前回のHow To Composeで話せなかった、シンメトリック・オーギュメント・スケールの説明をします。

 

 音符音程が等しく並んでいるスケールをシンメトリック・スケールと言います。

 

音楽を聴く時、メロディに使われている音程なんて気にしていませんが、音程こそが音楽のキャラクターを作っていると言っても過言ではありません。

 

音程間隔がいびつに並んでるメロディと均等な物とは印象が違うのです。

 

それを作曲やアドリブや作編曲に利用して、この世の数多のサウンドは出来ています。

 

もし貴方が「あれ?」っと思うサウンドがあれば音程を調べて見れば「あれ?」の原因が見つかるかもしれません。

 

音符音程が等しく並んでいるメリット?

 

ディミニッシュやホールトーン等、音程が等しく並んでいるスケールはパターンが作りやすい(特にギター、ヴァイオリンなどの弦楽器)のですが、その理由として、ホリゾンタル(横方向)に移動するだけでシーケンス(繰り返し)が出来てしまうという楽器の特典?からなるものです。

 

ピアノやサックスは難しいフレーズでもキーを変えると弾きやすくなる事があります。その代わり簡単なフレーズのキーを変えると難しい運指になってしまう事もあります(移調が難しいという事)

 

それに対して、弦楽器は弾けない物はキーを変えても弾きにくいですが、弾けるフレーズはキーを変えて同じ運指で移動できてしまいます。

 

シンメトリック・スケールはそういう弦楽器の利点を生かす事が出来るスケールと言えるでしょう。

 

 

音符シンメトリック・スケールの構造

 

サイクルオブ5th(4th)の表を使うとシンメトリックの特徴がよくわかります。

 

12個の音を均等に割ると2.3.4.6.と言う数字になります。

 

 

オクターブを2で割る(+4)トライ・トーン

 

 

オクターブを3で割るオーギュメント・トライアド

 

オクターブを4で割るディミニッシュ7th

 

 

オクターブを6で割るホール・トーン・スケール

 

ルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルン

 

音符シンメトリック・オーギュメント・スケールを図でみるとこうなります。

 

 C+トライアドとB+トライアド

3+3=6音スケールです

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

音符シンメトリック・オーギュメントは次の様に見ると解り易くなります。

 

譜例1)Cシンメトリック・オーギュメントをBから並べてみる

B+がC+の為のアプローチノートになっています。

 

この要素を利用するとシークエンス・パターンを作りやすくなるのです。
 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

スケール内の音程は次の様になっています。

 

譜例2)音程が均一(-2,-3)

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

シンメトリック・オーギュメント・スケールはヘキサトニック・スケールでもあります。

 

ヘキサ(6音)トニック・スケールは2つのトライアド(3音)を並べる事によって作られます。

 

 

譜例3)C+とB+、2つのトライアドを足したヘキサトニック・スケール

 

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

シンメトリック・オーギュメント・スケールの中には3つのメジャー・トライアドがあります。

そしてこれは3トニックの関係にあります。

 

譜例4)

 

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

シンメトリック・オーギュメント・スケールの中には3つのマイナー・トライアドがあります。

そしてこれは3トニックの関係にあります。

 

譜例5)

 

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

音符Giant Steps(John Coltrane)は3つのトニックを持つマルチ・トニックの曲です。

C A♭E(原曲はB G E♭)のトライアドにドミナント7thコードを付けた循環コードに対してシンメトリック・オーギュメント・スケールをアプライする事が出来ます。

 

 

譜例6)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使った3トニックエキササイズ

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

音符その他スケール内のダイアトニック・コードを利用した様々なエキササイズを創る事が出来ます。

 

 

譜例7)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったダイアトニック・トライアド・エキササイズ

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

譜例8)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったダイアトニック・7thコード・エキササイズ

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

Cオーギュメント・スケールは次の様なコード進行の上で機能します。

 

||: C+ B+ :||

||: B+ C+ :||

 

||: C A♭E :||

||: C E A♭ :||

 

||: CM7 A♭M7 EM7 :||

||: CM7 EM7 A♭M7 :||

 

||: CM7(#5) A♭M7(#5) EM7(#5) :||

||: CM7(#5) EM7(#5) A♭M7(#5) :||

 

||: Cm A♭m Em :||

||: Cm Em A♭m :||

 

||: CmM7 A♭mM7 EmM7 :||

||: CmM7 EmM7 A♭mM7 :||

 

 

実際にいろんなシークエンス・パターンを創って、シンメトリック・オーギュメントのキャラクターを味わって見てください。(上記のコード進行を伴奏に使ってみてください)

 

 

譜例9)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったシークエンス・パターン1

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

譜例10)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったシークエンス・パターン2

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

譜例11)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったシークエンス・パターン3

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

譜例12)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったシークエンス・パターン4

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

譜例13)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったシークエンス・パターン5

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

譜例14)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったシークエンス・パターン6

 

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

譜例15)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったシークエンス・パターン7

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

譜例16)シンメトリック・オーギュメント・スケールを使ったシークエンス・パターン8