貧しい家に嫁ぎ
クセのある曾祖母の世話をしながら
二人の子供を育ていた父の実母
酒乱で気性の激しい祖父の妻としても
懸命に努めた
資産家の娘に生まれた彼女にしては
並々ならぬ努力と忍耐であったと思う
耐えに耐えた暮らしの先に
待っていたのは
夫の裏切りであった
祖父に恋仲ができたと知った父の実母は家を出て
資産家である生家に戻った
幼き日の父が
「お母さんはどこ?」と訪ねると
「お前のお母さんは居なくなった。」
「もう帰ってこない」と言われ
大泣きした
幼い父が泣くと
酒の入った祖父は「男のくせに泣くな」と殴って黙らせた
父は実母に捨てられたと感じていた
実母が生家に戻ってしばらくしてから
資産家の大主人から
跡継ぎではない妹だけでも引き取りたいとの申し出があり
妹だけ引き取られることとなった
父はいつも一緒だった妹とも生き別れ
あの家に・・
一人だけ残された・・・