先月、京都府亀岡市で無免許だった18歳の少年が軽乗用車で集団登校中の児童らの列に突っ込み、妊婦を含む3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故は記憶に新しいところです。
その後警察や学校教諭が加害者家族に被害者(家族)の連絡先を無断で教えるなど非常識な対応がありましたが、今回更なる信じ難いことが・・・。
京都地検が14日、車を運転していた無職少年(18)を自動車運転過失致死傷と道交法違反(無免許運転)の疑いで京都家裁に送致。
「刑事処分相当」との意見を付け検察官送致(逆送)を求めたとみられるものの、『危険運転致死傷罪』の適用を見送ったというのです。
危険運転致死罪には、「故意」を前提として
①アルコールや薬物摂取により正常な運転が困難な「酩酊運転」
②制御困難な高速度で走行させる「制御困難運転」
③運転技能を有せずに自動車を走行させた「未熟運転」
④人や車の通行を妨害するため著しく接近するなどの「妨害運転」
⑤赤信号などを無視する「信号無視運転」
が該当すると規定されています。
本件に関して京都地検は当初同法の適用を検討したようですが、
◇居眠りは故意ではない。
◇制限速度10km超は制御困難とはいえない。
◇過去に無免許運転を繰り返しており、運転技能を有しないとはいえない。
という理由で見送った、というのですが・・・皆さんはこの説明をどう思われるでしょうか?
少なくとも、私は到底納得できません。
無免許運転は十分故意であり、しかもそれを過去繰り返していたことは更に悪質・・・と考えるのが一般常識のはず。
それを 「運転技術はあった」 と解釈するとは・・・法律のプロたる検察の常識が疑われます。
我が女房は、運転免許を持っています。
以前地方勤務の際、必要に迫られて取得したのですが・・・はっきり言って運転はド下手。
縦列駐車さえ満足にできないので東京に戻ってからは一切運転させてませんし、本人もするつもりはなし。
それ故にゴールド免許を所持している彼女が仮にクルマを運転して死亡事故を起こしたら、未熟運転を理由に危険運転致死傷罪が適用される可能性があるということ?
ペーパードライバーが危険運転致死傷罪で、何度も無免許運転を繰り返した挙句10時間ぶっ通しでドライブした末に居眠り運転した馬鹿者がただの過失致死傷罪・・・これはどう考えてもおかしいでしょう。
法律(刑法・刑事訴訟法)は、被害者を保護すると同時に加害者を罰することで犯罪を抑制することが目的のはず。
もし京都地検の〝詭弁〟が通用するなら殆どのケースに同法の適用はなされず、その存在意義は著しく損なわれます。
危険運転致死ならば最高20年を科せられますが、過失致死傷なら懲役7年。 本件は少年法の適用があるため、5~7年の不定期刑になる可能性が強いとのこと。
家族を奪われ悲嘆にくれる被害者遺族は加害者少年の実名すら知らされず、本人は25歳までには娑婆に何食わぬ顔をして戻ってこられる・・・こんなことでいいのでしょうか?
無免許運転の場合は無条件で危険運転致死傷罪が適用されるべく、明快な法改正を強く求めます。
そして同時に少年法の厳罰化も・・・。
また今回の決定に関し、気になることがひとつあります。
それは新聞・テレビなどでは一切触れられていませんが、加害者の出自。
一部ネットで流布されている情報が正しいとしたなら、面倒事に腰が引けた検察が詭弁を弄して危険運転致死罪を適用しなかったことが、妙に納得できます。
もしそうならば、それこそ逆差別。
唯でさえ司法に対する信頼が低下している中、毅然とした態度で国民が納得する処分を下して欲しいもの。
その意味でも、私はせめて家裁が検察官送致という良(常)識的な判断を下すことを期待していますが・・・。