sakura

先週末から今日あたりまで、
NYは欧州からの観光客だらけ。
イースター・ホリデーとやらである。

日本でもしょっちゅう道を聞かれるノラ編集者、
NYでも然り。
フランス語、ドイツ語、イタリア語のNYガイドブックを持った
オヤジや娘に、地下鉄はどこだとか、右に行けばブロードウェイか、とか。

どう見ても「アメリカン」な鯨デブが溢れているのに、
なぜ、わたしに聞く…?

人はおそらく、道をよく知っていそうな人より、
単純にスキがあり、ものを聞きやすそうな人に、道を尋ねるのだろう。

しかし、なんにつけ聞く相手を選んだほうがいいのは、言うまでもない。

突然、日本から持ってきた着信用ケータイが壊れたノラ編集者。
予備としてもっていたプリペイド携帯を、
酔った勢い(?)で、気前よくあげてしまった直後の出来事である。

「わたし、あと1か月くらいで国に帰るんだけど~
超安い携帯買えるとこ、知らない?」
激安情報に詳しそうな台湾人・フィーフィー(仮名・37歳)に尋ねる。

「そりゃあ、もちろんフラッシングに限るわよっ。激安よ!
付き合うから、これから行きましょ!」

別に付き合ってくれなくても、携帯くらい1人で買えるんだけど…。
台湾でも外資勤務、NY生活も長い彼女は、わたしの保護者のつもりらしい。
その勢いに、つい、うなずいてしまう。

フラッシングとはクィーンズにある、アジア人が多く住むエリアだそう。

マンハッタンから、たらたら40分ほど電車に乗っただろうか?
駅を出ると、「白人」がいない。
チャイナタウンというより、ホントの中国。
聞けば、台湾エリアと韓国エリアがあるそうである。

とりあえず、全部が漢字で書かれている携帯屋へ。
フィーフィーが、中国人店員に、中国語で何かまくし立てる。

「この機種は、テキストメッセージがあーでこーで…」
…などと店員が中国語で答えるのを、フィーフィーに英語に訳してもらい、
それをアタマの中で日本語にする。だんだん、こんがらがってくる。

「う~ん、面倒くさいよー。何でもいいから早く買えて安いヤツ」
ノラ編集者が弱音を吐くと、フィーフィーの目の色が変わった。

「せっかく時間をかけて来たんだから、ベストの買い物をしなさいっ!」
…「お買い物日記」というブログをやっていても、
酒のことしか書かないわたし。そりゃー無理ですよ、センセイ。

「フツーの携帯しか扱っておらず、いちばん安くて200ドルである。
1ヶ月しか使わないのなら高すぎるから、誰かから中古を買いなさい」
と、店員が言っていると、フィーフィーが言う。

携帯屋の店員なのに、そのアドバイスは、いったい…?

「いいよ~面倒くさいから、なんかここで買っちゃう」とノラ編集者は懇願。
「ものぐさく、ムダ遣いをしちゃいけません!」とフィーフィーは却下。

結局、フィーフィーと中国人店員の間で、
「インターネットで中古携帯を売る人を探せば、いちばん安上がり」
という合意に達した(らしい・・・とほほ)。

携帯ゲットならず、近くの台湾カフェでご飯を食べることに。
隣の席の、タランティーノ監督をさらにオタクっぽくしたような男が、
なれなれしくノラ編集者に話しかけてきた。

「キミは、リンカーンセンターの受付にいる子でしょう?」
「違います」

答えたとたん、フィーフィーが噴火。
「知らない人に話しかけられても、むやみに答えちゃいけません!」
…あの、思いっきり英語なんで、タランティーノ男に聞こえてるんだけど。

「あれっ?嫌われちゃったかな?」
などとおどけたものの、冷たい反応が続き、さすがに引いたタランティーノ男。
「邪魔してシツレイ。話せてよかったよ」
そう言って、さっと右手を出した。

つい握手に応じそうになるノラ編集者に、再びフィーフィーの声が。
「アメリカ人の男の70%は、トイレのあと手を洗わない!」
…あの、70%の根拠って、いったい…?

なんでも自分でやらないといけないNYだし、東京だってかなりクール。
なおかつ、おせっかいは、するのもされるのも苦手なノラ編集者。
だけど、フィーフィーの熱さが、なぜか不快でなく不思議。

翌日、ミッドタウンでプリペイド携帯(★ノキア・120ドル)を購入。
所要時間20分。

フィーフィーにはしばらく、内緒にしておこう。
ps1
マンハッタンのアイスクリーム屋台に並ぶ、
若いお姉ちゃん、いい歳したおじさん、
ノラ編集者……。

★ソフトクリーム2ドル
(あんまり美味しくない…)


半袖でOKな日差しを満喫しつつ、
ぺろぺろ舐めながら、ぶらぶら歩いていたら、
小学生の群れが。

なにかの社会見学らしく、引率の先生に連れられて、
わいわいきゃーきゃー、かますびしい。

おひさまの匂いと、子供の匂いが混じりあう。
ちょっと、洗いたての犬の匂いに似ている。
小学生時分の、春の遠足の記憶が、よみがえる。

ところでノラ編集者、
友人ふたりと5年ほど前から、
「お互い見た夢を、メールで交換する」
というのをやっている。

友人と言っても、限りなく飲み仲間に近く、
なぜ、そんなことをはじめたのかは、不明。

特別に親しいわけでもない&両方とも男性なので、
極度に気持ち悪い夢やセクシャルな夢は、お互い自主規制している。
(って、わたしだけ?)

その、5年分たまった夢データによると、
わたしの夢のロケーションは、
圧倒的に小学校の教室か、ひなびた温泉である。

そこに、リアルワールドや、大人になってからの人間関係が
虚実織り交ぜて持ち込まれるパターン。

小学校、死ぬほど嫌いだったのに、どうしてだろうか…?

今朝もなぜか、小学校が舞台の夢を見たので、
ソフトクリームを舐めおえると、思い立ってPS1へ。

PS1はロングアイランドにあるモダンアートのミュージアムである。
★大人5ドル

もともと小学校だった建物を、そのまま美術館にしている。
MOMAの系列だが、もっとラフな感じ。

一段一段が小さい階段。
リノリウムの廊下。
美術館になっても、やっぱり残っている、小学校の匂い。

80年代にエイズで死んでしまった写真家の特別展を見ながら、
古い記憶が、ちょこっ、ちょこっと引っ張られる、
半分昼寝しながらの釣りみたいな感じを、楽しむ。

市谷あたり、お堀端の釣堀は、うららかだろうか?
なんて思っても、ここはニューヨーク。

PS1、エントランス横のカフェで、昼間の白ワイン。
そういえば、朝食はブルックリンラガーだった…。
これぞ、ノラ暮らしの醍醐味?

帰りの地下鉄で、お昼寝。
だんだん、夢と現実の境目が、うすれていく。
sake
東京もそうだけれど、「ガイジン」が多いNY。
お国に彼氏・彼女を残している遠距離派、
「今だけの恋人」を楽しむ派、いずれも多い(らしい)。

「今だけの恋人」に、眉をひそめる人も
多いけれど、
たとえ「永遠」と思っても、
結果的に、
「今だけ」になっちゃうケースも多い昨今。

「ゆきずりだろうと、いっときだろうと、別によろしいのでは…?」
と思うのは、
色恋沙汰に、とんと縁がない、
他人事&枯れたノラ編集者だからであろうか?

しかし今週、ちょっと胸ズキュン(←死語?)な出来事が。

渋滞のマンハッタン、クロスタウンのバスに乗っていたら、
見慣れた顔を見つけた。
アメリカ人Cが、髪の長い東洋系の女子と、
仲睦まじげに、手をつないで歩いている。

心理学者の博士号をもったCは30歳。
くるくるの金髪に、野暮ったい黒メガネ。
某コンサル会社に勤務している。

人の紹介で会ったCが連れて行ってくれたのは、
チェルシーのバーだった。
当然ながら(?)ウイスキー、ガブ呑み。

どういうわけか、スタインベックの話になり、
酔ったアタマ&拙い英語で、過去の記憶を遡って
「怒りのブドー」のあらすじを語っていたら、
Cの手が、するっと、ノラ編集者の手に…。

「どうして、こんなに小さな手が、こんなに熱いの?」
…いや~?平熱高いし、酒、呑んでるからでしょ。
「このすべすべした肌は、服で隠れている部分も全部、すべすべなの?」
…???
「****、***」
…%&@#*+!!!

もしかして、わたし、口説かれている?

悲しいことに、今も昔も、とことんモテないノラ編集者。

口説かれるなんて、若い頃からついぞないし、
仮に、そーゆー機会があれば、
尻尾を振って喜ぶことはあっても、驚きはしないはず(?)。

人生、あやまちがあってこそ、人生。
いくところまで、いっちゃいましょう!

…とは、思うものの。

いささか面食らっていたのは、理由がある。
Cは、ステキな人だけれど、女性なのであった…。

ゲイの友達をつくるのがNY生活の目標。
それがなかなか、うまくいかない今、
レズビアンの恋人をつくるというのも…。

う~ん、でも、う~、う~、微妙。

同性に口説かれることって、昔から割合あるのだが、
残念ながら、嗜好と違う。

上手な断り方だったかどうかは、不明なのだけれど、
Cとは、それきり、連絡を取らなくなっていた。

そして、春となり。
久々にCを、バスの中から見かけ、
ほかの子と手をつないでいるのを見て、
よかったねと思うのに、なぜか不思議な失恋気分が、入り混じる。

こーゆーのって、
それでも、
春だねえ…ということなのだろうか?

ちょっと、違う?
kirinn
NY にも春が来た。 

半年の滞在予定で渡米したのは10月。
当然、寒いとしか思っていなかったので、
着るものが、ナイ。

…という口実でSOHOに買い物に。
★黒のビーサン(8ドル)
★貝殻&ビーズのネックレス(40ドル)


なぜ、真夏のアイテムを買う?
いったい、いつまで、いる気なのか…?

そんなことを考えつつ、花見ができない代わりに、
A子ちゃん&彼氏のアレクセイ君(仮名)と呑みにいくことに。
小柄なA子ちゃんにベタぼれの、大柄なのに丸っこい好青年である。

彼の知っているという店に、三人してバスで向かう。
人の恋路を邪魔するノラ編集者だけど、
犬に食われて死ぬ前に、たくさん呑んでおく腹積もりである。

時間帯なのかなんなのか、バス亭は混んでいた。
われわれのそばに、中国人らしきヨボヨボの爺さん、
樽のように太った、強欲そうなアメリカ人のオバサンがいる。

列がきちんとしていないので、先の二人とわれわれ、どっちが先か微妙。
だが、バスが来るとアレクセイが礼儀正しく、
中国人爺さんに「お先にどうぞ」。
よろよろと杖をついている爺さんの背に、手を添えたりしてる。

「なかなか、いい彼じゃん」
A子ちゃんを日本語でからかっていると、いきなりドスッ!
「ちょっとっ、入れなさイッ。彼がお先にって言ってくれたのよっ!」
肉圧(?)でわたしたちをまとめて押しのけたのは、樽オバ。

ちゃっかり中国爺さんに続いてバスに乗り込む、巨大な尻。
オレンジ色の派手なスプリングコートがぱんぱんで、醜いこと、この上ナシ。

だけどまあ、こういうオバサンは万国共通、どこにでもいる。
気にせずバスに乗り込むと、樽オバは中国爺さんと並んで、ちゃっかり優先席に。

NYのバスは、★基本2ドル(1回乗り換え可能)。
地下鉄と共通の「メトロカード」で乗るのだが、忘れると大変。
コインも使えるが、25セント硬貨しか受け付けない&運転手が両替しないため、
「あの~、だれかクォーター8枚持ってる人、いませんか~?」
…と乗客に聞きまわらねばならない。

その日のバスにも、そんな人が。
みな慣れているから、お財布をゴソゴソ。
そのとき「ジャリーン」という派手な音。
中国爺さんがヨボヨボしつつ小銭入れを取り出し、ばら撒いてしまったのだ。

とたんに、叫び始めたのが、樽オバ。
「なにやってるのっ!この老いぼれのチャイニーズ!
老いぼれすぎて国に帰れないなら、チャイナタウンに帰りやがれっ!」


カップル+ノラ編集者は、優先席近くに立っていたのだが、唖然。
チャイナタウンに帰れだとぉ~!!!

爺さんは英語がわからないのか、
小銭を拾ってあげているまわりの客に、にこにこしているだけ。

ここは同じアジア人、このオバに、仁義教えたろうやないかっ!
だけど英語でなんていうのかなあ…。
じれったく、わなわなしていると、アレクセイが口をひらいた。

「ボクはブルックリンで生まれましたが、両親はロシアからこの国に来ました。
あなたのお爺さんか、そのまたお爺さんも、この国に渡ってきたのでしょう?
ボクの両親や、このお爺さんと同じではないですか?
どうして、ちょっと後から来たというだけで侮辱するんです?」

いいぞ、アレクセイ!
今夜は死ぬほどウォッカおごってあげるっ!
鼻の穴を膨らますノラ編集者。うっとりしているA子ちゃん。
ちょっと得意そうなアレクセイ。うなずいているバス運転手。

再び、樽オバが叫んだ。
「余計な口出ししないで!この爺さんとわたしの問題よっ」
「問題?」怪訝そうなアレクセイ。
「あのね、この爺さんは、わたしのはずばんどっ!」

はずばんど…?
はて、はずばんどとな?
依然、にこにこしている爺さん。

犬に食われて死ぬ前に、
犬も食わない夫婦喧嘩を食ってしまった。
オチはどうあれ、その夜のウォッカの量は……
ここに記すまでもナシ。
lady
東京でもNYでも、
健康志向とかけ離れたところで生きる、
ノラ編集者。

だが、人に連れられて行ったマクロビオテックの
日本食レストランSOUENで、
玄米ごはんの野菜巻き寿司、蒸し根菜、ひじき…
などをいただいたら、細胞がスッキリした感じ。
★ランチセットは8ドルくらい

続いて、誘われなければ決して行かなかったであろう、
マーク・モリスのダンス・パフォーマンスを鑑賞。
良い席だったので、ダンサーの身体の美しさに感嘆。
筋肉一つ一つが、きちんと自分の役目を果たしている感じ。

単純なので「これからは身体が資本だ!」と突然、決意。
酒を控えて、久々にホットヨガに。
たが、相変わらずついていけない…。

レッスン終了後、へろへろになって更衣室にいくと、
わたしのバッグの横に、ひっそりとブラジャーが置いてある。
何カップかわからないけれど、巨大&ゴージャス。
あきらかに、わたしのものでは、ない。

「これ、誰の? 忘れてる人、いませんか~?」
摘み上げて、着替え中の人々に聞いてみる。

皆、「違う」というし、わたしは管理責任者でもない。
その辺に放置してシャワーを浴び、よろよろと帰宅。

ビールでも呑んで寝たいが、身体が資本なら、生活もきちんとせねばならぬ。
いつもなら翌朝回しにするのに、夜のうちにウエアを洗濯するかと、バッグをあける。

「???」
タオルやビニール袋にいれたウエアと一緒に、
どうも見覚えのない、色鮮やかなものが入っている。
そう……なんと、あの、巨大ブラジャー。

ボーっとしていて、もってきちゃったのか。
それとも誰かが入れたのか?
しかし中学生のいじめじゃないんだから、入れないだろう、普通…。
仕方がないので、洗濯してから捨てることにする。

マンハッタンは、リサイクルがかなりザツ。
新聞&雑誌、びん&かんは分別するが、それ以外はすべて一緒。
だがお菓子の空き袋、ティッシュペーパー、枯れた花エトセトラと一緒に、
豪華ブラジャー(しかも他人の)を、透明ビニール袋で捨てるのは、
どうも気分が落ち着かない。

結局、洗濯し終えたブラジャーは、洋服屋の紙袋に入れ、
毛玉だらけになってしまったセーターにくるんで、ごみに出すことに。

翌朝。
お掃除おばさんのレニー(仮名・50歳)が、件の紙袋を持ってきて言う。
「これ、あなたが出したんでしょう。本当に、捨てちゃうの?」

カリブ海から出稼ぎに来ている彼女は、娘の写真を見せてくれたことがある。
「このセーター、わたしにはムリだけど娘にやろうかしら」

ヴィンテージ・プッチ好きなくらいだから、
古着に全く抵抗のないノラ編集者。
自分の古着を、もらってくれるというなら、それはそれで嬉しい。

するとレニーおばさん、豪華巨大ブラジャーも取り出した。
「これもわたしには、小さいなあ~。(←!)でも娘にはいいかな?」

おばさんの娘はまだ、中学生くらいである。
お金がない中学生が、古着のセーターを着るのはOK。
だけど、女性にとって、洋服とランジェリーは別。

初体験がどーのこーのと、おやじくさいことは言わないにせよ、
これから花開く(?)中学生。
いくら豪華でも、巨大でも、
お古のブラジャーをするのは、なんか縁起が悪い! 悪すぎる!

それを英語で説明したいのだけれど、どうしてもうまくいかない。
「ワタシが思うに、彼女はまだ~、ティーンエイジャーで~、年頃だし~」
「OK.OK。このブラジャーがちょうどいいくらい、胸があるから」
「う~、そういう意味じゃなくて、年増のお古を若い娘さんがするのは、えーと…」

忙しいレニーおばさんは、わたしの拙い英語にイラついている。
「アナタは年増でも、このブラジャーをするには小さい。
ワタシの娘はヤングだけど、このブラジャーがちょうどいい。それが何か?」

それが何かといわれても……。
そういうことじゃあ、ないんだけれども。