比較できて、非常に興味深い展示でした。

次に「日本の水」の展示もありました。
私は、日本が「水の国」と言われているほどに水が豊かであることは知っていましたが、その水は一様に軟水だけと思っていました。
確かに、世界的に見ても「軟水の国」と言ってもいいのですが、一部硬水もあることがわかりました。どのような地質が、日本の水を作って来たかが、地質学的にわかるようになっていました。

「キノコ類」の模型展示もありました。
日本は、キノコ類も豊かです。実は日本は世界でもかなりの種類を食べているようです。有名なイタリアのポルチーニやトリュフの親戚筋もあるということに驚きました。
しかし、日本では人気がないようです。
松茸のような、日本では人気のあるキノコが、欧米では人気がなく、臭がられているのは聞いたことがありました。
ぬめりのある、なめこのようなものも、日本でしか食べないようです。
同じキノコを食べるにしても、国によっては、食べられる種類やキノコに対する感じ方が違うことなども見られて面白かったです。

野菜類コーナーには、大根の様々な種類の模型がありました。
大きな桜島大根や、細くてとても長い大根など、本当に様々な種類があり、伝統野菜となっているものもありました。
その中には、我が家でも育てている大根が三種類も展示されていました。模型での実物大と比較してみると、我が家の大根達は小ぶりなんだな、とわかりました。汗 でも、展示にあるということは、代表的な物を育てているんだ、となんだか嬉しくなりました。

 


また、非常にあっさりしていてうっかり見逃してしまいそうでしたが「米の品種改良」というパネルもありました。
実はとても大切な情報です
私が食べている米が、どの系統から出てきているかを、改めて確認できました。

 

 

我が家では、この表の中でいえば、比較的古い種類の陸羽132号と農林22号を常食しています。
陸羽132号はつやもあり非常に美味しいお米です。
農林22号は、糖質が低くタンパク質が多く餅質が低いため、あっさりして甘さ控えめで食べやすい味なので、我が家では好んで食べています。
特別展では、古い種類のお米が、現代農法に合わないために現在の有名なお米が育てやすく開発されている、というようなことは書いてありません。

私の食べているお米を作って下さっている農家さんから聞いた情報ですが・・・現代人が好む「甘味」を強くするために「糖質」だけを抽出たくさん抽出したようなお米が、遺伝子組み換え食品を作るような方法で開発されているようです。そのような問題点を提起しておくことは、未来へ良い和食を残していくことにとっては重要だと思うのですが・・・特にありませんでした。大がかりな展示会だけに深入りはできないのでしょう・・・。

米や大豆がどのように使われているかの、相関図のようなものがありました。
例えば、米は麹となり、大豆は、麹と共に味噌となる、というような感じの相関関係や、それ以外の幅広い応用例が出ていました。

 


魚介類のコーナーでは、模型展示もかなり数が多く、同じく原寸大の展示で、非常に驚きをもって見られました。日本最大級のクロマグロもかなり大きく、びっくりしました。貝類などの模型もありました。

 

 

海藻の標本コーナーがありました。海藻の標本は、作ることがとても難しいそうです。また、標本となれば、初めてその姿をじっりみることができました。どの海藻もとても美しいんだ、ということがわかりました。
海藻は、日々の料理に使いますが、もともとどのような姿であるのかを知る貴重な機会となりました。特に、昆布の話は、毎日お世話になっている食材のため、興味を持って見ていました。展示では、昆布の歴史や採取される場所について知ることもできます。

 


それから、発酵食品のコーナーもありました。発酵食品は、世界でも実に様々なものがあります。
日本の代表的なものは日本酒ですが、それに関わる「麹」は、日本では発酵食品によく使われていることなどがわかります。
醤油、味噌、などがそうです。
出汁のこともありました。

一番のメインになっていたのは「和食の成り立ち」コーナーです。
そこでは、時代ごとの食事を模型で再現している展示が中心となり、他にも歴史的資料があがっていました。
始まりはなんと縄文時代からで、卑弥呼の食卓の様子の再現や、平安や鎌倉のものを経て、近代までありました。

 

 

特に面白かったのが、「江戸時代」でした。この時代には、本当にさまざまな食が発達します。
豊かな風土であったため、日本人は食を研究し、腕を磨いていたことが、自然な成り行きであったことがわかりました。
また、ファーストフードの走りもこの時代にありました。そばや寿司、天ぷら・・・など。
江戸時代にも、人気の「料理本」があったようです。お菓子の本までもあって、驚きました。

それから、料理店の「番付表」のようなものもありました。江戸時代は、さまざまな店が腕を競っていたのです。
近代では、競い合いというと「相手を蹴落とす、打ち負かす」というような、「勝負」を決めるようなイメージがあります。ところが展示や資料を見ていると、なんとなく、日本人にとって、「(番付表の)競争」とは、「腕を競う、腕を磨く」という、他者に対してではなく、自分の中での精進、という感じだったとわかり、その精神性に感心しました。
また、江戸のお菓子の店の番付表には、一緒に展示を見に行った母が「あの名店がある!」とつぶやいたように、今でも代々続いている老舗がいくつか載っていました。

 

興味深かったのは、江戸時代の後期には、砂糖の入ったお菓子(あんことか、餅菓子など)を庶民も食べていたことでした。砂糖が18世紀には国内生産が発達したために、入手が容易になり、それが可能だったようです。
それから、料理レシピの検索サイトの「クックパッド」が、江戸時代の代表的なレシピを再現して、それをレシピとして公開していました。

このコーナーには、上述のように時代ごとの食から、大衆の食、殿様の食や、重要な来賓へのもてなし料理の変遷もありました。また、アイヌや沖縄といった、独特に発展を遂げていたところの食も展示され、しっかり「和食」の成り立ちとして紹介されていました。
「和食」という、日本の食の幅広さが伺える展示です。
一度に様々な時代、様々な形の食事が見ることが出来る機会は、そうそう無いと思います。食事を再現している模型も、非常に丁寧に作られていて、日本の技術の高さを感じました。

 

 

日本の高い技術で思い出しましたが、包丁の技術についても触れていました。
様々な包丁の使い方を映像で見ることができ、様々な包丁の種類も見ることが出来ました。

近代の食事のコーナーには、洋食の普及などがあり、ハンバーグ、カレー、ラーメンなど、外国の食から日本独自の発展を遂げ、今でも高い人気を保っている食についても触れてありました。
戦後、昭和の初期の頃の食を描いた資料として、漫画「サザエさん」が紹介されていました。昭和の台所の様子や、食の変遷が面白く描かれていて、改めて読んでみたくなりました。

その後、最後の方に、お雑煮文化圏マップというものがありました。
47都道府県別でお雑煮にどんなお餅を入れるかがわかるようになっています。また、汁の味のベースがわかるようにもなっています。
私の出身は東京なので、正月の雑煮は基本的に角餅の醤油ベースの雑煮ですが、パートナーのために、角餅でになりますが京風の白味噌ベースの雑煮も作ります。ブログでのお知り合いの方は、正月の雑煮に「あん入り丸餅」を入れるとおっしゃっていましたが、それもこのマップで確認出来ました。全国では非常に珍しく、たった一県だけ(お知り合いの方は隣の県でしたが、そこも含めた狭いエリア)とわかり、非常に驚きました。とても貴重な文化だと思います。
代表的な県の雑煮の模型もあり、それも楽しめました。

あとは、クックパッドが、全国47都道府県各地の、「検索ナンバー3」を上げていたのも、なかなか面白かったです。
地域によって好んで検索されるレシピには、かなりのばらつきがあるようです。

最後に、未来に向けての食事の全国での取り組みの紹介などもありました。環境問題を解決しながら循環する農業の話、ウナギの話など、色々ありました。

本当に盛りだくさんで、途中で休憩を挟まなければ疲れてしまう程でした。
模型で見せてくれるので、よりリアルに感じられ、目で見て面白い展示のため印象にも残りやすく、とても楽しめました。
人によって印象に残るところは様々だとは思いますが、私としては、こんな感じで締めくくりたいと思います。

あまり上手にレポートできませんでしたが、少しでも参考になれば幸いに存じます。

 

以下は、お土産です。図録と、かまわぬの手ぬぐい、とらやの和三盆のお菓子です。

 

本日もお立ち寄り下さり、誠にありがとうございました。


(参考資料のお知らせ)

この記事のためではありませんが、開催に関わっているお一人の方の編著書を、より深く知りたい方のために記載しておきます。

「日本の食文化 その伝承と食の教育」編著者 江原絢子 石川尚子

 

◆◆開催地と時期のお知らせ◆◆

東京は、もう終わってしまいました、レポートが間に合わず・・・。汗


○2024年4月20日~6月16日 山形・鶴岡アートフォーラム

○2024年7月6日~9月23日 宮城・東北歴史博物館

○2024年10月5日~12月8日 長野・松本市立博物館

○2025年1月18日~4月6日 愛知・豊田市博物館

○2025年4月26日~7月6日 京都文化博物館

○2025年7月19日~9月21日 熊本市近代美術館

以上