18世紀から19世紀にかけて、世界では数多くの高名な音楽家が活躍しましたが、今日はその中の1人であり、ヴァイオリンの超絶技巧奏者・作曲家だった
ニコロ・パガニーニ
Niccolò Paganini
の命日にあたります。
パガニーニは1782年のイタリア生まれ。
同時期に活躍した作曲家としては、ベートーヴェン(1770年生まれ)、ロッシーニ(1792年生まれ)、シューベルト(1797年生まれ)らがいます。
彼がヴァイオリンやギターを弾く父親に手ほどきを受けヴァイオリンを弾き始めたのは5歳の時だそうですが、13歳の時には既に学ぶことがなかったという文字通りの天才。
猛練習により他の追随を許さない特殊技法を体得したと言われていますが、その他の要因として異様に手の指が長くかつ間接の動きが柔らかくなる〝マルファン症候群〟に罹患していたと言われています。
これと同じ症状を患った音楽家と言えば、ビアノの巨人・ラフマニノフ。
やはり彼も巨大な手の持ち主で、ピアノの2オクターヴ近い和音を片手で弾けたといいますから、まさに超人的。
そのしなやかかつ巨大な手を生かした彼の演奏もまた、超人的。 あまりの上手さに
「パガニーニは悪魔に魂を売り渡した」
と噂される程で、コンサートでは彼の身体が宙に浮いているのでは?・・・と足元ばかり見つめていた聴衆もいたとか。
もっとも彼自身も演奏時には上下とも黒ずくめの衣装でステージに立ったそうですから、そういう噂が立っても不思議ではなかったでしょう。
下の画像はドラクロワが描いたパガニーニ像ですが、そんな〝悪魔的〟な雰囲気プンプンですし、ヴァイオリンが子供用に見えるほど手が大きいことも分かります。
彼の鬼才ぶりは、
◆ロッシーニが自作のオペラの公演直前に指揮者が倒れてしまいパガニーニに代役を頼んだところ、彼はスコアを一度見ただけで見事にオーケストラをまとめ上げ、ロッシーニを感嘆させた。
◆ピアノの天才・リストが20歳の時に彼の演奏を聴いて感激し、「自分はピアノのパガニーニになる」と誓った。
など、様々なエピソードが物語っています。
これだけの才能があれば、女性が放っておくわけはなく、18~23歳の時にはフィレンツェの女性ギター奏者と恋仲になって演奏活動を止めてしまったり、またナポレオン皇帝の妹と浮名を流したりと大忙し。
しかし天才には往々にしてありがちなのですが、人間的にはかなり風変わりだった模様。
ギャンブル好きの父親の血を引いたためか、コンサート前日に賭けに負けて肝心のヴァイオリンを取り上げられたり、また金銭欲も強く高額な演奏料金を要求し、ニセ物が出回らないよう自らコンサート会場の入口で観客のチケットを確かめた、なんて逸話も残っています。
冒頭、作曲家でもあった・・・とご紹介しましたが、実は彼の作品はあまり現存していません。
それは、彼が盗作を怖れて自ら楽譜を管理して出版させず、更に生まれつき病弱だったことから服用していた水銀の中毒により気管支炎などを併発して1840年5月27日に57歳で病没する直前、その殆どを自ら焼却してしまったことと、残された楽譜も遺族が売却してしまったため散逸してしまったから。
何とももったいないことですが、それでも残された数少ない作品からは彼の天才ぶりが伺えます。
それでは、彼の代表作である 『24のカプリース』 を、20世紀最高のヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツの演奏でお聴きください。(↓)
https://www.youtube.com/watch?v=vPcnGrie__M
それから、もうひとつ。 もし彼に興味を持たれた方には、2014年に公開された彼の伝記映画
『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』
の鑑賞をオススメします。 特に女性には。
何故なら、この作品で主人公を演じているのはプロのヴァイオリニスト兼モデルの超イケメン、デヴィット・ギャレットだから。
従来の音楽映画と違い、吹き替えではなく本人が演奏をしていますから全く違和感がありません。
しかも演奏に使用しているヴァイオリンは、時価5億円のストラディヴァリウス・・・一見、いや一聴の価値はあるはず。
私も久しぶりにこの作品を観ながら、彼の冥福を祈りたいと思います。
余談ですが、私の携帯の着メロはラフマニノフが彼の作品を基に作曲した 『パガニーニの主題による狂詩曲』 第18番なんですョ。