未完成 | ナベちゃんの徒然草

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還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

・・・と言っても、シューベルトの交響曲ではありません。

その場所と名前は知らずとも、殆どの方はこの4人の顔には見覚えがあるでしょう。


      

サウスダコタ州の

 

  ラシュモア山国立記念公園

Mount Rushmore National Memorial Park

 

にあるブラックヒルズの岩山に、左から初代ジョージ・ワシントン、第3代トーマス・ジェファーソン、第26代セオドア・ルーズベルト、第16代エイブラハム・リンカーンと、4人のアメリカ歴代大統領の胸像がお目見えしたのが、今から77年前の今日・1941年10月31日のことでした。

 

     

 

このモニュメントは、アメリカ国家の誕生・拡大・保護・発展の象徴として同政府がアイヌダホ州生まれのデンマーク系アメリカ人彫刻家ガッツォン・ボーグラムGutzon Borglum 1867-1941)に制作を依頼したもの。

彼は末永くその作品が残るようにと、約16億年前に出来た非常に硬い花崗岩で形成されたラシュモア山を制作場所に決定。

1927年から作業を開始しましたが、硬い岩盤を選んだために彫刻は困難を極め、ダイナマイトで岩を砕きながら作業を進めたそうな。

 

    

                ボーグラムと作業風景


400人もの作業員を使い、標高1,745mの高台にワシントンの頭から顎までが18.3m、ジェファーソンの鼻の高さとルーズベルトの口髭の幅が6mという、巨大な彫刻が出来上がりました。

 

このモニュメントは、『自由の女神』 と並ぶアメリカ民主主義の象徴とされており、1925年に国定記念建造物に指定されています。

そしてこれがアメリカ国内だけでなく世界的に有名になったのは、1959年に公開されたA・ヒッチコック監督の名作映画 『北北西に進路を取れ』(原題 :
North by Northwest ) のクライマックス・シーンのロケ地として使われたから。

 

     


おかげで交通の便があまり良くないにもかかわらず、現在では年間約25万人が訪れる観光スポットとなりました。

しかし、光あれば影あり。

このラシュモア山一帯は、元々アメリカ・インディアンの聖地だったそうで、かつてはゴールド・ラッシュで入り込んだ白人と激しい戦闘が繰り広げられました。

白人社会にとっては民主主義の象徴であっても、インディアンにとっては侵略された忌まわしい記憶が残る場所。

1968年にアメリカ政府は第二次ララミー砦条約でこの一帯を〝スー族固有の土地〟と認めましたが、数年後にはこれを反故にして政府が没収してしまいました。

それに怒ったアメリカ・インディアン運動家たちが彫刻の頂上に登ってワシントンの頭に小便をかけた・・・なんて騒動も起きています。

これもまた多民族国家アメリカを象徴する事件と言えましょうか。

ところでこのモニュメント・・・実は、未完成なのだそうな。

お披露目の7ヶ月前にポーグラムは亡くなっており、息子のリンカーンが引き継いだものの資金不足のため顔の部分が完成した時点で作業継続を断念。

確かに胸像という割には胸の部分がないのですが・・・まぁ、今後それを作る必要はなさそうですネ。
あせあせ

 

 

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