Q「ビバップ・スケールについてもう少し詳しく知りたい・・・」
前回記事について質問をいただきました。
本ブログ記事は主に私の指導学生からの質問に答えて書いています。そのため学校のみで扱う専門用語も時折出てきます。
一般の読者の方とも共有して、何かのお役に立てればいいな、と思って一般公開にしております。
ご理解の上お楽しみくださいませ。
ビバップ・スケールとは、コード・スケールに半音の経過音を加えた物です。
コード・スケールとは簡単にいえばコードにあったスケールですから・・・
メジャーコードにはメジャースケール
マイナーコードにはマイナースケール
ドミナントコードにはドミナントスケール
と言う事です。
それらに半音の経過音を入れるとは・・・?
メジャー・スケールは半音は6と5の間に半音を入れます。
譜例1)Major Bebop Scale
さて、何故こんな事をするのでしょう?と言うのが今回の質問です・・・
Bebopという音楽が流行った頃、様々な方法でコード進行に対するおもしろいアプローチが試されました。
管楽器奏者達はどうやったら「コード進行をシングル・ノートで表現できるか?」という超絶マニアックな試練に取り組んできたのであります。
ビバップ・スケールもその中の一つ・・・
半音を入れる事に寄って◯で囲んだ音を強調することになります。そしてそれらはC6と言うコードを表しています。
譜例2)Major Bebop Scale
何故強調されるか?・・・は、それらの音が強拍(down beat)に来るからなのですが、今はサラッと流して・・・
半音を一つ加えて8音スケールにする事に寄ってパッシングノートからコード・トーン(C6)へ均等に配分できる様になります。
と、言うわけでMajor Bebop ScaleはC6と言うコードを強調する為のスケールなのです。
ドミナントもマイナーも同じく・・・
譜例2)Dominant Bebop Scale
譜例3)Minor Bebop Scale
このようにビバップ・スケールの構造を理解する事でフレーズを創る時にもキャラを最大限に利用する事が出来ます。
要するに、C6のコードトーンをなるべく強拍に来る様に工夫すればBebop スケールのキャラクターを生かしたフレーズが作れると言う事ですね。
Bebop のレジェンド達の演奏を聴いてみると、なるほどそうか!と思わされるところはいっぱいあります。
奇数拍(down beat)にコード・トーンを配置するようにパッシング・トーンを使う訓練は耳が慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、手始めにCharlie Parker. Clifford Brown.Pat Martino. 初期のMcCoy Tyner達の演奏を聴いて慣れる所から始めればいいと思います。
Charlie Parkerのフレーズをみてみよう〜
譜例4)Charlie Parker [Klaun Stance]
各フレーズの奇数拍(down beat)音符が殆どコード・トーンです。即ち Charlie Parker は意図してコードを強調しながら演奏していると言う事です。
譜例5)Charlie Parker [Donna Lee]
と、いうわけで、新入生のみなさん、入学おめでとうございます!