国葬とは、国家に功労があった人物の葬儀を国家の儀式として国費を以って行われる葬儀のこと。
誰を対象とするかは、その国によってさまざま。
アメリカは歴代大統領が対象となり、イギリスでは国王・英国王室が原則ですが過去にはネルソン提督やチャーチル首相など。
変わった(?)ところではマザー・テレサ(インド)、テレサ・テン(台湾)、そしてアイルトン・セナ(ブラジル)などが国民的英雄として国葬が執り行われました。
それでは、日本ではどうだったか?
明治以降、国葬をすべき必要上1926(大正15年)10月に『国葬令』が公布され、法的に整備がなされました。
天皇・太皇太后・皇太后・皇后の葬儀は、特に『大喪儀』と呼ばれて国葬が行われ、た。また7歳以上で薨去した皇太子・皇太孫・皇太子妃・皇太孫妃及び摂政たる皇族の葬儀は全て国葬に。
また天皇、皇族以外の国家に功績ある臣下が死去した場合にも天皇の特旨により国葬が行われ、「皇族」「王公族」「旧薩長藩主」「首相・太政大臣・左右大臣の経験者」「元帥」のいずれかに該当する人物が対象とされました。
戦前は〝大喪儀〟を除き20名に対し国葬が執り行われましたが、その中で日本近代史上有名な2人について、この6月5日に国葬が執り行われています。
まず1934(昭和9)年に、日本海海戦でバルチック艦隊を撃破した、東郷平八郎元帥海軍大将。
同年5月30日に86歳で亡くなられた東郷元帥は、海軍に於いて絶対的な存在。
国葬の際には、参列のために各国海軍の儀礼艦が訪日。
かねてより東郷元帥を尊敬していた米海軍ニミッツ大佐(後の提督↓)はじめ、各国の艦長が葬儀に参列し弔意を示しました。
ただ東郷元帥本人は乃木神社のように自分を神格化することを強く拒んだそうですが、結局東京と福岡2ヶ所に東郷神社が建立され、祀られることに。
そしてもう1人が、1943(昭和18)年4月18日に搭乗していた飛行機を米軍機に攻撃され墜落死した山本五十六元帥海軍大将。
山本元帥の戦死は1ヶ月以上伏せられ、発表された時は国内に大きな衝撃が走ったとか。
それまでの国葬は全て皇族・華族であり、そうでない平民に国葬が執り行われたのは、戦前では山本元帥が史上唯一。
戦後は国葬令が失効したことにより、国葬の規定は消滅。
唯一1967(昭和42)年に執り行われた吉田茂・元総理の葬儀が、閣議決定により特例を以って国葬となったのみ。(↓)
果たして今後、国葬を執り行われるような国民的英雄は出現するや、否や。
とは言え、個人的にはそういう人物が現れる時は大きな国難を迎えることになる可能性が高い故に、出ないことを願いますが・・・。