最後の課題は書きソロです。
今年は取り上げられなかった4つの授業内容があります。
ので、ここにリンクを貼っておきますので興味のある方はのぞいてみてください。
それでは書きソロの話をしましょう〜
少し説教臭く入ります。
アドリブ・ソロを作曲し譜面に書き起こすことを俗に「書きソロ」と言います。
即興であるはずのアドリブを何故譜面に書くのか?
楽譜が無いのになんでもできる!「すごい〜」が売りのはずなのに・・・
アドリブというのは時間芸術です。
時間の経過を、音を使って即興で芸術に変えるのです。
観客も演奏者と共に音楽創作の現場を体験する、それがジャズ、そしてアドリブという芸術がもつ魅力であり、非常に特殊な部分なのです。
書きソロは、その時間を止めるのです。(大げさですが)
次に自分が演奏する音を自分で決めるのがアドリブの本質。
しかし、その音が本当に良かったのか?を、その場で検証する事はできません。そんな事してたらその次の次の次の次の・・・音が出なくて演奏は終わってしまいます。
作曲も次の音を自分で決めるのですが、その度に立ち止まって本当に次はこれでいいのか?と検証を重ねて最後までたどり着くのです。
作曲家が納得しない音が入ったまま作品を発表するでしょうか?(しないでね)
「アドリブだから適当でいい!」
「その場の気分でやってこそジャズ〜」
おいおい、そこの君たち・・・
自分が理想とするアドリブ・ソロを明確にイメージできないのに、即興で良いソロを創造することができるでしょうか?
時間を止めても出来ない事は、もうそれは絶対に出来ないのです…
「なんか最後になって難しい事言うな〜〜」
「回りくどいんじゃこの◯ケ〜」
…と、そんな事言わないで Listen!
簡単にいえば、頭の中に理想のアドリブ・ソロを描ける様になろう!ということです。
時間を止めて、振り返って・・・本当にこの音で良いのか?これが自分の欲しい音なのか?検証を重ねて「書きソロ」という作品を創ってください。
あなたが選んだ好きな曲のコード進行を使って、あなたのベストソロを作曲してみましょう。
How to KA KI SOLO
書きソロのコツその1
「パクリンコ」
個人的意見ですが、書きソロのベストな方法はパクリンコです。
パクリンコとはあなたが大好きなソロをコピーして自分の物にしちゃうということです。
とにかく普段からいいな!と思ったフレーズをストック(採譜)しておきましょう。
そして自分が演奏したい曲のコード進行に合わせてペッタンペッタン貼り付けて行けばいいのです。
現在の著作権ではアドリブには著作権がありません(変なの〜)従って、どんどんコピーして練習して自分の血肉にしましょ〜〜〜
譜例1)チャーリーパーカーのフレーズを継ぎ接ぎして書きソロを作る
注)どの曲のあの部分か?分かるかなあ〜〜〜?
書きソロのコツその2
「エチュードを作る」
エチュードとは練習曲のことです
例えば・・・
のような・・・
楽器の習得のために、スケール、アルペジオ、装飾音などを一定のハーモニーに沿って書かれたものです。
私はこのようなエチュードが大変好きであります。
特にこれらはエチュードとしての作品ではありませんが涎ダラダラもん?の素晴らしい作品です。
エチュードの一つの特徴として、リズムが単純なものが多いということです。(リズムのためエチュードは別)
運指をパターン的に覚える方が効率がいい(ハノンなど)のと、リズミック・ノーテーションと音を同時に読んでいくという作業はエチュードという初心者もやるであろう作品の意図からは離れている(難し過ぎ)からだと思います。
なのでリズムは考えずに貴方もエチュードを作るところから始めましょう!
書きソロを作る時に先ずは簡単な方法は音から書く・・・です。
例えば、CMaj7の時に使える音は決まっているのです。
それらの音を先にリズム無しで片っ端に書いていきましょう〜
譜例2)リズムを作らず四分音符のみでコードトーンエクササイズを作る。
音だけのエクササイズが出来たら、それを使ってリズムをインプロヴァイズしてみましょう。
譜例2のリズミック・ヴァリエーション
書きソロのコツその3
「作曲」
あなたが選んだコード進行を使って「あなたのオリジナルを作っちゃうのです」
あなたの「枯葉」
あなたの「酒バラ」
あなたの「イパネマ」
を作っちゃうのです。
実はこれはみんなやってます。
I Got Rhythm → Anthoroplogy , Dextality , Rhythmaning , Lester Leeps in
All The Things You Are → Prince Albert
There Will Never Be Another You → Split Kick
Indiana → Donna Lee
How High The Moon → Ornithorogy
What Is This Things Called Love → Hot House
Confirmation → Juicy Lucy , 26-2
Tune Up → Cowntdown
etc....
さがせばいくらでもあります・・・
それでは私達もやってみましょう〜
曲はこちら
譜例3)All of Meのコード進行
このコード進行に対してターゲット・ノートを作ります。
譜例4)
ターゲット・ノートに対して装飾音符を足していきます(その際いにリズムのモチーフを考慮しましょう)
譜例5)
あなたの好きな曲には既に素晴らしいメロディがあります。それらの曲はメロディとコード進行が手を取り合って仲睦まじい姿を見せてる事でしょう。そのカップルの事もリスペクトしてあげてくださいね
とはいえ、コード進行の特徴を生かすも殺すもあなた次第。いっぱつで「ああ、あの曲のソロだな〜」と解るのも、「なんじゃこれは?」となるのもご自由にどうぞ〜。
私を笑かしてくださいね〜〜
もし、書きソロの途中で悩んでしまったとき、この授業でやった事を少し振り返ってみてください。
ベース・ライン
モチーフ
コード・トーン
ネイバー・トーン
テトラ・トニック
7-3の法則(バッハ)
アプローチ・ノート
コード・スケール
モードとは?
モードで遊ぼ
その他のモード
アッパー・ストラクチャー
ペンタ・トニック
シンメトリック・スケール
etc・・・・
それらを使ってみて、もしお気に召したらより深く掘ってみれば、宝物が埋まってるかもしれませんよ(ゴミだったらごめんね〜)
How to improvise は洗足音大の中でも変わった授業だと思います。
ジャズコース全学年が履修可能なこのクラスは大変マニアックな内容を色んなレベルの生徒たちが履修するので、なるべくわかりやすい言葉で難しい話をします。私自身も孤軍奮闘五里霧中の四面楚歌で、なかなかの疲労困憊雨あられなのです。
長年やって来て今のところ私の立ち位置は「わからなくても大丈夫」な授業にしたいなぁと思っております。
本年詳しく扱わなかった練習法は
リズミック・モチーフ
ポリリズム
マジック・アルペジオ
チャーリーズ・アングル(パーカーの視点)
リハモナイズ
ハーモニック・コンバージョン
スケール・コンバージョン
マルチ・トニック(コルトレーン・チェンジ)
クロマチック・スケール
カンピング&ソロイング
…
等があります。
リモート授業を考慮して省きましたが、又いずれ機会があれば紹介したいと思います。
この授業は3回の課題発表があります。
1回目 ブルース書きソロ(2コーラス)
2回目 リズムチェンジ書きソロ(1コーラス)
3回目 自由曲 スタンダード又はオリジナル
この三つの課題例を載せておきますので参考にしてください。
課題1)Blues
課題2)Rhythm Change
課題3)Standard Song
課題はあなたの好きな曲の書きソロを私のGoogle Classの課題提出に出してください。
フォーマットはpdf,jpeg又はオーディオデータでも構いません。
それでは学生の皆さん、課題を出して楽しい夏休みを!!