転 落 | ナベちゃんの徒然草

ナベちゃんの徒然草

還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

私が彼の存在を初めて知ったのは、映画館でした。

 

高校生の時に、大好きだったS・マックィーンとP・ニューマンが共演した大作 『タワーリング・インフェルノ』 を観た時、長身かつ均整の取れた肉体と端正なマスクをした黒人の警備主任役で出演していたのが、

 

  O.J.シンプソン

  Orenthal James Simpson 

   

 

観たことのない俳優だなァ・・・と思ったのですが、映画のパンフを見て彼がアメリカン・フットボールのスーパー・スターであることを知り、以後俄然NFLに興味を持つキッカケになったものです。

 

彼は1947年カリフォルニア州生まれ。 

 

アフリカ系アメリカ人を両親に持ち、極貧の中で育った彼はアメリカンフットボールの選手として頭角を現し、地元南カリフォルニア大学で大活躍。

 

ハイズマン・トロフィー獲得を引っ下げ、1969年に当時弱小球団だったバッファロー・ビルズに全体ドラフト1位で入団。

 

当初はコーチとの確執もあってくすぶりましたが、1972年にコーチが代わってからはランニングバックとして大活躍。 

 

翌年にはNFL史上初のシーズン2,000ヤードのラッシング記録を達成。

 

『タワーリング・インフェルノ』 は、まさしく彼の絶調時に撮影されたわけです。

 

この年からNFLのゲームをテレビで観戦するようになった私は、彼のスピード感溢れる突進を、(嗚呼、世の中には二物を与えられた人物がいるもんだなァ。) と溜息交じりに見ていたのですが・・・。

 

しかし、1980年に現役を引退したこのスーパー・スターの名が再び大注目を浴びたのは、今からちょうど30年前の今日・1994年6月12日・・・彼の元妻ニコール・ブラウンさんと彼女の友人が、元妻の自宅前で殺されているのが発見されたこと。

 

嘗て国民的ヒーローだった黒人が、白人の元妻を殺害か?

同月17日には、逮捕状が出され逃げる彼と警察のカーチェイスが全米に生中継されました。

 

 

また手配書のような写真を 「TIME」 誌が掲載し物議を醸すなど、刑事裁判は人種問題も絡んで全米注目の的となりました。

 

      ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-Orenthal James Simpson

 

しかし金にモノを言わせ、〝ドリームチーム〟と揶揄されるほどの腕利き弁護士でチームを組んだシンプソン被告は、刑事裁判では無罪を勝ち取ります。

 

ところがその後に行われた民事裁判では一転有罪となり、遺族側に約8億円の賠償を命じられました。

 

これで一件落着、静かにしていればいいものを・・・彼はまたまたやってくれました。

 

莫大な裁判費用捻出のため自ら手放した記念品などを取り戻そうと、2007年に仲間と共謀・武装してラスベガスのホテルに侵入したところを逮捕され、懲役33年の刑を言い渡されて収監され服役。

 

アメリカン・ドリームのシンボルから一転して囚人に・・・天国から地獄とは、まさにこのこと。

 

     

 

もし再び彼がヒーローになるとしたら、映画『ロンゲスト・ヤード』そのままに、刑務所内でアメフトの囚人チームを結成し、看守チームをやっつけることしかなさそう・・・って、彼はQBじゃないから、所詮主役にはなれなかった?😅

刑務所の中からツイッターで発信を続けていた彼は2017年に仮釈放されましたが、2ヶ月前の4月10日、癌により76歳でこの世を去りました。

果たして彼は、あの世で元妻とまともに再会できるやら・・・?

 

 

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