神秘的 | ナベちゃんの徒然草

ナベちゃんの徒然草

還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

今日は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したロシアの作曲家・ピアニスト、

 

 アレクサンドル・スクリャービン

     Alexander Scriabin

 

の命日・・・没後110周年にあたります。

 

スクリャービンは1872年、帝政末期ロシアのモスクワで外交官の父とピアニストの母の間に生まれました。

 

母が出産後間もなく亡くなったため叔母に育てられた彼は、母のDNAを色濃く継いだようで幼少期からピアノを習い、その才能を認められて14歳からモスクワ音楽院の院長や教授に師事し、16歳で正式に入学。 

 

同期にはあのラフマニノフ(↓)がおり、卒業試験では彼が1位、スクリャービンが2位を獲得し、2人とも将来を嘱望されました。 

 

 

当初はピアニストを目指していましたが、ラフマニノフと違って手が小さかったこともあり断念。 

 

1894年にたまたま彼のリサイタルを聴いた出版業者ベリャーエフの後援を受け、本格的な作曲活動に開始。

 

1898年には母校・モスクワ音楽院の教授を務める傍ら、多くのビアノ作品と交響曲1~3番を作曲しました。

 

     

 

ところが作曲に専念するため1902年に音楽院を辞職すると、1904年には家庭を捨てて弟子だった女性と出奔し、ヨーロッパ各地を転々。 

 

1910年に帰国すると自作のビアノ協奏曲を演奏し録音を残すなどしましたが、虫刺されによる膿症から敗血症を引き起こし、1915年4月14日に43歳の若さでこの世を去りました。

 

ベートヴェンやモーツァルトのように肖像画が音楽室に飾られることがまずないため、一般的には彼の名前も曲も知られていないと思いますが、ピアノの世界ではその存在は大きく、音楽性には独自のものがあります。

 

それは、〝神秘性〟。 

 

彼は音楽を、 〝単なる娯楽ではなく、世界の背後に存在する神の智恵の表れであり、これを使って人々を法悦の境地へと導き、神との合一を経験させることによって、通常の人間を超越した存在へと解脱させることができる〟 ものと考えました。

 

故に彼の作品は、特に後期から他の作曲家のものとは違った響きを持つようになります。 

 

その代表的なものが、彼が創り出した 『神秘和音』。

 

  

 

実際にピアノで下から順番に弾いていくと、サスペンス・ドラマの重要場面で使われそうな感じで、いかにも神秘的(?)。

 

また鍵盤操作に応じて7色の光をスクリーンや合唱団員の白い衣装に映し出す『発光ピアノ』を考案するなど、その発想は実にユニークでした。

 

そんな彼を私が知ったのは、最も敬愛する20世紀最高のピアニスト、ヴラディミール・ホロブィッツと関わりがあったから。

 

ホロヴィッツがピアノを始めたばかりの頃、スクリャービンの前で演奏する機会があったとか。 

 

それを聴いたスクリャービンは即座にホロヴィッツ少年の才能を見抜き、母親に早く本格的なピアノ教育を施すようアドバイスしたといいます。 

 

もしこの出会いがなければ、彼が不世出のピアニストとして歴史に名を残すことはなかったかも・・・。 

 

そのせいかどうか、ホロヴィッツは当時マイナーだったスクリャービンの曲をレパートリーに入れ、コンサートでは必ずと言っていいほど演奏しています。

 

それでは最後に、独特な曲想で後世に影響を残した作曲家の冥福を祈りつつ、私が最も好きな彼の曲『エチュード  作品8-12』 をホロヴィッツの演奏でお聴きください。

 

 

 

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