高麗大学との定期戦が韓国の地で開催!2点ビハインドからの勝利をつかむ | 早スポオフィシャルブログ

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   3月の中旬にア式蹴球部(ア式)は、韓国遠征を実施。高麗大学との56回目となるサッカー定期戦に臨んだ。序盤から幸先よく試合に入ったのは高麗大学だった。ア式は右サイドを崩され先制点を喫するとセットプレイからも失点を許し、前半途中で2点を先行される展開に。それでも前半終了間際にコーナーキックからMF東廉(スポ4=清水エスパルスユース)が1点を返す。すると苦戦した前半とは一転、後半は途中交代で投入された選手を中心に猛攻を仕掛ける。72分にMF松尾倫太郎(人4=千葉・八千代)が同点弾、87分にはMF本保奏希(スポ3=JFAアカデミー福島U18)が逆転弾を決める。2点先取されながらも、最後まで諦めずに戦ったア式が逆転勝利をつかんだ。


左サイドバックで先発出場した伊藤稜介(スポ1=ジュビロ磐田U18)


 相手より先に得点を奪い、試合を優位に進めたかったア式だったが、ハイプレスがうまくはまらない展開が続く。ア式が前線からプレスをかけるのに対し、相手はDFラインからサイドへのシンプルなロングボールで前進を図る。相手のウイングを務めた選手が長身だったこともあり、ロングボールをうまく収められる。結果的にハイプレスをかいくぐられ、自陣サイドで起点をつくられることに。すると20分に自陣で右サイドを細かいパスで崩され、ペナルティエリア内でのシュートを許す。このシュートがア式ゴールへと吸い込まれ、先制点を許す。さらに29分にはショートコーナーから2点目を喫する。相手のデザインされたセットプレイに翻弄され、痛恨の追加点を相手に与えてしまう。少しでも相手スコアに近づきたいア式は、39分にコーナーキックを獲得。MF伊勢航主将(社4=ガンバ大阪ユース)の右コーナーキックを松尾が頭で合わせてシュート。このシュートのこぼれ球を拾った東が胸トラップから冷静にシュートを決める。ア式が前半の内に逆転勝利へと勢いをつける1点を返し、試合はハーフタイムへ。


チーム1点目を決めた東


 前半終了間際の得点で後半での逆転に望みをつないだア式は、後半立ち上がりからボールを保持することに成功。ハイプレスをかわされた前半とは一転、後半は中盤でのボール奪取が目立つ展開になる。しかし、なかなかシュートまでたどり着けない展開が続くと58分に相手の素早い攻撃から左サイドを突破される。相手ウイングが放ったシュートはクロスバーに直撃。さらに70分には右サイドのクロスからゴール前で相手FWがヘディングシュートを放つも、GK北村公平(文構4=神奈川・桐光学園)のファインセーブで追加点を許さない。クロスバーとゴールキーパーに救われることになった。すると北村のファインセーブに応えるかたちで直後にア式が決定的なチャンスをつくる。72分に相手のハイプレスをかわし、右サイドを駆け上がったDF西凜誓(社2=名古屋グランパスU18)が中央へパス。ペナルティエリア手前でMF山市秀翔(スポ3=神奈川・桐光学園)が相手選手を引き付けてパスをスルー。左サイドから走り込んできた松尾がワンタッチでシュートを放つとボールは相手ゴールへと突き刺さり、ア式が待望の同点弾を決める。この同点弾で流れを掴んだア式は、攻撃の手を緩めない。73分には山市のループパスをFW駒沢直哉副将(スポ4・ツエーゲン金沢U18)が頭で合わせるも、シュートは枠外。続く77分にも相手DFからボールを奪い、駒沢がGKとの一対一を迎えるも、シュートはGKにセーブされる。両チーム共に追加点を決められないまま試合終了かと思われたが、87分にア式がビッグチャンスを迎える。本保がMF成定真生也副将(スポ4=神奈川・日大藤沢)とのショートパスで相手ペナルティエリアへ侵入。パスは相手にブロックされるもこぼれたボールを本保がすかさず拾い、シュートを打つ。「シュートのイメージしかなかった」(本保)と言うように躊躇なく放たれたボールは弧を描いてそのままネットを揺らし、試合終了間際にア式が初めてリードすることに。ア式は、このまま相手にチャンスをつくらせず時間は経過し試合は終了。自分たちの軽率な守備から2点の先行を許すも、貪欲にゴールを目指したア式が逆転勝利を達成した。


相手陣にドリブルで侵入する松尾


 西、山市、成定、本保と途中交代で入った選手が活躍したこの試合。関東大学サッカーリーグ戦の開幕戦が約二週間後に迫るなか、チームの総合力の強さを感じさせる一戦となった。長いリーグ戦を戦う上で選手層の厚さは必要不可欠である。圧倒的な成績でリーグ戦優勝、1部昇格を成し遂げたい今期。1年間を通じてチーム内で熾烈なポジション争いを繰り広げることが、チーム全体の強化へとつながる。シーズンの最後まで選手全員がそれぞれを高め合うチームになることを期待したい。

(記事 荒川聡吾、写真 和田昇也)



試合後インタビュー

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
ーー試合全体振り返っていかがでしたか
前半、相手の特徴とか何も分からない状態でスタートして、 あと誰がキープレイヤーなのかとか、相手のどういう風なやり方なのかっていうところを、中でちょっと微調整できなかったところがあったのかなと。ハーフタイムではガラッと変わるタイミングがあるかもしれないですけど、強い相手だともう0ー2の段階で致命的になりがちだと思うので、そういうところではそこら辺のコミュニケーションの量だったり、僕らももうちょっと伝える量を増やさないとってところも多少はあるかなとは思いますけど、プレイしてる最中って限界があるので、もう少し微調整ができるようなチームだったり、その決定っていうのをプレイヤーたち自身でできるっていうところが大事かなと思います。ただ大枠というか、早稲田のやるべきことは変わらないので、そこのちょっとのずれだったり、こうしようっていうはめ方だったりは、ピッチの中で全然決定してくれてもいいというところはあるので、そこを誰がやるのというとこだったり、どう引っ張っていくのっていうところのベクトルの向け方が前半は良くなかったなっていうところですかね。後半は、前半しっかり見て分析しとくようにって言って、分析班をしっかり作って、特徴もしっかり掴んでたので、それを踏まえてこうした方がいいんじゃないかというとこだったり、こうしようっていうのを伝えて、それが後半はしっかりとバチっとはまったというところで、前半と違って相手に特に何もやらせなかったっていうとこだったりができたのかなと思います。考えてサッカーする大事さと、ある程度決まり事を作ってこうしようっていうところのバランスがやっぱ大事になってくるのかなっていう風には思います。

ーー失点は相手の特徴を掴み切る前にやられてしまったと感じる部分ですか
そうですね、10番のところのキーマンっていうところをどうやって抑えるのって時に、1対1で勝ちに行こうとしたので、やらせないやり方と、 時間かけてしっかりと守るっていうとこだったり、いい状態にさせないボールの回させ方だったりが後半はしっかりできていたので。体格も含めて、この(高麗大学10番)レベルは当然日本にもいると思うので、こういう相手にもやられないっていうところは大事ですし、体で負けるんだったら違う守り方をすればいいっていうところの、マッチアップする相手によっての、戦い方の変え方、 失点しないっていうところに対しての原理原則をもっと守らせないといけないなっていうとこだったり。まだ守備始めて3週間目なので、ここもう1段階、2段階上げて最後やれればなというとこです。

ーー今日の相手に3対2という結果はどう捉えていますか
0ー2からだったので、これひっくり返したのは去年とはちょっと違うなというところは見せたかなと思うんですけど、まだまだ甘さがあるなっていうふうにも感じます。去年は4ー3だったり3ー2で勝つことを目指していたところから、今年は3ー1だったり3ー0で勝つチームを目指しているので、 そこの部分では2失点というのはしっかりと改善しないといけないですし、他のシーンでも特に守備のスライドだったりっていうところのサボりがかなりたくさんあったのかなというふうにもみられたので、後半ぐらいをベースに最低限やれれば、失点も減らせるのかなっていう風には思います。

MF本保奏希(スポ3=JFAアカデミー福島U18)
――試合全体を振り返ってください
自分は後半からでしたけど前半先に2失点してしまって、チームとしてあまり良くない雰囲気だったので、そこから逆転できたことは良かったですけど、まずは2失点したことに意識しないといけないと思います。

――途中交代での出場だったが、どういった指示を受けていましたか
具体的な指示はなかったですけど、負けている状況だったので、自分が入って自分のぶきでもある攻撃を活性化させるというところは意識して試合に臨みました。

――後半の途中からア式が押す展開が続きましたが、ハイプレスは意図したものでしたか
そうですね。もう勝たないといけないゲームだったので、全員が勝つために前からプレスに行こうという意識を共有して、それができたことで自分たちの流れに持っていけたと思います。

――得点シーンを振り返ってください
1個目の(シュート)のところで自分がミスしてしまったなかでうまく自分のところにボールが転がってきたので、もうシュートのイメージしかなかったので迷わず打ちました。

――自分が試合を決めるという意識はありましたか
最近練習試合を含めて点を取れていなかったので、点は取りたいなと思っていたなかで、今日結果を出せて良かったです。

――これからへの意気込みをお願いします
去年達成できなかった1部リーグ昇格ということを今年は何としても成し遂げるために開幕から勝ち点を積み上げることが大切だと去年痛感したので、開幕から負けることないようにチームで一丸となって頑張っていきたいと思います。