六 新入生歓迎試合
見慣れない天井を見上げていた。大きなダブルベッドに薄紫色の毛布がかけられており、最上はそこで目が覚めた。ポールハンガーに女性の衣類が乱雑にかかっており、半身を起こすと自分が全裸である事に気が付いた。
「葉月か…?」
まさかそんなはずはあるまい。食事をして家に着くなり、水鏡のメールを受け、返信。風呂に入り、明日の準備をして就寝。
おかしい。記憶が繋がらない。もう一度部屋を見渡した。正面の扉の外はどうなっているんだ? 入口のハンガーの衣類はいったい誰の物だ? 右に入るとすぐ奥にバスルームがあるのか? 誰かいるのか。いや、それより…
「ここは…」
「『どこだ』とでも言いたそうね?」バスルームから響く女の声。葉月ではないだろう。扉が開いたのか、キィーという音に続いてキュキュッと栓を閉める音がして、今まで聞こえていた音がシャワーの音だと分かった。
バスタオルのはためく音がしてすぐ、白いバスローブを身に着けた女が、短い髪をタオルで挟み込むように拭きながら現れた。美しい身体を思わせる艶(つや)やかな肌。美しい手つきで髪を掻き上げると、切れ長の鋭い眼が最上の視線を捉えた。
すぐに身構え、逃げる事を考えた時、自分が全裸である事を再認識して辺りを見回したが、服は見当たらなかった。
「俺の服はどこにやった?」
「服? 何の事?」
惚けた振りをして近づいてきた女は、毛布を引きながらベッドを降りようと考えた最上が、行動を起こす前に、いち早く毛布の上に腰を下ろした。