今日は中高年世代には懐かしい、昭和時代に映画・TVドラマで活躍された俳優、
大坂 志郎 さん
の命日・三十三回忌にあたります。
大坂さんは1920(大正9)年に秋田県能代市で生まれました。
旧制・日本大学第二中学校を中退して新築地劇団の研究生になりますが、早稲田高等工学校の機械化を卒業すると、昭和製鋼に入社。
しかし俳優の道を断ちがたく、戦時中の1942年に松竹俳優研究所に入所し、翌年『開戦の前夜』でスクリーン・デビュー。
その後応召し兵役につきますが、戦後は松竹に復帰。
柳谷金語楼さんの喜劇などに数多く、また小津安二郎監督の『東京物語』にも出演しました。
1955年には日活に主役級として移籍したものの、石原裕次郎さんらの台頭により脇役としての出演が主となり、フリーとなってからは映画からTVドラマ出演にシフト。
『だいこんの花』シリーズなどで森繁久彌さんと、また『パパとよばないで』などで石立鉄男さんとの共演が多く、また1986年には大河ドラマ『いのち』にも出演されましたが、個人的には何と言っても1970年から始まった『大岡越前』シリーズでの同心・村上源次郎がハマリ役。
加藤剛さん演じる大岡忠相から、〝源さん〟と親しみを込めて呼ばれていましたが、温厚な人柄がそのまま地で出ていた感じでした。
スタートの第1部から1985~6年にかけて放映された第9部まで約15年間にかけて出演していましたから、強く印象にに残っているのは当然でしょうネ。
大岡越前シリーズはその後1999年まで続きましたが、出演が第9部で終わったのは、大坂さんが病魔に襲われたから。
1988年に胃がんに侵され、摘出施術を受けて一旦は復帰したものの、翌1989年2月末に食道がんが見つかり入院。
そして翌3月3日に69歳でこの世を去りました。
長年地味なバイプレーヤーとして活躍された大坂さんですが、実は日本映画史に燦然と名を残す快挙(?)を行っているんです。
それは戦後松竹に復帰後に出演した映画 『はたちの青春』 の中で、共演した女優・幾野道子さんと、邦画初の接吻シーンを演じたこと。
※同作に関する過去記事は、こちら。(↓)
演じたお2人は、まさに清水の舞台から飛び降りる覚悟だったはず。
私自身はこの作品を鑑賞していませんが、どうしても〝大坂さん=同心の源さん〟というイメージが強く、そのキスシーンをちょんまげ姿の大坂さんが演じている映像が頭に浮かんでしまい、思わずほくそ笑んでしまいます。
おっと、失礼なことを言ってしまいました。
あらためて昭和時代を代表するバイプレーヤーのご冥福をお祈りしたいと存じます。