インボイス制度のポイント、やるべきことを実務の手順に沿ってお伝えしている12回シリーズ、
今回は、「専門家に相談したい時・税理士さんの探し方」です。
インボイス制度、顧問税理士さんがいらっしゃらない事業者さんにおいては、
ひとりで乗り切るの、ちょっと、辛いですよね…。
ただ、「専門家に相談したい」と思っても、
「誰に何を相談したらいいの?」「相談料はいくら?払える額?」「専門家って敷居が高い…」
などなど、ここでも様々なモヤモヤが発生してしまいます。
なので、まず整理して考えましょう。
その後、それぞれに対応してくれる機関等をご紹介しますね。
目次
1.相談したいことを整理しよう
2.対応してくれそうな機関・制度
1)インボイス登録事業者になるかどうかの判断がしたい時
2)会計・税務をトータルにお世話してほしい時
3)事業全般について相談に乗ってほしい時
4)記帳だけを何とかしたい時
3.税理士さんの探し方
1.相談したいことを整理しよう
インボイス制度に関してのお悩みは、分類すると以下の4つではないかと思います。
あなたのお悩みはどれでしょう?
1)インボイス登録事業者になるかどうかの判断がしたい
現在、免税事業者で影響が出そうな方は、
免税事業者のままでいるべきか?インボイス登録事業者になった方がいいのか?
が、大問題。まず、その判断を助けてもらいたいですよね。
2)会計・税務をトータルにお世話してほしい
「免税事業者」の方が、「インボイス登録事業者」になった方がよいと判断された場合。
登録手続きから、請求書・記帳など、インボイス制度に合わせた環境整備、
確定申告も見据えた日々の会計・税務処理を行っていかなければなりません。
こうなると少なくとも来年3月までは、トータルにお世話して下さる方が必要です。
ここは、やはり、税理士さん・会計士さんになるでしょうか。
3)事業全般について相談に乗ってほしい
インボイス制度導入による顧客の減少を補う販路開拓、売上UPのための方策、
新規商品・事業の立ち上げ、納税のための資金繰の改善など、
事業全般について考えたいという場合。
一般的には、資金繰り以外は税理士さんの分野でなくなるので、他の専門家の助けが必要です。
4)記帳だけをなんとかしたい
この機会に会計ソフトを導入して自分で入力したいと思っている方。
既に会計ソフトで記帳をしている または、
今後も会計ソフトは使わずこれまでと同じ方法で記帳を続けるが、
「インボイス制度で変わるところだけ教えてもらいたいんだけど…。」という方。
そんな方もいらっしゃると思います。
2.対応してくれそうな機関・制度
整理したお悩みの解決に向けて対応してくれそうな制度を探してみました。
順番にご紹介していきます。
ただ、私が自分で利用したわけでなく、
詳細を問い合わせても「実際に相談してもらわないとお答えできない」と言われることもあり、
どれだけの対応をしてもらえるか未知なところがあります。
「“空振り”だったら申し訳ありませんm(- -)m」なのですが、
ただ悩んでいるより、動けば何かプラスが得られることが多いです。
宜しければ、利用を検討してみてください。
1)インボイス登録事業者になるかどうかの判断がしたい時
① オンラインで気軽に 中小企業・小規模事業者インボイス相談受付窓口
内 容 : 税理士さんんへのオンラインでの相談
インボイス対応に伴う納税負担、インボイス発行事業者登録の要否に関しての検討方法
費 用 : 無料
利用方法 : まず、 電話相談窓口に連絡
相談内容話した後、「相談受付窓口HP」からの予約方法が案内される
相談内容によっては他の、窓口に案内されることもある。
< 電話相談窓口 >
0570-028-045(ナビダイヤル) 045-330-1365(一般電話)
(9:00~17:00 土日祝・年末年始を除く)
② 対面でじっくり
a.税務署の登録要否相談会
内 容 : 登録の考え方や事業の状況等に応じて必要な情報等を、個別にご案内
(原則、事前予約制)
費 用 : 無料
利用方法 : 1. 下記▢内の「www」をクリック
2. 下の方に表示される表の「開催局」欄にある お住まいの国税局をクリック
3.「登録要否相談会」と書いているところの、
お住まいの都道府県をクリック 。
開催日程と連絡先等の一覧が表示されるので、
参加したい登録会の連絡先に電話をして予約を取る。
★ 登録要否相談会以外でも、所轄の税務署において個別のご相談を承っているとのこと。
面接相談を希望される方は、あらかじめ所轄の税務署に電話(音声ガイダンスに沿って
「2」を選択)により日時等を予約して下さい。
b. 専門家派遣(中小企業119)
内 容 : 相談の内容に応じた専門家を、5回まで派遣してくれる。
費 用 : 1回目は無料。2回目以降は、一部、利用者の負担金が必要。
(2~3回目:8,800円 4~5回目:17,700円)
利用方法 : まず、近くの支援機関に相談。
支援機関で解決できない場合、専門家を派遣してくれる。
< 支援機関の探し方 >
右記URLをクリック。 https://chusho119.go.jp/index
居住地の場所を選び、「選択」をクリックすると支援機関が表示されます。
備 考: 「インボイス登録事業者」になると判断した後の、必要な申請・環境整備も
引き続き相談できます。
また、インボイス制度以外のことにも相談に乗ってもらえます。
●制度説明HP↓
2)会計・税務周りの処理についてトータルにお世話してほしい時
税理士さん・会計士さんの助けが必要だと思いますが、探し方については3でお伝えします。
3)事業全般について相談に乗ってほしい時
このお悩みには、中小企業整備機構が本部となる「よろず拠点」がいいと思います。
この制度、スゴイです。無料で何年にもわたってサポートしてもらえるんです。
事例集もUPされています。読むと参考になることも多いので、よかったら覗いてみて下さい。
内 容 : 経営上の悩みに親身に耳を傾け、
抱えている悩みの本質的な課題を明確化するとともに、適切な解決策をご提案。
さらに、解決策の提示にとどまらず成果が出るまで、寄り添いフォローアップ。
費 用 : 無料
利用方法 : まず、近くの支援拠点のコーディネーターに相談。
内容に応じて、コーディネーターが支援方法(専門家への依頼など)を策定。
支援拠点一覧→ https://yorozu.smrj.go.jp/base/
● 制度説明HP ↓(最後の方に事例集に飛ぶタブがあります)
4)記帳だけをなんとかしたい時
① インボイス制度を機に会計ソフトを導入したい方
そんな方にピッタリなのが、国税局の「パソコンによる記帳指導」
■ パソコンによる記帳指導 ■
< 流 れ >
・講習会場でソフトの使い方の指導を受ける(2回)
・自宅等に税理士さんを派遣(3回)
< 申込方法 >
・「記帳指導の受講希望アンケート(兼申込書)」に必要事項を記入のうえ、
税務署の個人課税部門に提出 又は 個人課税部門に連絡
< 費 用 >
・無料
制度詳細↓
https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/topics/shotokuzei/kicho.htm
ページ最終の4項目目が記帳指導についてです。
申込書もここの文面からクリックで入手できます。
★ パソコンを使わない場合の記帳指導も実施されています。
上記 制度詳細URA内に案内があります。
私の居住地管轄の税務署に問い合わせたところ、
白色申告・青色申告、開業年数も関係なく申し込めるとのことでした。
ただ、もう年内はいっぱいとのこと。
地域によるのか、どこもいっぱいなのか。年明けには受けられるのか…。
申込んでみないとわからないのですが、必要な方は早くに申込むに越したことはありません。
今年度中に受けられくても、来年度も実施されるはずです。
もし、今年、受講できなければ、今年は今までどうりの記帳をして来年からソフトを使用、
インボイス制度導入で10月以降の記帳に自信がなければ、
今年だけ税理士さんにお願いするなどの方法があるでしようか。
その場合、早い目にお願いする税理士さんを決めて、対応を相談しておいた方がいいです。
② インボイス制度導入による変更点・注意点だけ知りたい方
現在、税務署では説明会を実施しており、終了後は個別相談にも対応しているので、
その時に聞いて下さいとのことです。
説明会の実施日は、下記から確認できます。または、最寄りの税務署にお電話ででも。
予約制なのでご注意下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_setsumei.htm
上記は、①について問い合わせた時、税務署の署員さんが教えて下さいました。
税務署により独自の対応をしてくれるところもあるかもしれません。
まず、管轄の税務署(確定申告を出している税務署)に、電話で
「インボイス制度導入後の記帳に自信がないのですが、ご指導頂ける機会はないでしょうか?」
などと問い合わせてみるのも良いかもしれません。
なお、インボイス導入後の記帳変更点・注意点については、下記ブログでもまとめています。
よかったら、ご参考ください。↓
3. 税理士さんの探し方
探し方といっても、あくまで「私なら」というものです。
もし、よかったら、参考にして下さい。
1)手順
1.インターネットで、居住地または近辺の都市名を入れて「○○市 税理士」と検索をかける。
2.表示された税理士(会計士)事務所をクリック。ホームページを見る。
3.ホームページを読み、「良さそう」「自分と合いそう」と思った事務所をピックアップ
4.アポイントを取り面談してもらう
(アポイントは、電話またはホームページの“お問合せはこちら”から、
「顧問税理士さんを探しています。一度、お話をお伺いできないでしょうか…。」
というような感じで面談をお願いする。)
5.面談して頂いた事務所の中で「この先生 or この事務所」と思ったところにお願いする
2)探すポイント
税理士さんをお願いするにあたって、私なら、次の4つをポイントにして考えるでしょうか。
① 税理士さんが得意とされている分野
② 自分が何を求めるのか
③ 顧問料
④ 相性
税金と一口に言っても、幅広く、税理士さんによって得意とされている分野があります。
個人事業の会計・税務をみてもらいたいのに、相続に強い先生や大企業の顧問先が多い先生に
お願いした場合、お互い「なんだか…」となる恐れもありそうなので、
よほど相性が合う・人格的にこの先生に…と思われる以外は、
自分の業態・業種の顧問先がある税理士さんを探した方がいいと思います。
個人事業主の方なら、インターネットで検索する時に「○○市 税理士 個人事業」とか
「○○市 税理士 フリーランス」、またはご自分の業種などを入れると、
その方面に強い税理士さんが表示される可能性が高くなります。
また、自分が「税理士さんにどこまでみて頂きたいと思っているのか」をある程度、
明確にしておく必要があります。
記帳と申告だけをお願いできればいいのか、人を雇っていたら労務関係の相談、
事業全般(売上UPの方法など)についても相談に乗ってもらいたいのか…。
自分がみて頂きたいことを、やって下さる先生を探さなければばなりませんね。
あとは、料金。料金体系も事務所によっていろいろです。
訪問回数や年間売上金額、相談できる内容などで、違いをつけられている事務所が多いです。
そして、なんといっても相性です。
相性が良いかまた、自分にとってお話がわかりやすいかどうかは、
お会いしてみないとわかりません。
お会いするのも緊張しますし、面談して頂いてお願いしない場合は申し訳なく気が引けますが、
税理士さんの方でも「この先生にぜひ」と思ってお付き合いを始めて頂くことを
望まれていると思います。
ご自分が納得されるまで、いろいろお聞きになったり、
いろいろな先生にお会いになればいいと思います。
ホームページに「初回相談は無料」と書かれている事務所も多いので、
そのような事務所から探すと、少しは気が楽かもしれないですね。
あとは、税理士を紹介してくれるサイトがあります。
そこで質問に答えると、相応しいと思われる税理士さんを紹介してくれます。
イチからネットで検索して探す時間がなければ、そのようなサイトを利用されても
良いかもしれません。
●紹介サイトの比較↓
それでは、今日は、このあたりで。
ここでの情報が、皆様のお悩みの解決につながることを祈りつつ…。
最後までお読み下さり、誠に有難うございました。
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今回ご紹介した内容は、私がネット検索等により得た情報や、個人の経験による考えです。
また、機関の窓口により、対応が異なることも考えられます。
そのため、ご利用された時に、望まれる対応や解決を得られるお約束はできませんので、ご了承をお願いします。
また、「そもそも、インボイス制度のことがイマイチわからなくて...」という方は、
下記ブログを読んで頂くとご理解頂けると思いますので、よろしければ...。
あと、
・「お客様に消費者と事業者の両方がおられる場合」の免税事業者の方のインボイス制度に対する考え方
・ 免税事業者の方がインボイス発行事業者になったらどうなるか...
は、以下に、それぞれまとめています。こちらも、よろしければ...。