すすこのブログは洗足音楽大学の授業How to Composeの予習復習用に書いております。履修学生の方に特化した内容ですので、御理解の上お楽しみください。

 

 

おねがい「せんせ〜!」

 

真顔「ハイ、なんでしょう?」

 

えー「コンテンポラリーってなんか難しくって嫌なんですけど…」(実話)

 

 

キラキラキラキラキラキラキラキラ

 

このクラスはかれこれ20年以上やってますが、アドリブや作曲に対するハードルを下げて皆さんが楽しめるよう工夫してきました。

 

毎年

 

Thelonious Monk

John Coltrane

Wayne Shorter

Herbie Hancock

Chick Corea

Keith Jarrett

Pat Metheny

etc....

 

等の作曲家を取り上げて皆で楽しくセッションをやってきました。

 

アナライズ等をやるよりも実際に演奏するとその曲がわかります。

 

作曲のコツは演奏!と言う事です。

 

キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

 

音楽は共同作業です。

 

美術の様に作品自体が残るのではなく、

 

誰かの作品を、誰かが演じないと残らないのです。(YouTube がなかった時代)

 

その進化の過程を1人づつが体験して初めて音楽が生まれてきます。

 

最近の研究では、原始の歌声はポリフォニー(合唱)だったそうです

 

 

音楽はアンサンブルから始まった!んですね・・・

 

作曲家がいて演奏者がいる・・・

 

そうやって共同作業で残されて来た様々なサウンドが皆さんの周りに残っているのです。

 

ハートハートハートハート

 

昨今、いろんなToolsが出来て一人で制作が完結する・・・そんな時代になりました。

 

なのに、やっぱりローリング・ストーンズを聞いてホンキートンク・ウイメンが弾きたくなるのであります(いつも例が古くてごめんな)

 

ボブ・ディラン、ビートルズ、スティーヴィー・ワンダー等これからも風雪に耐えスタンダード化し、音楽は残っていくでしょう。

 

それらは全て人の手(耳)によって受け継がれていくのです。

 

それが文化と言うもの

 

最近の近未来映画に懐かしのロックアンドポップが挿入曲として採用されるのも何か、解る様な気がします…

 

すいませんノスタルジーに浸ってしまいました。

 

イエローハーツイエローハーツイエローハーツイエローハーツ

 

音楽を勉強する一番手っ取り早い方法!それは演奏、弾く(歌う)事です。

 

あなたが手に入れたいサウンドを弾く(歌う)のです。

 

プロコフィエフのサウンドが欲しかったらピアノ・コンチェルトを弾くのです。

 

ローリング・ストーンズのサウンドが欲しかったらギミー・シェルターを弾く(歌う)のです!

 

それより早い勉強方法は絶対にありません!(以上!)

 

となれば話は速いのですが、少しでも皆さんが払っている法外な授○料に1パーセントでも答えようと説明を進めます。

 

ルンルンルンルンルンルンルンルンルンルン

 

私がバークリーの頃教わったの「Duke Writing」というおもしろい授業があります。

 

ハーブ・ポメロイ先生です。

 

デューク・エリントンの作編曲を分析して、それを元に曲を書くと言う授業です。

 

ちゅー作曲の先生は曲そのものです。

 

アナライズの方法さえ学べばこの世に存在する無数の先生(曲)のレッスンを受ければいいのです。という当たり前の事をハーブ・ポメロイから教わりました。(アナライズ方法を統一すれば様々な曲を比較して学べます)

 

と、いうことで、今回はコンテンポラリーの元祖達の曲を少し分析してみましょう・・・

 

キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

 

コンテンポラリー・ジャズという言葉は以前はありませんでした。

 

ビバップ、モダン・ジャズ、モード・ジャズ、ハード・バップ、クロス・オーバー、フュージョン・・・等も、

 

新しい宣伝文句の為に作られた言葉だと思います。

 

コンテンポラリーの意味は

 

「時代を共にする=現代的」という意味だそうですが、そう言う意味では、星野も米津も髭男もKing Gnu もミクもレンもリンもルカも、みんなコンテンポラリーです。

 

ジャズ界のコンテンポラリーの定義は割と狭くて「賢そうなサウンド?」という意味で使われているようです。

 

何をもって賢そうなのか?

 

今回はそれをお話いたします。

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

ルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルン

 

コンテンポラリーの起源?なんて大袈裟ですが、マイルス、コルトレーン、ショーター、ハンコック、マッコイ、ヘンダーソン等、ブルーノートレーベルの60年代辺りから現在に通づる怪しげなサウンドの芽が吹き出し始めました。

 

 それが、

 

 ブルースの拡大(自由な)解釈です。

 

ブルースはクラシックと結婚してジャズになった?というのは以前お話ししましたが、

 

ブルースは浮気物・・・

 

いろんな人(音楽)と恋(フュージョン)をするのです。

 

ハートハートハートハートハートハート

 

マイルスのブルース

 

コンテンポラリー・サウンドはよく「コードが難しい」と言われるのですが、コード・ネームで考えるのでは無く、モードとインターバルで考えた方が腑に落ちる所もあります。

 

以下の譜例はp4thを使ってペンタ・トニック・スケールを3声にしたものです。

 

A Minor Penta Tonic Scale with p4th

 

ペンタ・トニック以外の音も含まれますが、トップ・ノートはペンタなのでキャラはペンタ・サウンドです。(絶対弾いてね)

 

ペンタトニックはメロディを作るために力を発揮するナイスな奴ですが、そのキャラを利用して、いろんなトリック?を作り出す事が出来ます。

 

A Minor Penta Tonicのトップ・ノートをキープしたまま下の2声を自由な解釈で弾いちゃいます(クラス内で視聴します)

上の譜例はマイルスがキーボードの伴奏時に使うコードです。

 

コード・ネームはありません。強いて言うならAマイナー・マイルス・コードというべきか・・・

 

マイルスはベタなサウンドが嫌いでした。

 

ハンコックに「Don’t Play Butter Note!」といって怒ったそうです。

 

マイルスの後期1981年『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン』以降、このような独特のブルージー・アウト・サウンドを使っていろんな作品を残しています。

 

トップノートはインサイド、ヴォイシングはアウト・サイドのインターバル・ヴォイシングを使ってメロディを異様な緊張感で表現する手法を使います。

 

音の帰納と演繹

 

結局、「ああすればこうなる」という結論が得られている物は全て理に叶っていると言っていいのです。

 

特殊なサウンドを使う時に「これは理論的に正しいのであろうか?」というご心配は無用・・・

 

普遍的命題から特殊命題を導き出す、ハーモニー演繹法は5対5にしておくのがちょうどいい、・・・とマイルスは(かく語りき?)

 

参考作品

 

 

 

是非聞いてみてください。

 

 

 

キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

 

ハンコックのブルース

 

Herbie Hancockの人気曲、

Tell Me A Bedtime Story から、リハモを学ぼう!

 

この曲はR&Bやネオ・ソウル等の

コード進行に影響を与えた(かもしれない?)

リハモ=(メロディに対してどうやってコードをつけるか?)を学べるGood Example!なんですよ~~

 

Tell Me A Bedtime Story by Herbie Hancock(楽譜はクラス内で提示)

この曲は以下のスケールで出来ています。

 

F#m Penta Tonic Scale(with blue note=♭5)

「ん?これってブルースで使う例のペンタトニックスケールだよね?」

 

そう、この曲はブルースなんです。

 

ブルースについては前期のHow To Improvise 「AAB Blues」でお話しましたので、詳しくはこちらへ。

 

ブルースは通常AABという形式で出来ています。

 

実はTell Me A Bedtime StoryもAABです。

 

え〜?でも全然ブルースっぽくないよね〜」

「ネオ・ソウルって感じかな〜」

 

そのとおり!

 

メロディはブルース、ハーモニーはジャズ!その名は「R&B!」

 

ペンタ・トニック・スケールは、メロディが作りやすいだけではなく「リハモしやすい」スケールなのです。

 

試しにTell Me A Bedtime Storyをブルース進行に戻してみましょう。

 

 

ね?べたべたでしょ?

 

ペンタトニックで作ったあなたのメロディにいろんなコードを付ける練習をして見てください。

 

STANLEY TURRENTINE “SUGAR” 等も同様の手法「ペンタのお洒落リハモ」で出来ています。

是非参考にしてください。

 

 

という感じでブルースをお洒落にリハモしてみよう〜のコーナー!

 

ブルース進行はⅠ Ⅳ Ⅴが基本ですが、別にメロディの邪魔さえしなければ何をつけても良いのです。

 

 

バグス・グルーブ風ブルース(Am penta tonic)基本進行

 

リハモ・ヴァージョン!(R&B風)

 

先ほどのTell Me A Bedtime Storyはどんなリハモをしてるのか?匠の技をアナライズしてみてください〜(楽譜はクラス内で提示)

 

Herbie Hancockはピアニストとしての特権をフルに活用した和声的なアウト・サウンドが魅力ですが、実にPopなセンスも持ち合わせているミュージシャンです。

 

ブルーノート時代には伴奏者としても大活躍でしたが、CTIレーベルでのポップ&変態サウンドは今聴いてもたまりませんよ。

 

サービスで乗っけておきますね〜

 

 

 

 

 

 

 

ショーターのブルース

 

Wayne Shorterは今回のコンテンポラリー入門のメインゲストです。

 

この人は変態を地で行くホンマモンのヤバい人です。(言い切ってしまいました)

 

彼のサウンドが後のフュージョン~コンテンポラリーに与えた影響は半端ないと思います。

 

彼がJoe Zawinulと共に結成したWether Reportが無かったら、この世に存在しなかった音楽はめちゃたくさんあります。

 

私も今頃・・・何をしてたかわからないです。

 

Wayne Shorter代表曲(いっぱいあるけど)を見てみよう!(楽譜はクラス内で提示)

 

Herbie Hancockとの共通点が見られます。

 

シンプルなダイアトニック・メロディに対して、ノン・ダイアトニック・コードを配してメロディの性格をよりアウトな(ハイブリッド)な物に変えています。

 

メロディの構成音はダイアトニックペンタトニックに9thを加えた物

 

Wayne Shorterのノン・ダイアトニック・コードのリハモ(なるべくメロディがテンションになる様に配置)

 

おもしろいコード付けるでしょ?

 

キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

 

Wayne Shorterさんはとてつもなくユニークなミュージシャン(作曲家)で、彼のオリジナル作品はモダンジャズやコンテンポラリーという範疇を超えて、もはや「ウエインズ・ワールド」と言うべきでしょうか?

 

*難解なコード進行と覚え易いメロディ?

 

*モチーフがめちゃキャッチー

 

*和声の制約から解き放たれた自由なインプロビゼイション・・・

と思いきや、めちゃ理論的な裏付けと几帳面な音使い。

 

*絶対真似出来ないリズム感!?

 

*エレクトリックと何故か相性の良い音色・・・?

 

*書いてあるのか即興なのかわからないアレンジ

 

*コードネームが付けられないコード(マイルスコードとの共通点)

 

*良い曲だらけ

Infant Eyes

Virgo 

Witch Hunt 

Children of the Night 

E.S.P. 

Footprints 

Juju 

Mahjong 

Nefertiti 

Night Dreamer 

Speak No Evil 

Witch Hunt 

Yes and No

Miyako

Wild Flower

Adam's Apple 

Fee-Fi-Fo-Fum 

Night Dreamer 

Black Nile

Children of the Night 

This Is for Albert 

El Gaucho

・・・・・

 

(楽譜はクラス内で提示)

 

謎に包まれたWayne Shorterの参考作品はこちら・・・

 

 

 

 

 

 

と、いうわけで、今回はコンテンポラリー入門として

Miles Davis

Herbie Hancock

Wayne Shorter

 

レジェンド達の匠の技をのぞいてみました。

 

See You~