物をどんどん使い捨てることが最近では常識だと聞いたことがある。
物には全て寿命があるのだから使えなくなったら捨てることもいい。
しかし、まだ使用に耐えるものまで捨てるのは全くの浪費といってよい。
話は違うが、我が社の下請工場として30数年間続いている会社がある。
既に先代は亡くなっているのだが、この工場が出来た頃、私は一度訪れたことがある。
その頃はまだ小さい工場だったが、備え付けられている機械を見て驚いた。
というのは、どの機械もまるでナメたようにピカピカに光っており、おそろしく手入れが行き届いていたからだ。
聞いてみると、オヤジさんが工場の道具や機械を非常に大切に扱い、仕事が終わったらキレイに掃除し磨き上げるとのこと。
私は 「これだけ機械を大切にする工場なら、取引しても決して粗末な部品を作らないだろう」 と、その時心を打たれたのである。
当初数人の従業員しかいなかったその工場も徐々に人が増え、今では数百人になって成功している。
機械のようなモノを言わない物にも、生命はある。
大切にされれば(使う人を)大切にしてくれる。
手入れをすればそれだけ長持ちして働いてくれるのである。
今の若い人にこんなことを言うと笑うかもしれないが、自分がご飯をいただいている機械や道具を浪費せず、感謝して大事にする人は大概成功している。
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私が社長なら、この話を聞いて笑うような若者は採用しません。
※シャープ創業者・早川徳次氏の著書『私の生き方』より