ダイニングバー
「ときたま」
3話 PM8時からは
ナイトクラブ 「ときたま」
1 月美(つきみ)との出会い。
「この着物と、この指輪でいくらになる?」
「受けだしに来ますか?」
「いえ、たぶん無理」
その暗い路地裏には、まだ当時17歳の月美がいた。
あの路地裏にある、質屋には二度と行くことはもうない。
クリスマスのイルミネーションが、輝き始める頃
月美の仕事の始まりである。
ダイニングバー「ときたま」は24時間営業中
PM8時からは、ナイトクラブに変わるのである。
私が、月美に出会ったのは、まだ、月美が高校生の頃のことである。
私はまだ生まれて数か月の頃ことである。
私の住処は、公園のトンネルの中だった。
ある日のこと、不良グループに囲まれた、髪の長い制服姿の女の子が見えた。
数人の不良たちをあっという間に次々に倒した。{あのひと、つよい}
トンネルの中から顔をのぞかせた時、私は、ひとりの不良少女に捕まった。
「汚い猫ね。」
たたかれそうになった、その時、
「触るな、その猫たたくと、あんたの方が地獄に落ちるよ。」
私は、目を閉じたがすぐ助かったことに気がついた。
月美は、私を懐に入れると、赤い自転車に飛び乗った。
あったかい。
橋を渡ると、木造の小さなアパートがあった。
月美は、小さな段ボールに私を入れた。
「あんた、何て名前あたしは月美。同じ種類の生き物さ。」
{にゃー}
「ニャーじゃないだろう、人の言葉がわかる猫だろ巫女猫だろ
怖がることはないよ。おなかすいたろミルク飲むかい」
{ありがとう。猫の言葉がわかるんだ。あたち、、みこた。
小さいけど巫女猫だよ。
お母さんとはぐれて、姉妹たちもどこかに行った。
誰かがあたちを探してるんだ。
怖い人だよ。耳と、しっぽをひっぱるんだ。
だから、
あそこで、隠れて住んでたんだよ。}
「そうかい。じゃあ私と同じだね。私もひとりさ。私も巫女だよ。
一緒に住むかい?
虹の橋の向こうから来たんだろ?
だから、人の言葉がわかるんだろ?巫女猫は久しぶりだよ。
昔小さいときに虹の橋を渡ってきた猫と友達になったんだ。」
{なんて猫?}
「有名な巫女猫だよ。名前くらいはお母さんから聞いたことがあるかもしれないね。
その猫は、猫のミーさん。ミーではないよ。ミーさんって呼ばないと振り向かなかったよ。」
{ミーさんはどうしたの?}
月美は、あたたかいミルクを赤いグラタン皿に注いでくれた。
つづく。
心の処方箋。ついに、月美とのお話始まり始まり。
巫女猫とは?次回をこうご期待