第七話 神の国日本 ⑪
水龍神社の隣の寺は、由緒正しきお寺であるが、
何やらおかしな波動がある。
「こんなに美味しい商売はないわい、、
うはうはじゃのう、、
今日も吉原に繰り出すとするか、、」
千両箱の銭を懐に入れながら
悪徳代官 横佐 蟹兵衛は高笑いをしていた。
「お代官様、、もうご容赦願えますまいか、
もう、この村には若いものは、皆、、
男は貨幣を作る山里にとられ、
おなごは皆年貢代わりに吉原へ売られて、残ったのは、
爺婆ばかりで、寺に居る娘のお島もとうとう、
明日吉原に売ると言われるのですか。
どうか、この子だけは残していただけないですか、、」
この寺の住職 玄僧は、この村の代官にひれ伏して頼むのであった。
「そうよのう、、このお島が吉原に上がれば、、
頼みの毒を作る者が居なくなるのう。
しかしながら、、
隣の神主は頑固よ、いくら、銭を積んで
あの神社を明け渡せというても、
頑として聞く耳を持たぬわ、、
えーい。
こうなったら最後の手段でも使わざる得ぬなあ」
「さ、最後の手段と申しますのは、、、
まさか、、
」
「そうじゃ、、そのまさかじゃ、、
お島よいのう
吉原に売られたくなくば、、
善鬼丸に毒を漏れ、、
そして、、隣の井戸とこの寺の井戸とは
つながっているであろう、、
毒を流してあの忌々しい神主を殺してしまうのだ、、。
さすれば、、
あの水龍神社を主様に献上できて、
またまた、褒美をもらえるという手はずじゃ
あの忌々しい呪文はどうも思考を狂わせる、、
げせぬわ、、。なんの霊力じゃ、、。思い出すだけでも
むしずがはしるわ
主様もきろうておるのじゃ。
良いな、、そうじゃ今から、
毒入りおはぎをつくるのじゃ、、
そして、、殺すのじゃ、、奪うのじゃ、、
あーいいところに、試しがおるわ、、あの龍にせよ、、。」
この代官は動物顔をした
何でも利益になることはする、情けなし容赦なしの
極悪非道な悪党な獣である。人の仮面を被った妖魔なのであった。
主様というのが、どうも、、蜘蛛と呼ばれている悪の軍団の棟梁のようだ、、。
一年前にこの寺はこの代官に目をつけられた。
住職は娘を人質に取られ、、檀家の者たちに危害が及ぶことを恐れて、、
言いなりになるしか、なかったのである。
「お代官様、、人を殺めるなどそれだけはお許しください。
仏様がお許しになりません、、。
あんないい神主さんをあやめろなどと、、、」
泣きじゃくる娘に代官は細い針のようなものを刺した。
みるみるうちに顔が青くなり目は赤くなった。
「さあ、、どうする。毒を作り善鬼丸を殺すか、
己の身を吉原に鎮めるか、ここで、
わしに殺されるかさあ選ぶが良い。」
「お島、、頼む、、お前が居なくなれば、、
この寺も檀家も終わりじゃ、、
わしはもう長くない胸をわずろうておるでな、、。」
「はははは、、、おまかせください、、、。おやすいごよう、、、。」
おしまのかおが、、、、
つづく、、、。