薬缶(やかん)だって、 空を飛ばないとはかぎらない。
水のいっぱいはいった薬缶が
夜ごと、 こっそり台所をぬけ出し、
町の上を、
畑の上を、 また、 つぎの町の上を
心もち 身をかしげて、
一生けんめいに飛んでいく。
天の河の下、 渡りの雁の列の下、
人工衛星の弧の下を、
息せき切って、 飛んで、 飛んで、
(でももちろん、 そんなに速かないんだ)
そのあげく、
砂漠のまん中に一輪咲いた淋しい花、
大好きな その白い花に、
水をみんなやって 戻って来る。
入沢 康夫 「未確認飛行物体」 小5国語掲載詩
大好きな白い花のために、 一生けんめい夜の宙(そら)を 息せき切って 飛ぶ想い。
中に満たした いっぱいの水。
きっと 溢れんばかりの いっぱいの水。
人が眠りから覚める その前に、 台所に戻らなきゃ、 何事の変化もないように。
そんな夜を過ごす、 モノ (人々) たち。 今夜も どこかの夜の宙を 飛んでいるのかな。
(人々の、水に代わる想いは 何?)
未確にん!、 みかくに・・ みかく・・ みかん・・・。 苦しいな。
みかんだって、 空を飛ばないとはかぎらない!
私だって、 空を飛ばないとはかぎらない。 幽体離脱かーっ!
今夜は台風だから、 風がキツイよ。 飛行物体になるアナタは 気をつけて。
(朝 ボロボロになっていたら怪しまれるぞ)














