通勤・通学で定期乗車券を利用している方は多いと思いますが・・・これが初めて登場したのは、いつ頃だと思いますか?
実は意外と古いんです。
我が国で初めての鉄道(蒸気機関車)が新橋-横浜間に開通したのは、1872(明治5)年9月のことでしたが、この路線で
往復常乗切手
すなわち日本初の定期乗車券が認可されたのは、その僅か9ヶ月後・・・今から144年前の今日・1873(明治6)年6月5日のことでした。
新橋~横浜間の上等車旅客に対し、3ヶ月で120円・・・同区間の片道運賃が1円12銭5厘)だったそうですから、毎日切符を買って1往復するのに比べ、約4割引きとかなりお得。
・・・と言いたいところですが、当時の巡査の初任給が4円だったそうですから、年収2.5年分。
現在で言えば新幹線定期より遥かに高額、まるでジェット旅客機の定期券並み(?)でした。
1877(明治10)年頃の蒸気機関車と10両編成の列車
現在の定期乗車券の期間は1・3・6ヶ月のものが主流。
また通学定期券の場合は、学期の区分で発売されている場合も。
私もサラリーマン時代は上半期末や年度末に駅で購入していましたが、大抵のサラリーマンも同じ時期に更新するため、いつも窓口が長蛇の列。
イライラしながら待ったことを懐かしく思い出します。
でも現在は 『Suica』 などのICカード式定期券をネットで予約購入できるそうですから、随分便利になりました。
さて、この定期券について私が思い出すのが、〝キセル〟。
つまり不正乗車のことなんですが・・・若い方はキセルって何のことだか分からないかもしれませんネ。
時代劇などで棟梁なんかがコレを使ってタバコを吸っています。(↓)
ご覧の通り、両端が金属製で真ん中が木製・・・つまり、この形状のように長距離通勤のサラリーマンが定期券代を浮かせようと、自宅と勤務先それぞれの初乗り乗車区間の定期券をそれぞれ購入し、真ん中の乗車賃を浮かすという手口から、そう呼ばれています。
でもこれ、結構バレるんですょネ。
というのは、毎朝長距離通勤のため早朝に改札を抜けるのに、定期券の区間が隣の駅・・・これだと駅員に怪しまれるのは当たり前。
結局マークされて不正乗車が発覚、毎日1往復した普通乗車運賃の3倍も追加請求をされる羽目に。
昔ニュースで 「キセル乗車が発覚してン十万円の支払い請求・・・」 なんてニュースを時々目にした方も多いはず。
しかし最近はIC式カードになりましたから、このキセルはもう出来ない・・・と思ったら、今度は〝カルガモキセル〟なんてのがあるのだそうな。
つまり前を歩く人にピッタリくっついて改札を通出入りするという、完全なるタダ乗り。
これだとかつてのキセルのように証拠が残らない・・・とも言えますが、不正乗車に変わりはなし。
小金を浮かせようとすると大金を失う羽目になりますから、セコいことはしない方が身のためかと。