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今回はコード・トーンを使ったフレーズの作り方その2

 

「7-3の法則」そして「テトラトニック」という2つのお話をいたします。

 

昨年度の資料動画がありますので参考にしてください。

動画ヴァージョン

 

 

突然ですが・・・

 

口笛バッハという方がいらっしゃいます。1685年生まれ1750年没、300年くらい前に活躍した方です。

 

作品数は発見されている物だけでも1000作品を超えるという、正に音楽の父です。

 

因みに作品数が多い作曲家で有名な人はバッハより少し年上のテレマンで、4000作品以上だそうです(^^汗💦

 

バッハの楽曲の中でも私が特に好きなのが無伴奏バイオリン・ソナタ&パルティータという作品です。この作品にはシングル・トーンで延々と弾きまくる「無窮動」な曲が多数有ります。


 

キョロキョロ「なんでジャズの授業なのにバッハが出てくんの・・・?」

 

滝汗「そうなんです・・・アセアセ

 

前回の授業で「Be-Bopは独りバンドだ!」というお話をしました。

 

上差しバッハの独奏作品(バイオリン、チェロ、フルート等)は、単音(和音が無い)なのにコード進行が聴こえてくるばかりか、時には転調したり時にはアウト?したりするように聞こえるこの作品は、一体全体どういう風に作られているのか?

 

上差しバッハの楽曲は全ての音が和声の為にあります。

 

1音動くだけで景色がかわり、

 

和声が進行するたびにメロディが呼吸するような?不思議な感覚…

 

あまりに自然過ぎて作曲というよりも既にある自然音を並べている…

 

まるでミケランジェロが大理石の中にあるダビデを見出だしたように?

 

回顧録・・・

口笛私がバークリー学生の頃、ボストンでお会いしたプレーヤーは皆さん素晴らしい先生でした。英語がチンプンカンプンの私の疑問にわかりやすく答えてくれたものでした。7-3の法則ジョン・ダミアンというギタリストに聞いたお話で、彼曰くバッハ・スタイル・インプロビゼーションとのこと。ビル・フリーゼルと仲の良いダミアンさんは、対位法的ソロギターインプロを得意としていてフリーゼル&ダミアンでよくDuoをやってました。これを練習すればバッハになれる!(かもよ?)と、目だけは笑わない笑顔で教えてくれました。


あしあとあしあとあしあとあしあとあしあと


右差し「7−3の法則」


アドリブに限らず、音楽の音の動きには文法があります。

 

美しく聞こえるメロディには必ず何らかの法則が潜んでいるのです。

 

とくに、クラシック音楽は「美しい音の動き」に文法を見いだしそれに乗っ取って、あるいはそれを敢えて破壊する事によって無数の名曲?を生んできました。

 

たった12音しか無いのにすごいですよね!?

右差し
Ex.1 まずコード進行を流しながら適当にメロディを思い浮かべて歌ってみてください。


ミケランジェロが大理石の中にダビデ像を見出したように、コード進行の中からいいメロディを産み出すことができたでしょうか?
 

次は今度はコード・トーンの3度の音だけ歌って見ましょう。どこかで聞いた事のあるメロディに聞こえませんか?

Ex.2コードを弾きながら3度を歌う(練習)


Ex.2の様にコードの3度の音はとても「歌いやすい音」とされていて、世の中の歌には3度がいっぱいです!

 

上差しこれを利用して必ずコードの最初の音に3度を持ってくる様にします。

 

7thコードには4つの音(1、3、5、7)がありますので

 

3が頭にくる音形は


(3、1、5、7)
(3、1、7、5)
(3、5、1、7)
(3、5、7、1)
(3、7、1、5)
(3、7、5、1)

 

と、6種類の音型ができます。

 

どのように並べてもいいのですが推奨する音型が2つあります

 

それは(3、1、5、7)(3、5、1、7)です。

 

コードからコードへ移動するとき7度が3度に移動します

 

「7度で終わって3度にいく」

 

私はこれを「7-3の法則」と呼んでレッスンで時折やっています。

 

ただ無心で3157.3157.3157…とコード進行を見ながら弾いて行くだけです。

 

(ただし4度進行の上で…後述)

右差しコードが4度進行する場合、7度はかならず次の3度におりていく(解決する)様に動きます。要するに7−3はネイバートーンですね。

 

(音符上の数字はコードトーンの度数)小節の最後の音と次の音に注目してください。

 

Ex3)


一度ピアノでもなんでもいいですからゆっくり上の譜面を弾いてみてください。

 

コードがなくても進行が聞こえてくると思います。

 

どうですか?バッハに聞こえますか?

 

先生パー

 

ハイゲロー

 

これだとみんなおんなじになってしまいませんか?びっくり

 

大丈夫です酔っ払い

 

上差し7-3の法則は一つじゃない

 

上下を入れ替えればバリエーションは色々作れます。

 

7-3の法則バリエーション例

 

上差しここで重要ポイント!!!

 

7-3の法則は4度進行で機能する!

 

右差し次のEx4はスタンダード・ナンバー「枯葉」ですが、全て4度進行です。

 

上差し実際に「枯葉」エクササイズを作ってみましょう

 

Ex5)

 

注)7-3の法則は自動的にネイバートーンに行くのでそれ以外の音は上下自由に入れ替えても構いません。(その方がヴァリエーション豊かになります)

 

このように多数の曲で4度進行は使われますので殆どの曲でバッハ風アプローチが可能です。

4度進行の曲・・・

([All The Things You Are] [Autumn Leaves] [There Will Never Be Another You] [There Is No Greater Love] [Cherokee] [Satin Doll] [I’ll Close My Eyes] [I’ll Remember April] etc…

 

 

音符おまけ!

Ex5にリズミックヴァリエーションを加味しました。!

 

Ex6)

 

キョロキョロどうですか?アドリブっぽくなるでしょ?

 

All the things you are のコード進行に7-3の法則を当てはめてみました。

(コードネームの横の数字はコードトーンの順番。表記の無い部分は4度進行ではないので7−3が当てはまらない部分)

 

 

4度進行以外の進行は7−3にしてもネイバートーンに行きませんので効果は半減?

そんな時は任意のネイバートーン、又は次に紹介するテトラトニックで対応しましょう〜

 

右差し「テトラ・トニック」


4つの音をコードに当てはめて行く事によってメロディ(アドリブライン)を作って行きます。

 

このテクニックはBeBop時代に流行った?テクニックで、ジャイアント・ステップスに代表される、コードがめまぐるしく変わって行く(2拍ずつ)タイプの曲によく使われるテクニックです。

 

先程の7-3の法則は4度進行の時に威力を発揮しますが、テトラ・トニックはコード進行を選びません。むしろランダムな進行の方がいいかも?

 

 

テトラ・トニックは4音でコードサウンドを表す訳ですが、音の選び方によってキャラクターが変わります。

 

下記に示すものはよく使われるテトラトニックをコードタイプ別に分けたものです。
 

 

上差しコード・タイプ別テトラ・トニック

赤線の枠は最もよく使われる基本形)
譜例1


基本は(1235)の4つの音を使いますが、「7thコードも4つじゃないか?」とツッコミも入りがちですが、この場合の4つの音は「4音スケール」として考えます。

 

ペンタ・トニックが「5音スケール」

ヘキサ・トニックが「6音スケール」

 

テトラ・トニックは「4音スケール」

 

っていう・・・

 

メロディックなモチーフを作るのに長けていていろんな状況で役に立つテクニックです。

実際にはこんな感じで使われます。

 

Ex7)




順番を入れ替えてもいいのです。

 

Ex8)




オプションとしてこんな4音も使えます。

譜例2)


ドミナント7thの場合はこれも使えます。

譜例3)1♭9 3 5


そして、クロマチック、Be-Bopスケールなどと呼ばれる事もあれ、つながりをスムースにするためによく使われるフレーズです。

譜例4)1 から #9から 5からクロマチック

 

上記の譜例は厳密に言えばテトラトニックでは無いのですが、コルトレーンに代表されるBeBopのプレーヤー達がよく使う常套句です。アプローチノートともまた違ったキャラクターで、4つの音で7thコードの特徴を表したフレーズと言えるでしょう。


テトラ・トニック使用例

 


Ex 11)リハモを加えたヴァリエーション

Ex 12)リハモを加えたヴァリエーション

Ex 13)リハモを加えたヴァリエーション

Ex14リハモを加えたヴァリエーション

注)どんなリハモになっているか?各自でアナライズしましょう〜

 

Ex15) Confirmation

 

Ex16)Blues in F リハモナイズ

Ex17)Rhythm Change

 

今回は、

 

「コード・トーンの選択方法」というお話でした。どのように並べればどんなサウンドになるか?それらを創作と練習方法に取り入れる事によって、あなたのアイデアも広がっていくと思いますので是非お試しあれ。

 

 

プチ課題!

 

「3つのコード・トーン・ソロイング」

 

1)ネイバートーン

2)7-3の法則

3)テトラトニック

 

以上の3つを使ってのコード・トーンエクササイズを作りましょう!

 

*1つのコードに対して必ず4つの音(1.3.7.5)(テトラトニック)を使ってください

*リズムは4分音符あるいは8分音符

*リズミックヴァリエーションは使っても使わなくても構いません

*以下のコード進行を使って下さい

*この課題は自由研究です。チェックしてほしい方はクラスのメールに投函してください。

 

Ex11)

 

 

コードーンのお話は1、2と、かなり長尺の講義になってしまいました。

1回で理解するのは難しい内容ですので、気楽に構えてのんびりやってください。