今日・6月7日は、90歳過ぎても現役として活躍し、270本以上という最多出演回数の記録保持者としてギネスに登録させている俳優、
クリストファー・リー
Sir Christopher Frank Carandini Lee,
彼は1922年にイギリスの陸軍中佐の父とイタリア貴族の血を引く母の間にロンドンで生まれました。
しかし幼少時に両親が離婚し、彼はスイスで過ごした後、再びロンドンに・・・その影響もあってか、語学力に長けた彼は英語以外に仏・伊・独語など7ヶ国語を自在に話せたそうで、実際に独・仏語の映画に出演したそうな。
1939年に志願して友人と共にフィンランドに渡ってソ連と戦おうとした彼は、その後英空軍に入隊。
視力の問題で志望したパイロットにはなれなかったものの、地上勤務でエジプト・イタリア等に転戦。
多国語を話せることから特殊部隊でも活躍したとか。
俳優になった当初は、193(あるいは196)cmの長身のため脇役が中心だったそうですが、彼がスタータームにのし上がったのは、1958年に公開された『吸血鬼ドラキュラ』。
ドラキュラ伯爵役は、大柄な彼がおぞましいメイクで女性を襲う姿は、まさに迫力十分。
観ている男性も思わず逃げ出したくなる程でした。
まさにハマリ役としてドラキュラ伯爵を演じ続けた彼ですが、そのイメージの固定化を恐れ、1970年代に渡米して様々な役に挑戦するように。
私自身が彼の名を初めて認識したのは、大好きな007シリーズの第9作『黄金銃を持つ男』(1974年公開)での、ボンドの敵・スカラマンガ役。
※実は彼、007シリーズの原作者イアン・フレミングの従兄弟で、フレミングは当初第1作の 『ドクター・ノオ』 のノオ博士役を彼に・・・と考えていたそうな。
しかしそれは実現せず、フレミングの遺作たなった 『黄金銃~』 に出演した、というわけ。
といっても私より若い世代にはピンとこないでしょうが、『スター・ウォーズ』 シリーズでのドゥークー伯爵や 『ロード・オブ・ザ・リング』 でのサルマン役として親しみがあるでしょう。
息の長い俳優でありながら、若い頃スタントマンの仕事もこなした彼は、危険な撮影シーンも殆ど自分で演じ、時には骨折したり水中で溺死寸前までいったといいますから、恐れ入るばかりの役者魂の持ち主。
また俳優だけでなく、声優・歌手としても活躍しましたから、まさにマルチ・タレント。
2009年に英王室からサーの称号を授与され、90歳を過ぎても出演オファーが絶えなかった彼ですが、さすがに歳には勝てず。
2015年入って呼吸困難と心不全によりウェストミンスター病院に入院した彼は、6月7日に93歳で大往生を遂げました。
何年かぶりに007 『黄金銃を持つ男』 のビデオを鑑賞しつつ、イギリスの生んだ怪・・・いや、名優の冥福を祈りたいと思います。