BESS富士の営業二人を伴い、藤枝市役所を訪問しました。

市側は職員三名で、担当者と部長クラスの方も参加しての話し合いになりました。


こちら側から状況を伝えましたが、既に市の方で状況を把握していました。

私達とは別ルートで、近隣住民の方々からも、市に対して対応を求める声が上がっていたのだそうです。

そして、その場における市側からの説明で、初めて状況の深刻さが分かりました。


問題発生当初にBESS富士から受けた報告では曖昧だった、近隣の方々が道路側溝への放流を回避するよう要求してきた理由は、農作物への影響だったのです。

私達の家から放流しようとしている道路側溝は、農業用水路に合流しているのだそうです。

私が当初BESS富士から聞いていたのは、「匂いとか、そういうことではないか」という曖昧な説明でしたが、深刻度が全く違います。

近隣の方々から市へ陳情が来ていることからも、問題が深刻であることが窺われます。

少なくとも、BESS富士が問題報告当初に言っていた様な

「こちらに問題はないので、そのまま続行することもできる」
「住み始めてから何か言われても、『問題ない』と言っておけばよい」

という話ではないのは容易に想像できました。

私は、「河川への放流ができないことを丁寧に説明すれば、何とか落としどころを見つけられるのではないか」と淡い期待を抱いていたのですが、それは難しいかもしれない、と思いました。

そして、このタイミングで新たな真相を知ったことで、私のBESSへの不信感は更に強まりました。


BESS富士が当初の報告を曖昧にしてきた理由は分かりません。

単に、説明にあたった担当営業が事実を十分に把握していなかっただけかもしれませんし、説明するときに言い洩らしただけかもしれません。

ですが私には、それまでのBESS富士の対応からしても、私に対して問題の深刻度を伝えたくない、裏の意図とようなものがそこにある様に感じていました。

問題の深刻度を伝えずにそのまま引き渡しを済ませてしまうことで、後の問題を全て施主に押し付けようとしているのではないか。

そんな疑念が脳内を過りました。


そして、後々調査してはっきりしたことではありますが、BESS富士は最初に苦情を受けた時点で道路側溝が農業用水へ合流することに気付いていました。

それにも関わらず、私にはそのことは伝えられず、市を訪問して初めて知らされることになったのです。

苦情の背景は非常に重要なことだと思うのですが、それを伝え漏らすということがあるのでしょうか。

少なくとも、BESS富士の問題報告は極めてずさんなものだったと言わざるを得ません。


とは言え、そこでBESS富士と揉めても仕方がありません。

まずは対応策を考えることが最重要だと思い、頭をもたげた疑念は封じました。


市からは、

「排水の放流先については、市は条件を満たせばどこでも良い」
「放流先については、許可を出すだけで指導する立場にない」
「市は民事に介入できないので、当事者同士で解決して欲しい」

と言われました。

確かに、そうなのかもしれません。

ただ、後々調査して分かったことですが、市の対応にも大きな問題がありました。

「道路側溝は農業用水に合流するので、雨水以外(浄化槽を通しての家庭排水)の放流は不可」

という近隣の方々の要求ですが、そのことについては市が把握していたはずなのです。

この道路側溝は、県道整備の際に、地元の方々が土地を提供して作ったものですが、その際に前述の様な条件を取り交わしていていたと近隣の方々は言っています。

そうであれば、市はBESS富士の工事申請に対し、その条件を示して差し戻さなければならなかったはずです。

「市が許可したから工事をした」
「だから自分達に問題はない」

というBESS富士の主張は、まさにそこが根拠になっています。

そのBESS富士の主張も、後の調査で適当ではないことが分かるのですが、この時点でそれを知る由もない私は、不信感を抱きながらも、BESS富士の主張に対し一定程度の理解を持っていました。

それもあって市を交えての対応を相談したかったのですが、期待に反して、市の対応はとても冷たいものでした。


状況は最悪です。

河川への放流は物理的にも技術的にも不可能だと言われ、
BESSには市の責任なので市に対応を求める様に言われ、
市は自分達は関われないので自分達でなんとかしろ、です。

問題と責任の押し付け合いでたらい回しにされた挙句、最終的に全て施主が問題を抱え込まないといけないの?

私は、調査も申請も工事も、全て任せていて、
排水に関しては選択肢も与えられていなかったのに、
調査も申請も工事も、どの工程にも自分の判断を差し挿むことなんてできなかったのに、
それらに関わった人達は責任を取らず、関われなかった私が全ての問題を押し付けられなければならないの?

あまりの不条理に、頭がおかしくなりそうでした。


私は市に対して

「一緒に近隣の方々との話し合いに臨んで欲しい」

と訴えましたが、

「この場では回答できないので検討する」

という返事を取り付けるに止まり、その場は解散になりました。

その場の感触からも、市は何もしてくれないだろうな、と思いました。

そして、予想どおりでした。

今現在に至っても、市からは回答すらありません。

 

>>前の話

>>次の話