観玉出張の巻
貴子
電話が鳴った。
w川・o・川w
時子からであった。
「お願いがあるのです。友達の貴子を視てほしんです。
お私がお迎えに行きます。大変なんです」
「わかりました。では、どんな症状かを聞かせてください。」
「家から外に出られないんです。電車にもの乗れない。
子供のごはんも、旦那さんのごはんも
家事は一切できずにいます。
ほとんど、食事もとらないので、どんどん痩せて、来ています。
このままでは、彼女死んでしまいます。」
「今からすぐに参りましょう。」
着いた場所は、マンションの一室。
この世の臭いでない、臭いが部屋中に充満していた。
散らかったリビングに彼女は静かに座っていた。
「貴子さん、いつからそんな症状になったのですか?」
「このマンションに引っ越して来てからです。」
その時、女の子の声がした。
「ただいま。」
ピンクのランドセルをしょった、おさげ髪の女の子だった。
ドアノブを、まるで汚いものでも触るかのように、指でまわした。
「潔癖症なんです。」
貴子は目を伏せたままで、
「学校から戻ると、手を何度も何度も洗うようになって、
だんだん、神経が過敏になり始めて、心療内科に連れていくと、
潔癖症だと判断され、安定剤を処方されたのですが、悪くなる一方です。」
「引っ越しをするきっかけは何ですか?」
貴子ははっとしたように顔を上げ、観玉を見た。
隣の部屋から現れた黒猫は、神棚の水を飲み始めた、、、。
つづく。
心の処方箋。お書きします。