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致命的な思いあがり

 ハイエクの話ではない。

 宗教法人において、最もよく見られる類型として、医者に見放された人たちがいる。正確には、医者に見放されたと主張している人たちであって、具体的にどう見放されたのかについて詳しくは知らない。ご立派な医者の皆さんのお話では、自分たちが患者を見捨てることなどありえないそうだから、きっと患者側が勝手に見捨てられたと思っているのだろう。そこについて詮索はしない。
 問題は、なぜ人は医者に見放されたと思うかである。恐らく、その深い部分では、病気が治るかどうかは本質ではない。そもそも、病気という概念が多分に社会的であるということも関わっているだろう。医者は専門家として義務を尽くすし、専門家が如何に愚にもつかないものであるかは、ファインマンの言葉を引くまでもない。なんにせよ、そこで問題になっているのは、人間が現在までに得た知見ではない。

 結局、宗教団体は、現世利益に始まり、それに尽きる。そして、上記の類型の人たちにおいては、病気が治るという一点に現世利益は尽きる。彼らにとっては、治らなくても救われれば良いなどというのは寝言であって、まさに治ることが全部と言うほかない。
 注意すべきは、何が現世利益であり、何が治るということか、である。多くの人にとって、宗教および宗教現象が理解し辛いのは、自分で勝手に設定した現世利益や治癒の概念を他者に適用する過ちによる。つまり、非常に面倒なことに、病気が治るという表現は、確固たる意味を持っていない。そして、普段は意識しないそのことを、宗教は浮き彫りにする。

 病気と治癒が独立した概念であるはずはない。語弊を恐れずに言えば、治るものを病気と言う。さらに、治るということが生きることと結びついているので、増々事態が飲み込めなくなる。風邪は生きたままでも治るが、死んでも治る。
 それでは、死んでも治らないものを治すのが宗教かと聞かれる方もいるかもしれないが、そんなことはない。宗教側も、馬鹿が治らないことには悩んでいる。

 話を戻すと、宗教の病気治しは、やっぱり病気を治すものだ。
 もう少し説明すると、医者は治すが、宗教は病気を治す。前者のロジックは全体として破綻しており、後者のロジックは検証不能である。

 これ以上は口を慎んでおこう。

【思い出したように】
 物理学は宗教で、数学は妄想だ。さらには、すべての科学が何の根拠にも基づいていないことも、既に実証主義者たちが明らかにしている。教育制度は教会にかわる宗教上の権威を築こうとしている。
 しかし、私は希望を捨てない。なぜならば、妄想からも宗教からも自由な人々がこの世界には沢山いるからだ。そして、彼らの絶えざる努力により、いま続々と若者たちが数学や物理にノーをつきつけている。
 敵も一枚岩ではない。アカデミズムの中からも、ドーキンスのような素晴らしい人たちがこの運動に馳せ参じている。賢明なるドーキンスは、さらに恋愛なる強迫神経症からも人々を救ってくれるだろう。
 我々は一粒の麦となる。真理と窮極原因にのみ立脚した世界が生まれる。そこでは、我々が妄想によって断たれた窮極原因との繋がりが恢復され、真実のみが語られるのである。

世界の九割

 人と生まれたからには、財団法人アンチ創価学会を作って、アンチ学会の馬鹿を騙しながら左団扇で暮らしたいものだ。

刈谷にお帰り

 最悪の産業廃棄物「銀河英雄伝説」をρが我が家に放逐していった理由が、今ならわかる。それほどまでに俺が嫌いだったとは。
 試しに「銀河英雄伝説 気持ち悪い」で検索したが、芳しい結果は得られなかった。当然といえば当然で、あの程度のラノベにむきになってネットで悪評を吹聴して回るのはマトモな人間のやることではない。
 銀英伝の酷い内容は、「パルチザンの理論」を並行して読んでいたことにより、まさに「スイカに塩」効果となって脳髄を襲った。学歴を持ち出すのもナニだが、銀英伝は、Dまで出た人間が書く内容とは俄には信じ難い。もちろん、読者層とその知的水準を想定して合わせたのだとしたら、責められるべくもなく、慧眼と言うべきなのだろうが。

 以下、レジュメにかえて、「現実の学内政治」をシュミットから解いていこう。
 幾らつついても、学内政治の非政治性しか浮かび上がってこないのが難点。

【非正規性に非ず】
 「パルチザンの理論」を読んでいると、石田皇帝のことを想ってしまう。
 皇帝陛下は、ついぞ「正統なる」非正規性の獲得に失敗したのだなと感慨深い。既存の正規性によって自らの非正規性を位置づけることも、ましてや自らが新たな正規性を規定することも適わなかった。その非正規な活動は、ただ、時間と共に非合法性、刑事性の度合いを増した。
 ただし、注意すべきことがある。皇帝陛下は、その地位に相応しく、自らを正規だと最後まで信じていたことだ。学部を現実の敵とし、正規の手段を持って、諸学生の代表たる責務を果たした。少なくとも本人はそう思っているだろう。なんにせよ、陛下にとっては、敵も戦場も手段も明確だったのだ。
 つまり、皇帝陛下の問題は、非正規的闘争を「行わなかった」ことにある。一小州の領主が大国に歯向かうような気概を持ち続けたことは結構だが、非正規的局面では何らの実質を伴わず、ただ汚職や背任に類する行為に精を出していたのは、陛下の限界と言わざるをえない。
 その限界を規定したのは「学生自治実在論」に他ならない。陛下にとっては、学生自治は自明で正規なものであり、そこには何らの非正規性も伴ってはならないものだった。水面下で活動し、「ルール自体をかえる」ような行為はあってはならなかった。光の当たる場所で、堂々と、何者にも左右されずに、学生の代表面することが、僭主の常道なのである。そこでは、学生自治は永遠の実在であり、不朽の原理であり、不滅の金字塔であり、すべてに上位する主体であった。
 すべてに上位するはずの「学生自治」が、もろくも駒場寮を通じて「非合法性」を宣告された。駒場寮が象徴以上のものであったかを今は論じない。とにかく、その活動は刑事事件でしかなくなった。恐らくは、その段階で「学生自治」は非正規化すべきだった。しかし、皇帝陛下をはじめとする面々は、形骸的な学生団体を主体とする道を選んだ。なぜなら、学生自治は永遠の実在であったからだ。
 彼らは「左翼」などと呼び習わされ続けたが、世界政治とはまったく連動していなかった。非正規性も遊撃性も、自らのドクトリンにより拒んだ。最後に、恐らく最大の悲劇だが、自身たちの根源を為すと信じ続けていた「土地的性格」を真に体現していたのは、決して彼らではなかった。
 「学生自治」は堂々と地上に姿を現し続け、一方で学生間からは姿を消した。どうせ滅びるならば、それで良かったのかもしれない。最後に残ったのが、学部への恨みという感情論でしかなかったとしたら。

【大学における非正規性】
 大学本来の機能以外に関する活動、と考えればわかりやすい。サークル活動が顕著な事例である。
 サークル活動が非正規ながら正統性、合法性を得るには、大学本来の機能との関係に自己を立脚しなければならない。最初に思いつくのは、自主的な学問の場の構築であり、学習支援サークルだろうが、実のところ駒場における最初の公認サークルは「襖クラブ」である(という説がある)。
 襖クラブは、端的に言って学費稼ぎサークルだった。どこをどう見ても直接には学問と関係ない。しかし、容易にわかるように、学生が学問に専念するための環境づくりに間接的には関わっている。学費稼ぎで勉強に身が入らないという主張に対する、一つの提案(というか妥協)であることは確かだろう。
 こうしてみると、学費値下げ運動は、学問という正規の活動に対する、非正規の活動でありうることが伺える。この場合は、既存の大学の制度内の正規性によって位置づけられねばならない。それに対して、既存の大学制度そのものになりかわって新たな学問の場を構築する試みは、学費値下げには繋がらない。また、学費値下げ運動がそれ自身目的化し、学問という中核を失ったならば、それはただの寝言にしかならない。
 ところで、大半のサークルはただの時間の浪費場でしかない。その甚だしい非正規活動が大学の中で認められていく過程を詳しくはしらない。しかし、自主性という単純なキーワードから考えれば、大抵のサークルは認められることになるだろう。
 これは個人的な推察の域を出ないが、非正規なサークル活動は、大学の正規性に「自主性」を付け加えることに成功した。あるいは昔からそうだった中で、サークル活動という形態が伸びただけかもしれないが。つまり、「学生自治」はこの「自主性」の派生形として生まれたサークル活動の一貫でしかない。
 皇帝陛下が、学部、学生双方から芳しくない扱いを受けたのは、自主性がなかったからではなかろうか。そこには恨みなり不信こそあれ、自主的な活動内容が、なかんづく学問的内容が、まったくなかったということだ。
 ただ、現在のところ、学部レベルでは「自主性」が低く見られる傾向に入ってきているようだ。それは、かつて学部が最高学府であった時代の名残も消え失せ、学部生には誰も期待しない時代になったということだろう。院に行くのが当然の時代に、学部のサークル活動=自主性は低く維持される。それこそが時代の要請である。

【study hard】
 皇帝陛下も、それに類する人たちも、「最高学府」の夢を追っていたように思う。
 自分が最高学府にあるという陶酔と現実の乖離に傷ついていたように思う。
 戻りはしない学部生の「自主性」を必死に引き止めていたように思う。

 彼らに足りなかったのはたった1つ。
 そして、私はそのたった1つの教訓を得たのみである。
 Study Hard.