時々ニュース等で話題になる
世界遺産
これに関する条約がユネスコで採択されたのは意外と古く、今から半世紀以上前の1972年のことでした。
現在は194ヶ国が締結しており当然日本も加盟していますが、我が国が世界遺産条約を締結したのは、スタートしてから20年後の1992年。
先進国としては最後にあたる125番目でした。
なぜこんなに遅れたのか? その理由については、
◆文化財保護法などの独自の保護関連法制が整っていて必要性が認識されづらかった
◆参加した場合の煩瑣な行政手続きや国内法の修正作業への懸念があった。
◆重要性に対する認識が希薄な中で、国会審議の優先順位が高くなかった。
◆世界遺産基金の分担金拠出に関する議論が決着しなかった。
等々があったようです。
現代の力の入れようからは考えられないことですが・・・。
条約締結国は,国際的な観点から価値があると考える自国の遺産を推薦し,諮問機関による学術的な審査を経て21ヶ国で構成される世界遺産委員会においてその価値や保存管理体制が認められれば登録が決定されるとのこと。
そして日本からの推薦が認められ、初めて世界遺産として屋久島・白神山地(自然)、法隆寺・姫路城(文化)が認定されたのが、今からちょうど30年前の今日・1993(平成5)年12月9日のことでした。
実はこの法隆寺・姫路城の登録は、世界遺産認定の流れを少なからず変えることに。
というのは、それまでの文化遺産は石造で基本的に修理を必要としないものばかりでしたが、法隆寺・姫路城は木造であり、解体・修理を経て現代まで残されてきた建造物だったから。
これが議論の末認められたことで、以降アジア・アフリカに多い木造や煉瓦・泥の建造物などが世界遺産として認められる流れを作ったのだとか。
以降現在まで登録されたのは文化遺産99件、自然遺産2件、複合遺産39件を含む1,199件。
うち日本からは文化遺産20件、自然遺産5件の計25件が登録されています。(※いずれも2023年10月現在)
今後も登録件数を増やすべく推薦を続けるのでしょうが、個人的にはその流れについてあまり好感を持っていません。
というのは、文化財・自然環境の保護を目的としているはずなのに、実際登録されると観光客が押し寄せ、結果的に遺産の劣化を招きかねないから。
そろそろ打ち止めにした方がいいと思うのは、私だけ?