「アメリカ人の作家といえば?」と問われれば、私のような中高年世代の多くは、この方の名を挙げるのではないでしょうか?
今日は、その
アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ
Ernest Miller Hemingway
の命日・没後60周年にあたります。
ヘミングウェイは1899年に現在のイリノイ州シカゴで、医師の父と声楽家の母の間に6人兄弟の長男として生まれました。
父親からは釣りや狩猟、ボクシングなどの手ほどきを受けた一方で、女の子が欲しかった母親からは無理やり女装をさせられたという、ちょっと変わった環境で育ったとか。
高校卒業後ミズーリ州の地方紙・カンザスシティースターの見習い記者になりましたが、程なく退職。
その翌年赤十字の一員として第一次世界大戦の戦場に赴くと、そこで瀕死の重傷を負ってしまいます。
1918年頃の軍服姿
戦後はカナダのトロント・スター紙のフリー記者となり、特派員として渡仏した頃から小説を書き始めました。
1930年代にはスペイン内戦に人民戦線政府側として積極的に関与し、その体験を元に書いたのが、『武器よさらば』(1929年)や『誰がために鐘は鳴る』(1940年)でした。
もっとも、それらの作品は個人的には小説よりも映画で観賞しましたが・・・。
そしてヘミングウェイの代表作といえば、1952年に発表された『老人と海』でしょう。
この作品が高く評価され、1954年にはノーベル文学賞を授与されました。
ただせっかく釣り上げたカジキをサメに食い尽くされ、港に戻った時には骨だけになる・・・というストーリーは、何とも虚しいもの。
私としては、その展開がどうしても彼のその後の人生を暗示しているように思えてなりません。
ノーベル賞を受賞した年に、彼は何と2回も飛行機事故に遭遇。
2度とも奇跡的に生還したものの、その時のケガにより栄えある受賞式には出席できず。
それまで売りにしていた肉体的な頑強さはすっかり影を潜めてしまいます。
また事故の後遺症により躁鬱などの精神病に悩まされるようになり、執筆活動も次第に滞りがちに。
そして1961年7月2日早朝、散弾銃で自殺・・・61歳で人生に幕を閉じました。
(当初は銃の暴発による事故死と報じられましたが、後に遺書が発見され自殺と断定。)
生涯に4度結婚し、また多数の短編を残した彼の文章は簡潔で読みやすく、多くの読者の心を捉えアメリカ文学の古典として今でも高く評価されています。
出来れば原書で一度 『老人と海』 を読んでみたいものですが・・・果たして実現するかどうか。