How to Improvise 第2回はブルースです。

 

アドリブを練習する時に何を練習するか?「練習の素材」はとても大事です。

 

アドリブの素材?って何でしょう?

 

スケールやコードなども素材ですが、もっとも重要な素材は「曲」です。

 

どんなジャンルの音楽でも最終的に観客に届ける物は曲です。

 

我々ミュージシャンはスケールやコード、理論等を学んだ物を全て曲の中に反映させて行くのです。

 

今回は「アドリブの素材」としてのブルース・・・?

 

と、いうお話をしましょう。

 

キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

 

ブルースとは何か?

 

簡単に言うとブルースとは

 

「AAB形式の12小節の曲」です。(12小節ではない場合もあります)

 

世間では、ブルースと言う名詞はいろんな使われ方をしますので混乱の素です。

 

 

グラサン「なんかブルースっぽい」(形容詞?)


お願いブルースのCDは何処ですか?」

タワレコ店員「5階です」(ジャンル?)


照れ「エリック・クラプトンはブルース・ギタリストだ!」(スタイル?)


お願い「ナウ・ザ・タイムは12小節のブルース進行だ!」(構成?)

 

 ニコブルースはホントに色々あります。

「柳ケ瀬ブルース」というの曲もあります・・・(演歌?)

 

 

もやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもやもや

 

ブルースというのはとても狭い音楽でもあります。

 

ラブ例えば「バラード」という言葉は、

 

ゆっくりな曲とか(テンポ)

ロマンチックな歌詞(フィーリング)

 

とかいった使い方をする物で、構成とか、コード進行、小節数を示したものではありません。

 

すなわち、バラードはコード進行もメロディも構成も、なんでもいいんです。

 

グラサン対して「ブルース」という言葉には、

 

小節数

コード進行

フィーリング

時にはメロディの音使いまで・・・示す場合があります。

 

「ブルースという楽曲」はかなり「狭い範囲でバリエーションを作っている」のですが、じつは

制約が多いというのはかえってやりやすいんです…

 

ブルースは同じ構成の同じコード進行の似たようなテンポで、無数のヴァリエ〜ションがあるのです。

 

狭いから深いとも言えるのですね。

 

上差しこのブルース独特のルールを利用しない手はありません!

 

アドリブを「即興」ではなく「ゲームのルール」だと思って先ずそのルールを覚えることから始めてみましょう。


あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと


上差しブルースは「12小節=AAB形式」の曲です。

 

この構成には非常に大切な意味があり、ブルースの作者たちは意識するしないに関わらずこの構成の制約を受けています。

 

この構成をアドリブに取り入れる方法を紹介いたしましょう!

滝汗 名付けて「AABブルース!」(ダサっ!)

A)4小節音符
A)4小節音符
B)4小節ハート

まずメロディが始まります→A

それを繰り返します→A

最後に違うメロディで終わります→B

 

それぞれが4小節になっています。

 

ネタふりが2回

オチが1回

 

このフォームはブルースの歌詞が源になっています

 

 

上差しLyric Structure を観てみよう!

 

 

次の曲達を見てください。

 

 

グラサン Born in Chicago

 

A音符I was born in Chicago, nineteen and forty-one


A音符I was born in Chicago in nineteen and forty-one


BハートWell, my father told me"Son, you'd better get a gun”

 

 

 

グラサン Stormy Monday [T-bone Walker]

 

A音符They call it stormy Monday, but Tuesday's just as bad


A音符They call it stormy Monday, but Tuesday's just as bad


BハートWednesday's worse, and Thursday's also sad

 

 

 

キョロキョロ 2回同じ事を歌って最後に違う事を歌っているのがわかりますか?

 

他にも面白い歌詞がたくさんあります (和訳で)

 

「アーミー ブルース」[カルヴィン・ブランド]

朝から憂鬱だ、最悪の日がついに来た

朝から憂鬱だ、最悪の日がついに来た

アメリカ政府に徴兵されて楽しいはずは無い

 

「バレルハウス ウーマン」[リロイ・カー]

いつも浮かれてるブギウギ娘

いつも浮かれてるブギウギ娘

そんなに浮かれてると頭がいかれちゃうぞ?

 

「ミステリー トレイン」[ジュニア・パーカー]

俺の乗っている汽車は16両連結

俺の乗っている汽車は16両連結

この長い黒い列車が、あの娘を故郷から連れ去った

 

「フューチャー ブルース」[ウイリー・ブラウン]

1分が1時間、1時間が1日になる

1分が1時間、1時間が1日になる

俺の女が浮気をやめない限り

 

あしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

 

上差しAABの歌詞の構成(lyric structure)はブルースの「伝統的な構成」です。


今回はブルースの「構成を利用」したアドリブの練習法

及びブルースのテーマの作り方を紹介します。

キョロキョロまずはジャズレジェンド達の有名なAAB形式のブルースを見てみましょう。

 


Ex1)Blues Walk [ Clifford Brown ]

 

 

Ex2)Blue Monk [ Thelonious Monk ]

 

 

Ex3)Mr P.C [ John Coltrane ]

 

 

Ex4)Tenor Madness [ Sonny Rollins ]


同じメロディ(モチーフ)が2回繰り返した後違うメロディが1回

 

構成と言う「テクニック」はなかなか便利な物です。

 

其の通りに並べると「ブルースっぽく」なります。

 

フレーズを一所懸命練習しても、スケールを頑張ってやっても、速弾を鬼のようにやっても、

「なかなか良いアドリブができな〜〜い」と御悩みの方は是非お試しを。


あしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあとあしあと

上差し「AABブルース」を実際に作ってみよう!
 

次の進行でやってみましょう


 

作ってみた・・・

 

Ex5 AABブルース
$『道』Blog

 

音符「やり方」

 

先ず、Aのメロディを作ってください。

 

そしてそれをそのまま下の4小節に「コピペ」します。

 

最後は違うメロディ(B) を作ってください。

 

AABが完成したら(B)を新たな(A)にして次のAABを作ってみましょう。


右差しブルースと言う「構成」をアドリブの「素材」として使う、これは後に、さらに高度なアドリブを修練するときに必要なテクニック「モチーフ・デベロップメント」の初期段階の練習法として大変有効です。

 

口笛ここで少しモチーフ・デベロップメント(動機の発展)の説明をしましょう。

 

 


右差しモチーフとは簡単に言えば「コピー&ペースト」の事です。

 

何をコピーするか?

 

まずは「リズム」です。

 あなたが最初に作ったリズムをコピーして、次のメロディに貼っつけるのです。

 

モチーフ・デベロップメントと言う技?ですグラサン

 

譜例1)

 

譜例2)

 

譜例1、2)は「リズムが同じで、違う音」が当てはめられています。

 

このようにリズムをコピペして、発展させるのです。

 

「意図的に似せられたメロディの連結」と言う事ができるでしょう〜

 

 

右差しBlues Walkのリズムだけを書き出してそれに音を当てはめてみましょう


譜例3)


このリズムをモチーフにして他の音を当てはめてBluesを作曲してみましょう。

 

 

Ex6)

Blues Walkのリズムを元にしてにして作ったオリジナルブルース


と、いうふうに皆さんもAABブルースを作曲又はアドリブ練習に取り入れてみてください。
 

Qこれが何のリズミック・モチーフから出来ているか分かりますか?

 

AABという伝統的な形式を使うと何故かブルースに聞こえる・・・?

と、いう不思議な現象のお話をしました。

 

いつ頃どこでこの形式が成立したのか?諸説ありますが、次回はその辺の話も含めて、もう少しブルースのお話を致します。

 

それでは又来週〜バイバイ

 

 

 

グッ私の本もよろしくです。