伊藤樹が11回完封!2021年秋以来の明大から勝ち点を獲得/明大3回戦 | 早スポオフィシャルブログ

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東京六大学春季リーグ戦 4月29日 神宮球場

 

早大 000 000 000 05=5

明大 000 000 000 00=0

 

 1勝1敗で迎えた3回戦。早大は、先発・伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)が11回147球を投じ、強力・明大打線を無失点に封じ込める熱投を見せる。打線は10回までに14残塁と、あと一本が出ずに苦しんだものの、延長11回に4安打5得点と大爆発。最終打者の宗山塁(4年)を二ゴロに抑え、早大が勝ち点を獲得した。

 勝ち点を懸けた第3戦の先発マウンドを託されたのは、エース・伊藤樹。その伊藤樹は、初回、飯森大慈(4年)に出塁を許し、打席に宗山を迎えると一気にギアチェンジ。宗山のバットを2球連続で破壊すると、最後は足元にスライダーを消し込んで空振り三振を奪い、相手打線の中核を制圧した。勢いに乗った伊藤樹は6回までに5三振を奪うなど、上々の投球を披露。最速147㌔を記録した威力満点の直球を軸に、相手打線を抑え込んでみせた。

 

先発の伊藤樹

 好投する伊藤樹を援護したい打線は初回、先頭の尾瀬雄大(スポ3=東京・日大三)が中前安打で出塁すると、山縣秀(商4=東京・早大学院)の犠打、印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)の四球などで2死一、三塁の好機を作る。しかし、続く前田健伸(スポ3=大阪桐蔭)は中飛に倒れ、先制点を奪うことができない。3回にも、山縣、吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)の連打で1死一、二塁の好機を迎えたものの、印出主将、前田が凡退し、無得点。あと一本が出ない展開が続いた。それでも7回、尾瀬、山縣の連打で一死一、二塁の好機を演出すると、打席に入ったのは吉納副将。右翼線に打球を運び、あわや先制打かと思われたが、横山陽樹(4年)の好捕で先制点には至らず。さらに、この間に二塁走者の尾瀬が打球判断を誤って二塁を飛び出してしまい、帰塁できずにスリーアウト。先制の好機を、またしても逃す格好となった。

 

3回に安打を放ちガッツポーズをする吉納副将

 絶好の好機を逃し、嫌な雰囲気が漂うなか、伊藤樹は先頭の宗山に四球を与えてしまい、流れも明大に傾きかけたかと思われた。それでも伊藤樹は、4番の横山を遊ゴロ、6番の木本圭一(4年)を二ゴロに打ち取り、何とかこのピンチを切り抜けると、続く8回には連続三振を奪うなど三者凡退に封じ込める。この日の伊藤樹は、10回まで相手に三塁を踏ませない圧巻の投球。「とにかく先に点を取られない事を意識した」と、辛抱強く味方の援護を待ち、好投を続けた。

 しかし、打線は8回から登板した浅利太門(4年)を前に苦しんだ。8、9、10回と連続で走者を出したものの、3回で4三振を喫し、先制点を奪えない。10回には2四球を奪い、2死一、二塁の好機を作ったものの、梅村大和(教育4=東京・早実)が三振に倒れ、この場面でも2者残塁。結局この日は計15残塁と拙攻が続き、ややフラストレーションがたまる展開となった。

 それでも11回、先頭の寺尾がストレートの四球で出塁すると、伊藤樹がバント。すると、この処理を浅利が誤り、無死二、三塁の好機が転がり込む。この場面で打席に入ったのは、今季好調の尾瀬。尾瀬は、この場面でも鋭い当たりを右翼前に運び、待望の先制点を勝ち取った。続く山縣が中前適時打で続くと、吉納副将にも今季初長打となる適時二塁打が生まれ、この回一挙5得点。この日苦しんだ打線が、最後の最後で爆発してみせた。

 

11回に均衡を破る適時打を放った尾瀬

 

11回に適時打を放った山縣

 

 10回までに133球を投じていた伊藤樹だったが、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)は11回のマウンドにも伊藤樹を送り出す。伊藤樹は簡単に二死を奪ったものの、次打者の飯森に「飯森シフト」が裏目となる右翼線への三塁打を浴び、この日初めて三塁に走者を背負う展開を迎える。それでも、宗山を相手に最速141㌔の直球を投げ込むなど、最後まで球威は衰えず。宗山を二ゴロに抑え込み、11回被安打6、8奪三振、与四球1、投球数147の完封劇を完成させた。

 

最後の打者の宗山を二ゴロに打ち取り、喜ぶ伊藤樹

  第3戦までもつれ込んだものの、優勝を争う上で絶対に負けられない明大を相手に、勝ち点を奪取した早大。2021年秋以来となる明大戦での勝ち点奪取によって、7季ぶりの優勝も現実味を帯びて来た。主力選手の状態も徐々に上向き、チーム状況は万全と言っても良いだろう。残る3カードでも勝ち点を奪い切り、賜杯奪取を期待したい。

 

(記事 林田怜空、写真 近藤翔太)

 

 

 

◆コメント

伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)

ーー今日の試合全体を振り返っていかがでしたか
 本当に勝てて良かったなという気持ちだけですね。完封(という結果)もありますけど、とにかく勝てて良かったです。

ーーなかなか援護に恵まれない中での投球でしたが、意識していたことを教えてください
 みんなは点を取ろうと必死にバットを振ってくれている中で、僕ができることはやっぱり投げて抑えることだと思うので、相手に先に点を取られないことをとにかく意識して投げていました。

ーー春キャンプから球速、球威ともに上向いている印象がありますが、直球に関しての手応えを教えてください
 リーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)に入る1週、2週前くらいからすごく良くなってきて、状態がいい中でリーグ戦に入ってこれていて。沖縄キャンプから苦しんだ成果がちょっとずつ出てきていて、それに結果も着いてきているので、本当にいい感じで投げて来れているのかなと思います。

ーー強力な明大打線に対して変化球でも空振りを多く奪っていた印象でしたが、変化球についてはいかがでしょうか
 土曜日の試合でかなり安打を打たれて迎えた今日だったので、意識として変えたことは多くはないのですが、とにかくローボールを投げることと、腕をしっかり振って投げることを重視して投げていた結果、いいところにボールも行きましたし、内野ゴロになる場面も多くあったので、いい結果が出て良かったなと思います。

ーー第1戦はカーブの割合が増えた印象がありました。配球面で変更したことはありましたか
 カーブの割合に関しては、土曜日から意識して多く使っていました。カーブを使うにあたって思ったよりも真っすぐが捉えられてしまったので、あんまり緩急の意味がないというか、土曜日があったからこそカーブをあまり使わなくても抑えられて、結果的にはつながったので、カーブの割合を高めたことや真っすぐをしっかり投げられたことが今日につながったのかなと思います。

ーー明大相手に2021年秋以来となる勝ち点獲得となりました。優勝も現実的になる中で、残りのシーズンに向けての意気込みをお願いします
 明大に勝って終わりではないので、残り3カードしっかり取って、大きく優勝には近づいたと思うのですが、東大、法大、慶大と続いていくので、気を抜くことなくしっかりと自分の役割を果たしてチームを勝たせられればいいなと思います。