関東学生リーグ戦 5月18日 順天堂大学さくらプール
シーズンの山場となる1ヵ月間が始まった。昨年は悔しさ残る6位で幕を閉じた、関東学生リーグ戦(リーグ戦)。今年は新主将・中村大智(スポ4=埼玉・秀明英光)を先頭に、上位リーグ入りひいて、決勝進出を目標に据え、雪辱を晴らす覚悟を感じさせる。その初戦で対したのは、昨年上位リーグ最後のひと枠を明け渡した因縁の相手である中央大だ。試合は序盤から互角の攻防が続き、前半終了時点で4ー5とリードを許す。だが第3ピリオド(P)での一挙5得点により逆転に成功。しかし最終Pで再びリードに持ち込んだ中大。昨年のリーグ戦では1点差で奪われるという、手に汗握る展開に。早大は慎重にチャンスを見極め、ラスト30秒で加納恒心(スポ2=東京・明大中野)が渾身の逆転弾を放つ。最終スコアは11ー10で、1点の重みが大きい激闘の初戦を制した。
中村主将がセンターボールを取り、緊張感漂う第1試合の火ぶたが切られる。序盤からテンポよくパスコースを確保し、立て続けにシュートを投げ入れるが、中大GKの堅いブロックを前に得点が入らない。ようやく5分、ゴール付近で相手の反則を連続で誘うと、右サイドの小林稜典(スポ1=岐阜・大垣東)にボールを放り出す。ルーキーはこれを力強く差し込み、大学リーグ初ゴールを挙げた。こうして両者互角の1ー2から続く第2Pは、開始直後40秒に斎藤昂泰(スポ1=神奈川工)がネットを揺らし、こちらも大学初得点。これで同点に追いつくも、ミスも絡んで中大に連続得点を許す。しかし4分半に中村主将が相手のファウルからチャンスを作ると、曵地孝太郎(スポ4=埼玉・秀明英光)がゴール。さらに7分半には、早大のシュートがそれた直後に相手が退水(※)。すぐさまオフェンス態勢に戻り、加納(恒)がループシュートを決めた。GK渡辺浩基(スポ3=東京・明大中野)の献身的なブロックも光り、4ー5と粘って前半を折り返した。
ボールを運ぶ小林
主導権を奪いたい後半第3P。GKが渡辺から加納凪人(スポ3=三重・四日市中央工)に交代してスタート。1分半、中大の退水による数的優位を生かし、古谷典也(スポ3=東京・明大中野)がミドルシュートを決める。2分半には早大の退水を合図に中大がタイムアウトを取りピンチが訪れるが、ディフェンスの連携でしのぎ切る。この守りのナイスプレーで勢いに乗ったのか、今年の早大の底力を予感させる猛追撃が始まった。まずは3分半、GK加納(凪)が手早いパスからカウンターアタックを仕掛け、加納(恒)が得点を挙げる。続いて4分、中村主将と曳地がフェイントをかけながらのパスで相手を揺さぶり、最後は曳地がゴールを切り裂いた。こうしてこの試合で初めてリードを取るが、なおも手を緩めない。5分、早大退水のピンチを加納(凪)が防ぎ、より勢いをつける。直後に古谷が自らのロングドリブルから、得意のミドルシュートを決めた。6分半には、中村主将の好アシストから古谷がセンターに切り込み、またも鋭いミドルシュートを叩き込んだ。終盤には連続得点を許したが、9ー8とリードを保ったまま、命運は最終Pに託された。
ゴールを狙う加納(恒)
なんとか逃げ切りたい最終第4P。しかし痛恨の連続失点から、再び逆転を許してしまう。永久退水やペナルティースロー失敗も重なり、早大陣営に不穏な空気が漂った。だが5分半、ゴール前で相手ペナルティーを誘うことで長くボールを持ち、繰り返しパスを続ける。最後は中村主将がミドルシュートを決め、まずは同点に並んだ。そして試合を決定づけたのが、7分のことだった。相手の退水から確実にチャンスをつかむべく、タイムアウトを取り陣形を整える。中村主将、斎藤とのパス回しの末、隙を突いたのは加納(恒)だった。「自分にボールが来て、シュートチャンスが来たら最後は絶対決め切る」。あくまで落ち着いたままに、右サイドからボールを放った。これが見事逆転弾となり、重要なリーグ初戦を勝利に導いた。
ゴールを守る加納(凪)
昨年は、僅差での敗北により苦汁を飲まされる試合を多く経験した。それを踏まえて今年中村主将が掲げる指針が、「勝つべきところで勝つ」だ。実力の拮抗(きっこう)する中大との接戦を制した今日の試合は、まさしくこれを体現するものとなっただろう。明日は、昨年の日本学生選手権を2位で飾った強豪・筑波大戦だ。難しい試合が予想されるが、いかに勝ちどころを探れるか。チャレンジャーとしての戦い方に期待したい。
※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。
(記事 中村凜々子、写真 指出華歩、中村凜々子)
結果
早稲田11ー10中央大
第1P 1−2
第2P 3−3
第3P 5−3
第4P 2−2
得点者
古谷3、加納(恒)3、曳地2、中村、小林、斎藤
コメント
中村大智主将(スポ4=埼玉・秀明英光)
ーー今日の試合全体の振り返りをお願いします
上位リーグに入るという意味で内容よりも結果が求められる試合だったので、チームとしても準備に時間をかけてきました。それが勝利につながってよかったと思います。
ーー個人面では、相手のマークが厳しく、シュートが阻まれる場面もありました。どんなことに気を配りながらプレーされていましたか
去年は都田さん(前主将)がいたので、自分へのマークは少し甘かったかと思いますが、今年は自分が厳しくマークされるので、バランスに気を付けています。左利きがいたりなど色々な選手がいることで、自分がガツンといかなくても点を取れるチームになってきていると思うので、より左右のバランスに気を付けていました。
ーーその一体感あるプレーが実ったのが、第3ピリオドでの5得点だったと思います。ハーフタイムで何か新たな工夫をされたのでしょうか
これまでは、色々なことに取り組んできたことでチームの指針がずれてしまう場面もあったので、むしろハーフタイムでは、やっていることは間違っていない、今はただ点が入っていないだけだからここは貫いて、ブレずにやっていこうという意識づけをしました。
ーー今年度は主将に就任されました。悔しい思いをされた試合も多かった昨年を踏まえて、今シーズンにはどのように臨まれていますか
大学最後の年というところで、まずは主将という以前に4年生としてチームに貢献するというところは決めています。さらに主将としては、例えば20何連覇している日体大に対しても、難しく思うというよりはリアリストになって、自分達が勝てるところを模索しながら、勝つべくして勝つというのを意識したいです。なので中央や慶應、日大、明治といった大学には、実力も見劣りしないと思うので、きっちり自分達で勝っていけたらなと思っています。
ーー1年生も多く入部されましたが、今年の後輩達をどう見ていますか
自分の1年生の時と似ている子、例えば試合前にとても緊張している子だったり(笑)を見ると、すごく気持ちが分かりますね。早稲田は(部員が少なく)1年生から試合に出ないといけないので、それでもある程度リラックスして臨めているところを活かしてもらいながら、一緒にプレーができたら楽しいなと思います。
ーー最後に、リーグ戦全体に向けた意気込みをお願いします
目標として決勝戦進出を掲げてはいますが、まずは上位リーグに入っていって、先を見据えながら勝つべきところで勝つというところをブラさずに頑張っていきたいと思います。
加納恒心(スポ2=東京・明大中野)
――今日の試合の全体を振り返っていかがですか
個人としては、最初は緊張して、ガチガチになってしまい、体が思うように動かなかったのですが第2P目に自分で点を取ってから気持ちが楽になって、そこから視野が広がったり、体を思うように動かしたりできて、せった試合で最後自分が決め切れたのは、良かったと思います。
ーー第4P残り1分でのゴールが、逆転弾で決勝点となりました。あのプレーでの状況やお気持ちを聞かせてください
同点だったので、外して相手にカウンターをくらっての失点だけは無くそうとチームで決めていたので自分が絶対打ってやろうというよりかは、自分にボールが来て、シュートチャンスが来たら最後絶対決め切るという気持ちだけは持っていました。
――個人としての収穫と課題を聞かせてください
この試合では、自分の武器である泳ぎのスピードを生かしたカウンターが何本も出せたので良かったと思います。課題は、相手に抜かれて、退水をもらうことや、1対1の場面で点が取れない、相手を守ることができないっていう場面が多かったのでそれは、次回には改善していきたいと思います。
――2年生になり後輩ができました。何かチームに対する姿勢で変わったことはありますか
去年は一年生で、緊張というよりかは、大学生始めての試合で、ワクワクの方が大きかったのですが、2年生になって去年悔しい思いをたくさんしてきたので今年は、なんとしても結果を残したいという気持ちが大きかったです。
――明日筑波大戦に向けての意気込みをお願いします
今日の勝ちの勢いに乗ったまま明日もしっかり勝ちたいと思います。