突然ですが、「リンゴの絵を書いて下さい」と言われたら、

あなたは、どんな絵を書きますか?

 

過去の体験や日常の中での気付き、また、TVや本で「へぇ~っ、そうなんだ!」って

知ったことをシェアさせて頂くシリーズ。

今日は、「新しいモノの作り方」というテーマです。

 

大学の時、ラジオドラマを創るサークルに入っていました。

今の時代なら、オーディオドラマっていうんでしょうか?

声のお芝居。声と効果音とBGM。音だけで表現するドラマです。

 

あ、リンゴの話は、後でつなぎます。ご安心ください ^-^

 

素人のお遊びで、聞き返せば、きっと、恥ずかしいはずですが、

脚本書いたり、声優さんみたいにセリフ言ったり、工夫して効果音作ったり、

今ほど簡単に設備が整えられない時代、

大きな機材を回しながら、8ミリのテープをハサミで切ってつないだり…。

狭いクラブBOXで、わちゃわちゃやってたのが 楽しかったなぁ。

 

すみません。思い出を語ってしまいました ^-^;

本題に入ります。

 

サークルでは、毎年、NHK京都放送局が主催するコンテストに出品していたのですが、

ある年の 審査員の方のお話が 印象的でした。

正確には、私が初めて脚本を書こうとした時に、

先輩が、そのお話を使いながらレクチャーして下さった内容です。

 

人は常に新しいものを求めている。

だから、ドラマも新しいものを提示した方が喜ばれる。

でも、そうそう簡単に、新しいものは作れない。

 

では、どうしたらいいのか?

 

ここで、リンゴに戻ります。

 

リンゴの絵、たぶん、この角度からみえるリンゴを書いた、書かなくても思い浮かべた人が

多いのではないでしょうか?

 

 

そうでなければ、木ごと書くとか...。

 

でも、もし、この角度から書いた人の絵を見せられたら?

 

上からみたリンゴ。

 

あるいは...

 

下からみたリンゴ。

 

ちょっと、衝撃ですよね?

で、「確かにリンゴだ…」と。

 

そういうことなんだそうです。

つまり、見方を変える。

 

新しいものは、そうそう簡単に作れない。

でも、視点を変えてみる。

そうすることで、

よく知っていると思っていたことの知らなかった面、

当たり前に思っていたことの当たり前でない面が見えてくる。

今までと違う切り口で見せることで、

新しい気付き や 感動を与えることができる。

 

これは、ドラマ制作の話ですが、

商品やサービスを作る時、

また提供の方法を考える時にも、

応用できるのではないでしょうか。

 

では、最後までお読み下さいまして有難うございます。

今日も良い一日をお過ごし下さい。

過去の体験や日常の中で、また、TVや本で「へぇ~っ、そうなんだ!」って

知ったことなどを書いていきます。

気分転換にでもお読み頂き、何かのきっかけになれば幸いです。

 

伊勢神宮大鳥居前

ゑびや大食堂さんの事例

 

2023.4.28放送の NHK「おはよう日本」の中で、

気象データを活用して売上を伸ばしている伊勢神宮大鳥居前の食堂が紹介されていました。

(後で調べたところ、DXで大躍進を遂げられている ゑびや大食堂さんでした)

 

このような食堂において、晴れの日 と 雨の日。

雨の日は、お客様が少ないので、売上も減少する と思いませんか?

ところが、気象データと売上を紐付けて分析した結果、雨の日の方が、

売上が多いということがわかりました。

 

「えっ! 実際は雨の日の方が来客数が多いの?」

いえ、少ないです。

「じゃ、どうして?」

客数が少ないのに売上が多い。

違いは、お客様 ひとりあたりが使われるお金…客単価でした。

 

以下は、4月のある 晴れの日 と 雨の日 のデータです。

 

 

 税別売上

 来客数

 客単価

 晴れの日

 385,390円

 153 人

 2,519円

 雨の日

 443,690円

 140 人

 3,169円

 

この日だけでなく、全般にわたってこのような傾向があるということです。

 

天気が悪いと、外を歩くのが億劫になり店での滞在時間が長くなったり、

「せっかく来たのに、天気悪いなんて。せめて美味しいものでも食べていこう」

と食べ物で満足感を味わおうと、高めのランクのものを注文する。

お店では、この現象を上記のような顧客心理によるものと考えました。

 

そして、店内に常時並べている メニューを紹介した大きな写真のパネルを、

天気の悪い日や、雨が降り出した時は、

高級食材を使った高価なものに差し替えることにしました。

お客様の心理に働きかけるためです。

このように、データに基づく事実に則って原因の検討を行い、行動したことで、

さらなる売上UPに繋げられたということです。

 

この事例のパターンは、観光地の食堂だから… かもしれません。

でも、思っていることと違ったり、一見、不利だと思っていたことがチャンス…

ということは、きっと、私達の周りでもあることでしょう。

一度、頭の中をリセットして自分の周りを見渡してみると、

業務の改善や売上UPにつながるヒントが見つかるかもしれない…と思いました。

 

では、最後までお読み下さいまして有難うございました。

今日も 良い一日をお過ごし下さい。

インボイス制度のポイント、やるべきことを実務の手順に沿ってお伝えしている12回シリーズ、

今回は、「専門家に相談したい時・税理士さんの探し方」です。

 

インボイス制度、顧問税理士さんがいらっしゃらない事業者さんにおいては、

ひとりで乗り切るの、ちょっと、辛いですよね…。

ただ、「専門家に相談したい」と思っても、

「誰に何を相談したらいいの?」「相談料はいくら?払える額?」「専門家って敷居が高い…」

などなど、ここでも様々なモヤモヤが発生してしまいます。

 

なので、まず整理して考えましょう。

その後、それぞれに対応してくれる機関等をご紹介しますね。

 

目次

 

 1.相談したいことを整理しよう

 

 2.対応してくれそうな機関・制度

   1)インボイス登録事業者になるかどうかの判断がしたい時

   2)会計・税務をトータルにお世話してほしい時

   3)事業全般について相談に乗ってほしい時

   4)記帳だけを何とかしたい時

 

 3.税理士さんの探し方

 

 

  1.相談したいことを整理しよう

 インボイス制度に関してのお悩みは、分類すると以下の4つではないかと思います。

 あなたのお悩みはどれでしょう?

 

 1)インボイス登録事業者になるかどうかの判断がしたい

   現在、免税事業者で影響が出そうな方は、

   免税事業者のままでいるべきか?インボイス登録事業者になった方がいいのか?

   が、大問題。まず、その判断を助けてもらいたいですよね。

 

 2)会計・税務をトータルにお世話してほしい

   「免税事業者」の方が、「インボイス登録事業者」になった方がよいと判断された場合。

   登録手続きから、請求書・記帳など、インボイス制度に合わせた環境整備、

   確定申告も見据えた日々の会計・税務処理を行っていかなければなりません。

   こうなると少なくとも来年3月までは、トータルにお世話して下さる方が必要です。

   ここは、やはり、税理士さん・会計士さんになるでしょうか。

 

 3)事業全般について相談に乗ってほしい

   インボイス制度導入による顧客の減少を補う販路開拓、売上UPのための方策、

   新規商品・事業の立ち上げ、納税のための資金繰の改善など、

   事業全般について考えたいという場合。

   一般的には、資金繰り以外は税理士さんの分野でなくなるので、他の専門家の助けが必要です。

 

 4)記帳だけをなんとかしたい

   この機会に会計ソフトを導入して自分で入力したいと思っている方。

   既に会計ソフトで記帳をしている または、

   今後も会計ソフトは使わずこれまでと同じ方法で記帳を続けるが、

   「インボイス制度で変わるところだけ教えてもらいたいんだけど…。」という方。

   そんな方もいらっしゃると思います。

 

 

  2.対応してくれそうな機関・制度

 

 整理したお悩みの解決に向けて対応してくれそうな制度を探してみました。

 順番にご紹介していきます。

 ただ、私が自分で利用したわけでなく、

 詳細を問い合わせても「実際に相談してもらわないとお答えできない」と言われることもあり、

 どれだけの対応をしてもらえるか未知なところがあります。

 「“空振り”だったら申し訳ありませんm(- -)m」なのですが、

 ただ悩んでいるより、動けば何かプラスが得られることが多いです。

 宜しければ、利用を検討してみてください。

 

 1)インボイス登録事業者になるかどうかの判断がしたい時

 

  ① オンラインで気軽に  中小企業・小規模事業者インボイス相談受付窓口

 

     内  容 : 税理士さんんへのオンラインでの相談

            インボイス対応に伴う納税負担、インボイス発行事業者登録の要否に関しての検討方法

     費  用 : 無料

     利用方法 : まず、 電話相談窓口に連絡

            相談内容話した後、「相談受付窓口HP」からの予約方法が案内される

            相談内容によっては他の、窓口に案内されることもある。

            < 電話相談窓口 > 

               0570-028-045(ナビダイヤル)   045-330-1365(一般電話)

                   (9:00~17:00 土日祝・年末年始を除く)

 

  ② 対面でじっくり 

 

   a.税務署の登録要否相談会

     内  容 : 登録の考え方や事業の状況等に応じて必要な情報等を、個別にご案内

          (原則、事前予約制)

     費  用 : 無料

     利用方法 : 1. 下記▢内の「www」をクリック

            2. 下の方に表示される表の「開催局」欄にある お住まいの国税局をクリック 

            3.「登録要否相談会」と書いているところの、

            お住まいの都道府県をクリック 。

                                    開催日程と連絡先等の一覧が表示されるので、

              参加したい登録会の連絡先に電話をして予約を取る。

 

 

    ★ 登録要否相談会以外でも、所轄の税務署において個別のご相談を承っているとのこと。

       面接相談を希望される方は、あらかじめ所轄の税務署に電話(音声ガイダンスに沿って

        「2」を選択)により日時等を予約して下さい。

 

   b. 専門家派遣(中小企業119)

     内  容 : 相談の内容に応じた専門家を、5回まで派遣してくれる。

     費  用 : 1回目は無料。2回目以降は、一部、利用者の負担金が必要。

              (2~3回目:8,800円 4~5回目:17,700円)

     利用方法 : まず、近くの支援機関に相談。

           支援機関で解決できない場合、専門家を派遣してくれる。

          < 支援機関の探し方 >

            右記URLをクリック。 https://chusho119.go.jp/index

               居住地の場所を選び、「選択」をクリックすると支援機関が表示されます。            

     備   考: 「インボイス登録事業者」になると判断した後の、必要な申請・環境整備も

           引き続き相談できます。

           また、インボイス制度以外のことにも相談に乗ってもらえます。

 

    ●制度説明HP↓

 

 

 2)会計・税務周りの処理についてトータルにお世話してほしい時

    税理士さん・会計士さんの助けが必要だと思いますが、探し方については3でお伝えします。

 

 3)事業全般について相談に乗ってほしい時

 

   このお悩みには、中小企業整備機構が本部となる「よろず拠点」がいいと思います。

   この制度、スゴイです。無料で何年にもわたってサポートしてもらえるんです。

   事例集もUPされています。読むと参考になることも多いので、よかったら覗いてみて下さい。

 

    内  容 : 経営上の悩みに親身に耳を傾け、

           抱えている悩みの本質的な課題を明確化するとともに、適切な解決策をご提案。

           さらに、解決策の提示にとどまらず成果が出るまで、寄り添いフォローアップ。

    費  用 : 無料

    利用方法 : まず、近くの支援拠点のコーディネーターに相談。

          内容に応じて、コーディネーターが支援方法(専門家への依頼など)を策定。

          支援拠点一覧→ https://yorozu.smrj.go.jp/base/

   

   ● 制度説明HP ↓(最後の方に事例集に飛ぶタブがあります)

 

 4)記帳だけをなんとかしたい時

 

  ① インボイス制度を機に会計ソフトを導入したい方

     そんな方にピッタリなのが、国税局の「パソコンによる記帳指導」

 

   ■ パソコンによる記帳指導 ■

     < 流  れ >

      ・講習会場でソフトの使い方の指導を受ける(2回)

      ・自宅等に税理士さんを派遣(3回)

     < 申込方法 >

      ・「記帳指導の受講希望アンケート(兼申込書)」に必要事項を記入のうえ、

        税務署の個人課税部門に提出  又は 個人課税部門に連絡

              < 費      用 >

                 ・無料

 

              制度詳細↓

                  https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/topics/shotokuzei/kicho.htm

       ページ最終の4項目目が記帳指導についてです。             

     申込書もここの文面からクリックで入手できます。

 

     ★ パソコンを使わない場合の記帳指導も実施されています。

      上記 制度詳細URA内に案内があります。

 

   私の居住地管轄の税務署に問い合わせたところ、

   白色申告・青色申告、開業年数も関係なく申し込めるとのことでした。

   ただ、もう年内はいっぱいとのこと。

   地域によるのか、どこもいっぱいなのか。年明けには受けられるのか…。

     申込んでみないとわからないのですが、必要な方は早くに申込むに越したことはありません。

   今年度中に受けられくても、来年度も実施されるはずです。

 

   もし、今年、受講できなければ、今年は今までどうりの記帳をして来年からソフトを使用、

   インボイス制度導入で10月以降の記帳に自信がなければ、

   今年だけ税理士さんにお願いするなどの方法があるでしようか。

   その場合、早い目にお願いする税理士さんを決めて、対応を相談しておいた方がいいです。

 

  ② インボイス制度導入による変更点・注意点だけ知りたい方

 

   現在、税務署では説明会を実施しており、終了後は個別相談にも対応しているので、

   その時に聞いて下さいとのことです。

 

   説明会の実施日は、下記から確認できます。または、最寄りの税務署にお電話ででも。

   予約制なのでご注意下さい。

     https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_setsumei.htm

 

   上記は、①について問い合わせた時、税務署の署員さんが教えて下さいました。

   税務署により独自の対応をしてくれるところもあるかもしれません。

   まず、管轄の税務署(確定申告を出している税務署)に、電話で

    「インボイス制度導入後の記帳に自信がないのですが、ご指導頂ける機会はないでしょうか?」

   などと問い合わせてみるのも良いかもしれません。

 

    なお、インボイス導入後の記帳変更点・注意点については、下記ブログでもまとめています。

   よかったら、ご参考ください。↓

 

 

  3. 税理士さんの探し方

 

 探し方といっても、あくまで「私なら」というものです。

 もし、よかったら、参考にして下さい。

 

 1)手順

 

   1.インターネットで、居住地または近辺の都市名を入れて「○○市 税理士」と検索をかける。

   2.表示された税理士(会計士)事務所をクリック。ホームページを見る。

   3.ホームページを読み、「良さそう」「自分と合いそう」と思った事務所をピックアップ

   4.アポイントを取り面談してもらう

     (アポイントは、電話またはホームページの“お問合せはこちら”から、

      「顧問税理士さんを探しています。一度、お話をお伺いできないでしょうか…。」

      というような感じで面談をお願いする。)

  5.面談して頂いた事務所の中で「この先生 or この事務所」と思ったところにお願いする

 

 2)探すポイント

 

   税理士さんをお願いするにあたって、私なら、次の4つをポイントにして考えるでしょうか。

    ① 税理士さんが得意とされている分野

    ② 自分が何を求めるのか

    ③ 顧問料

    ④ 相性

 

   税金と一口に言っても、幅広く、税理士さんによって得意とされている分野があります。

   個人事業の会計・税務をみてもらいたいのに、相続に強い先生や大企業の顧問先が多い先生に

   お願いした場合、お互い「なんだか…」となる恐れもありそうなので、

   よほど相性が合う・人格的にこの先生に…と思われる以外は、

   自分の業態・業種の顧問先がある税理士さんを探した方がいいと思います。

   個人事業主の方なら、インターネットで検索する時に「○○市 税理士 個人事業」とか

   「○○市 税理士 フリーランス」、またはご自分の業種などを入れると、

   その方面に強い税理士さんが表示される可能性が高くなります。

 

   また、自分が「税理士さんにどこまでみて頂きたいと思っているのか」をある程度、

   明確にしておく必要があります。

   記帳と申告だけをお願いできればいいのか、人を雇っていたら労務関係の相談、

   事業全般(売上UPの方法など)についても相談に乗ってもらいたいのか…。

   自分がみて頂きたいことを、やって下さる先生を探さなければばなりませんね。

 

   あとは、料金。料金体系も事務所によっていろいろです。

   訪問回数や年間売上金額、相談できる内容などで、違いをつけられている事務所が多いです。

 

   そして、なんといっても相性です。

   相性が良いかまた、自分にとってお話がわかりやすいかどうかは、

   お会いしてみないとわかりません。

   お会いするのも緊張しますし、面談して頂いてお願いしない場合は申し訳なく気が引けますが、

   税理士さんの方でも「この先生にぜひ」と思ってお付き合いを始めて頂くことを

   望まれていると思います。

   ご自分が納得されるまで、いろいろお聞きになったり、

   いろいろな先生にお会いになればいいと思います。

   ホームページに「初回相談は無料」と書かれている事務所も多いので、

   そのような事務所から探すと、少しは気が楽かもしれないですね。

 

   あとは、税理士を紹介してくれるサイトがあります。

   そこで質問に答えると、相応しいと思われる税理士さんを紹介してくれます。

   イチからネットで検索して探す時間がなければ、そのようなサイトを利用されても

   良いかもしれません。

 

  ●紹介サイトの比較↓

 

それでは、今日は、このあたりで。

ここでの情報が、皆様のお悩みの解決につながることを祈りつつ…。

最後までお読み下さり、誠に有難うございました。

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今回ご紹介した内容は、私がネット検索等により得た情報や、個人の経験による考えです。

また、機関の窓口により、対応が異なることも考えられます。

そのため、ご利用された時に、望まれる対応や解決を得られるお約束はできませんので、ご了承をお願いします。

 

また、「そもそも、インボイス制度のことがイマイチわからなくて...」という方は、

下記ブログを読んで頂くとご理解頂けると思いますので、よろしければ...。


あと、

・「お客様に消費者と事業者の両方がおられる場合」の免税事業者の方のインボイス制度に対する考え方

・ 免税事業者の方がインボイス発行事業者になったらどうなるか...

は、以下に、それぞれまとめています。こちらも、よろしければ...。

 

 

インボイス制度のポイントと対策を、実務の手順に沿って お伝えする12回シリーズ、

今回は、免税事業者の方を対象に「適格請求書(インボイス)発行事業者になったら...」というお話です。

「免税事業者」のままでいるより、

「適格請求書(インボイス)発行事業者」になった方が良いと判断された場合に、

「必要な作業」「納税額はいくらか」などについて、お伝えしていきます。

 

目次

 

1.必要な作業

 1)手続きすること

 2)整えること

 

2.  納税額はいくら? シュミレーションしてみよう

 1)原則課税の場合

 2)簡易課税の場合

 3)シュミレーションまとめ

 

3.支援策があります

 1) 2割特例 しばらくは納税額が少なくてすみます

 2) ソフトの購入に補助金あります

 

  1.必要な作業

 

 1)手続きすること

  「適格請求書(インボイス)発行尾事業者」は「課税事業者」のみがなれます。

   まず、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して「課税事業者」となります。

   その後「適格請求書発行事業者登録申請書」を提出します。(同時でも可)

 

   しかし2029年9月30日を含む課税期間中であれば、

  「適格請求書発行事業者登録申請書」の提出のみでOKです。

 

  「適格請求書発行事業者登録申請書」の提出方法については、こちらをお読み下さい。  

 

 

 2)整えること

 

  ① 請求書フォームの変更

    請求書を「適格請求書(インボイス)」のフォームに変更します。

      詳細は、こちらのブログをお読み下さい。

 

    ② 記帳

   記帳の仕方を整えます。

   詳細はこちらのブログをお読み下さい。

 

 

  2. 納税額はいくら? シュミレーションしてみよう

 

 「免税事業者」から「適格請求書(インボイス)発行事業者」になる時の一番の心配は、

 「納税額は、いくらになるのだろう...?」ではないでしょうか?

  あくまで、仮定をおいてですが、ちょっと、計算してみましょうか?

 

  個人事業主で、大手ハウスメーカーの協力業者として電気工事業を営んでいる

 Aさんを例に試算してみます。

 

  売上や経費を以下のように仮定します。

 

  売上  税抜700万円

  経費    税抜300万円

  経費のうち消費税がかかる支払を 税抜200万円

       ※消費税はすべて10%とする

 

  経費には消費税がかかるものとかからないものがあります。

  消費税がかからない主なものは、従業員に支払うお給料や社会保険料の事業主負担分、税金などです。

 

  消費税には「原則課税」と「簡易課税」という2種類の計算方法があります。

  それぞれの方法で計算してみましょう。

 

 1) 原則課税の場合

 

  「原則課税」は、本ブログ「② まずは、ざっくり。消費税の仕組」でご説明した計算方法です。

   売上にかかる消費税から、実際の支払いにかかる消費税を引いた差額が納付額です。

   (実際には細かい計算があります)

 

 Aさんの場合

  売上にかかる消費税は、700万円×10%=70万円

  経費にかかる消費税は、200万円×10%=20 万円

 

  消費税納付額   70万円  –  20万円  =  50万円 

 

 2) 簡易課税の場合

 

   「簡易課税」では、

   売上にかかる消費税から

   売上にかかる消費税に 事業ごとに定められた率 (みなし仕入率)をかけた額を差し引いた金額が、

   納税額となります。

 

  支払の消費税は関係ないので、記帳が楽です。

  経費が少ない場合、原則課税よりも簡易課税の方が、納税額が少なくなる場合が多いです。  

  ただし、逆に損をする場合があったり、適用には細かいルールがあります。

 

  事業ごとに定められた率は「みなし仕入率」といいます。

    事業は、6種類に分けられています。

 

  第1種 90% 卸売業

  第2種 80% 小売業

  第3種 70% 製造業、農林水産業、建設業、電気業、ガス業 等

  第4種 60% 第1種~3種、第5種、第6種の事業以外

  第5種 50% 運輸業、生活関連サービス業、専門・技術サービス業 等

  第6種 40% 不動産の管理・賃貸業

 

  簡易課税は、2期前の売上額が 5千万円以下の 事業者のみ採用できます。

  現在、免税事業者の方は2期前の売上額が1千万円以下なので、採用できますね。

 

さて、Aさんは電気工事業なので、第3種となり、みなし仕入率は70%です。

 

 Aさんの売上は、税抜700万円と仮定しましたので、

 簡易課税で計算した場合の消費税納付額は

    売上にかかる消費税    -   (売上にかかる消費税 × みなし仕入率)

   =(700万円 × 10%)  - (       700万円     ×    70%     )

   =        70万円     -       49万円

   =        21万円

 

 3) シュミレーションまとめ

 

電気工事業で、売上が税抜700万円・消費税のかかる経費が200万円と

仮定した場合の納税額は、

  一般課税では 50万円、簡易課税では21万円 となりました。

(実際には細かい計算があるので、あくまで概算と捉えて下さい)

  どうでしょう?思ったより多かったですか?少なかったですか?

  このケースでは、簡易課税を利用すると、納税額がかなり抑えられました。

  どちらがトクかは、売上と 消費税のかかる経費の金額、業種によって変わってきます。

  「適格請求書(インボイス)発行事業者」になる場合、どちらの計算方法を取るかの検討も必要ですね。

 

 

  3.支援策があります

 

 ここで、朗報です!

 「免税事業者」から「適格請求書発行事業者」になった場合、いきなりの負担増は厳しすぎると、

 負担緩和のための支援策があるんです。

 

 1) 支援策1 2割特例 しばらくは、税金が安くなります!

 

  納税額と事務作業の負担軽減のため、計算方法の特例です。

 

 『免税事業者から適格請求書発行事業者になった場合、

  令和5年10月1日から令和8年9月30日までの取引にかかる消費税の納付額は、

  売上にかかる消費税の2割でよい』

例えば、売上にかかる消費税が、先ほどのAさんと同様に70万円だった場合、

2割特例適用後の納税額は、

  70万円×20%=14万円となります。

 

先ほどシュミレーションしたAさん(売上:700万円、消費税のかかる経費:200万円)の

計算方法別の納税額は以下のようになります。

  ・原則課税の場合     50万円

  ・簡易課税の場合     21万円

  ・2割特例を利用した場合 14万円 

  特例を利用すると、かなり負担減になります!

  また、この特例は、売上にかかる消費税だけを把握すればよいので、記帳作業が楽になるうえ、

  事前の届も不要で、申告時に適用するかどうかの選択が可能なので、使い勝手も良いです。

 

 2) 支援策2 会計ソフト購入時に補助金があります! 

 

  「免税事業者」から「適格請求書(インボイス)発行事業者」になると、

  請求書発行や記帳・集計が複雑になります。

  エクセルや手書でされている場合、たいていはソフトを利用した方が効率が良くなるでしょう。

  「そうしたいけど、また、負担が…」

  そんなお悩みを軽くするため、新しくソフトを導入する場合、「IT導入補助金」があります

  会計・受発注・決済・のECの機能を有するソフトと、

  そのソフトと同時に購入する場合のパソコンにも補助がつきます。

  ただし、審査があります。

  審査がおりる前に購入しても、補助の対象となりません。フライングに ご注意下さい。

 

  制度の内容、利用方法については、後日、本ブログでもまとめてお伝えする予定ですが、

  とりあえず、事務局のURLを貼っておきます。

  正直、わかりづらいとは思うのですが、制度の概要・詳細などが書いています。

 

  また、コールセンターも開設されています。

  気になることがあれば、電話でさっさと聞いてしまうことも手かと思います。

   <  サービス等生産性向上IT導入支援事業 コールセンター >

     ・ナビダイヤル           0570-666-424 (通話料がかかります)

     ・IP電話等からの問い合わせ先  042-303-9749

               ( 受付時間 9:30〜17:30(土・日・祝日を除く))

 

以上で、インボイス制度導入における 免税事業者の方へのお話は終了です。

後日、補足的に「専門家に相談したい時・税理士さんの探し方」というブログを

UPする予定です。

もし宜しければ、こちらの方もご覧頂けたら...と思います。

それでは、長いシリーズを最後までお読み下さいまして、誠に有難うございました。

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本ブログはインボイス制度のポイントと取るべき対策を理解して頂くことを目的に作成しています。

そのため、敢えて細かいところは説明を省略している箇所もあります。

活用にあたっては、自己責任でお願いいたします。

最終的には、税務署や有資格者の方へのご相談をお勧めいたします。

インボイス制度について、実務の手順に沿って お伝えしている12回のシリーズ、

今回は、免税事業者でお客様に事業者がおられる方を対象に

「どのように考えていけばよいか」を お話します。

 

目次

 1.影響を受けるのか受けないかの見極め

 2.リクスと納税 どちらを選ぶ? 

 3.実は様子見もあり? 当分はそんなに心配しなくてもいいかも...

 4.専門家に相談するという選択肢

 

1.影響を受けるのか、受けないかの見極め

 

 お客様に、事業者…会社や個人事業主さんがおられる方。

 例えば、美容院でも一般消費者のお客様の他に、芸能ブロダクションなどと契約している場合、

 飲食店でも会社の接待で利用するお客様がおられる場合。

 また、大手メーカーの協力業者としてお仕事をされている工事関係の方。

 作家や写真家、音楽関係のお仕事…いわゆるフリーランスと呼ばれている方で、

 企業や個人事業主さんよりお仕事を請け負っておられる方。

 サラリーマンでも副業で、企業の請負でWebライターなどをやっておられる方。

 この方たちは、免税事業者のままであれば、

 お客様や仕事が減ったり、相手先の負担増になる消費税分の値下げを要求されるかもしれません。

 「免税事業者」と取引すると、「仕入税額控除」ができず、消費税の納税額が多くなるからでした。

 

 <補足>  発注側が「免税事業者」に対して、値引き要求や、取引の停止などを強引に行うことは、

      公正取引委員会が「優越的地位の濫用」にあたるとしています。

      万一、一方的に対応された場合は、公的機関に相談することができます。

      ただ、取引条件の交渉そのものは「当事者間の自主的な判断に委ねられる」とされています。  

 

      ● 公正取引委員会のインボイス関連コーナー↓(Q&A や 不当な対応をされた場合の相談窓口など)

 

 ■ お客様が事業者でも大丈夫な場合もある

 

 ただ、お客様が事業者であっても、「免税事業者」であれば、消費税の申告をしません。

 前回「どうするインボイス⑧」で ご説明した「お客様が一般の消費者」の場合と同じです。

 また、「課税事業者」でも「簡易課税」という計算方法を選択していれば

 「仕入税額控除」できるか否かは関係ないので、こちらが「免税事業者」のままでも問題ありません。

 そして、唯一無二のサービズを提供できるとか、人手不足な業界でしたら有利な立場ですから、

 「免税事業者」のままでも心配ないかもしれません。

 

 このように、お客様や事業を取り巻く状況により、判断は変わってきますので、

 免税事業者のままでいると、影響を受けるのか受けないのかを見極める必要があります。

 

 ここで、「影響を受けない」と判断できる方は、

 インボイス制度に関して何もしなくも大丈夫です。

 このブログもここで終わりにして頂いて、大丈夫です。

 ここまで読んで頂きまして、有難うございました。

 

 「影響がある」「判断できない」という方は、引き続き、お読み頂ければと思います。

 

 ★ここまでお読み頂き、「仕入税額控除」って何?という方、「インボイス制度自体がよくわからない」という方は、

  以下の2つのブログをお読み頂ければ、スッキリして頂けると思います。

 

 

 

 

2.リクスと納税 どちらを選ぶ?

 

 「免税事業者」のままだったら、将来的に、お客様が減ってしまうかもしれない…。

 困りました。でも、大丈夫。

 届を出せば、「適格請求書(インボイス)発行事業者」になって「適格請求書」を発行できます。

 よかった。これで、取引先を失ったり、値引きを要求されずにすみます。

 

 ところが、「適格請求書(インボイス)発行事業者」になるということは

 「課税事業者」になるということなので、消費税を納めなくてはなりません。

 

 ●「免税事業者」のままでいて、納税しなくていいけれど、

   取引先の喪失や、値下げを要求されるリスク。

 

 ●「適格請求書発行事業者=課税事業者」となり、

   取引先は失わず値下げの危機はないけれど、納税額が発生する状況。

 

 ご自分の事業にとって、どちらが良いか判断しなければなりません。

 

 

3.実は様子見もあり? 当分はそんなに心配しなくてもいいかも…

 

 「免税事業者」のままなら「お客様や仕事が減ったり、値下げを要求されるかも...」と

 不安になられるようなことを書いてきました。すみません。

 将来的には、確かにその恐れはあるはずです。

 ただ、もしかしたら、当分は、それほど心配しなくてもいいかもしれません。

   というのは、次のような経過措置があるのです。

 

 1)免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置

 

  インボイス制度導入により、免税事業者への支払は「仕入税額控除」が認められなくなりました。

  しかし、経過措置がついて、6年間は免税事業者からの仕入れにも、

  一定割合「仕入税額控除」が認められることになっています。

 

   < 経過措置の適用期間と仕入税額 >

 

    【 適用期間 】       【 仕入税額相当額 】

     R5.10.1 ~ R 8. 9.30   仕入税額相当額×80%

     R8.10.1 ~ R11.9.30   仕入税額相当額×50%

 

 2)経過措置のおかげで

 

  この経過措置が、どのように影響するのか? 具体的にみていきましょう。

 

  課税事業者 甲社に、免税事業者 乙さんが、

  年間 税抜100万円(消費税10%)の商品を、納入しているとします。

 

  乙さんからの仕入れにかかる消費税は、

  100万円×10%=10万円

 

  乙さんが「適格請求書(インボイス)発行事業者」になれば、

  甲社は、この10万円を、「仕入税額控除」できます。

 

  「免税事業者」のままであれば、「仕入税額控除」できないので、

  消費税の納付額が10万円多くなります。

  つまり、10万円は甲社が負担することになります。

 

  しかし、経過措置のおかげで、乙さんが「免税事業者」のままでも、

  R 8. 9.30までは、8万円(10万円×80%)

  R11.9.30までは、5万円(10万円×50%)

  の「仕入税額控除」が可能です。

 

  R8.9.30までなら、全額「仕入税額控除」できる場合との差額は2万円。

  甲社にとって我慢できる額かもしれません。

  ただ、甲社に負担をかけることには変わりませんので、

  日頃の関係や取引額にもよるでしょうか。

  また、乙さん側で、値引きで対応するとしても、

  これも取引額にもよりますが、経過措置の期間であれば対応しやすいかもしれませんね。

 

  このブログをお読み頂いて、

  「何もしてなかったけど、やっとインボイス制度の内容がわかりかけてきた!」

  という方は、制度開始の10月までに焦って何らかの手続きをしてしまうより、

  しばらく、様子を見ながら、対策を練られた方が良い方もいらっしゃるかもしれません。

 

  ただ、くれぐれも、「なんだ、まだ、大丈夫」と、気は抜かないで下さいね。

  経過措置には終わりがあります。

  これを機会に、制度を理解して、対策はしっかり、たてていきましょう。

 

 

3.専門家に相談するという選択肢

 

 さて、ここまでお読み頂いて、どうでしょう?

 「免税事業者」のままでいた方がいいのか、

 「適格請求書(インボイス)発行事業者」になった方がいいのかの判断。

 なった方がいいと判断した場合の手続き、

 「適格請求書(インボイス)発行事業者」になってからの記帳、申告作業。

 慣れていなければ、かなり、難しいのではないでしょうか…。

 私個人の意見としては、税理士さんに相談されることをお勧めします。

 

 「そんなことを言われても、どうやって税理士さんを探せばいいの?」

 「まず、免税事業者のままでいた方がいいのか?課税事業者になった方がいいのか?

 の判断だけやってもらいたいんだけど、そこだけやってくれる税理士さんっているの?」

 そんな方のために、「専門家に相談したい時・税理士さんの探し方」について、

 別途、まとめました。よかったら、こちらをお読み下さい。

 

 

 そして、専門家に相談すると決められた方は、このブログ、ここで終わりにして頂いて大丈夫です。

 次回は、現在免税事業者の方が「課税事業者」になることを選択された場合、

 「どんな作業があるか」「税金の納付額がどれくらいになるか」などについてお話しますが、

 税理士さんに相談されるなら、直接、税理士さんに聞いてもらえばいいと思います。

 私のブログを読む時間は他のことに有効に使って下さい。

 

 ただ税理士さんに相談するにしても、

 知識がある方が税理士さんのお話も理解しやすいし、質問もしやすくなるとは思います。

 時間に余裕のある方、興味のある方、税理士さんに相談するのを迷っておられる方は、

 次回もお読み頂ければと思います。

 では、ここまでお読み頂きまして、誠に有難うございました。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------本ブログは、インボイス制度のポイントと取るべき対策を理解して頂くことを目的に作成しています。

そのため、敢えて細かいところは説明を省略している箇所もあります。

活用にあたっては、自己責任でお願いいたします。

最終的には、税務署や有資格者の方へのご相談をお勧めいたします。

インボイス制度について、 実務の手順に沿って  やるべきことをお伝えしている12回のシリーズ、

今回は免税事業者の方を対象にお送りします。

 

目次

 

 1.免税事業者の方が第一にやるべきこと

 

 2.復習 インボイス制度導入でどうなりましたっけ?

   1)制度度導入で変わる大きな点

   2)消費税の計算方法

   3)制度導入後の「仕入税額控除」の額

   4)「仕入税額控除」の額が変わることの影響

 

 3.だからお客様が消費者なら影響ない

 

1.免税事業者の方が 第一にやるべきこと

 

 インボイス制度導入にあたり、現在、免税事業者の方がやるべきこと。

 それは、“身の振り方” を決める。

 『適格請求書発行事業者になるのか ならないのか』 を決めることです。

 「ならない」はイコール「免税事業者」のまま。

 「なる」はイコール「 課税事業者」になる。ということです。

 

 ここで「なる」を選択した場合、その後、税務署へ登録申請、請求書のフォームの変更、

 記帳または集計方法の変更、消費税の申告という作業が必要です。

 そして、申告するということはの納税もついてくるわけで…。

 (計算の結果、納税額が発生しない場合もあります)

 

 「何、それ。そんなん「ならない」一択に決まってるやん!」

 

 そうですよね。そうなりますよね。ただ、それが、そういうわけにもいかず… 。

 でも、お客様が一般の消費者(=事業をしていない人) のみの方は、「ならない」一択で大丈夫です。

 どーゆーこと?

 順番に説明していきますね。

 

 今回、最終的には「お客様が消費者のみの方は、インボイス制度は関係ない」という結論ですが、

 お客様が事業者のみ、消費者と事業者が混じっているという方も、

 対応を考えるために理解しておいて頂きたいところなので、

 引き続き お読み下さいますよう、お願いいたします。

 

 

2.復習 インボイス制度導入でどうなりましたっけ?

 

 1)インボス制度導入で変わる大きな点

 

   ●「仕入税額控除」が認められるのは「適格請求書 (インボイス)」による支払のみ

   ●「適格請求書」を発行できるのは、税務署に登録した「適格請求書発行事業者」のみ

   ●「適格請求書発行事業者」になれるのは「課税事業者」のみ

 

 2)消費税の計算方法

 

   課税事業者が納付する消費税の金額は、

      売上にかかるお客様から預かった消費税 - 事業のための支払にかかる消費税

   で計算されました(※)

   そして、預かった消費税から自分が支払った消費税を差し引くことを、

   「仕入税額控除」と呼びました。

 

    ※   計算方法はもうひとつあるのですが、

      ここでは、まず、インボイス制度の仕組みを理解して頂くために、こちらで説明しています。

 

 3)制度導入後の「仕入税額控除」の額

 

   インボイス制度導入前は、「仕入税額控除」は誰に対する支払いでもできました。

   しかし、インボイス制度導入後、「仕入税額控除」ができるのは、

   「適格請求書(インボイス)」による支払のみです。

   消費税を納める「課税事業者」は、

   「適格請求書(インボイス)」を発行できる「適格請求書発行事業者」と取引しないと、

   「仕税税額控除」の金額が少なりなり、消費税の納税額が多くなります。

   適格請求書発行事業者になれるのは、「課税事業者」のみ。

   「免税事業者」は適格請求書発行事業になれません。

 

   ここまで読んで、「仕入税額控除」「課税事業者」「免税事業者」「適格請求書」って

   「?」という方は、以下のブログをお読み下さい。ご理解して頂けると思います。

        

 

 

 4)「仕入税額控除」の額が変わることによる影響

   

   そのため、「課税事業者」は、

   取引先を「免税事業者」から「適格請求書発行事業者」に変えたり、

       「免税事業者」と取引したために増える消費税分の値引きを依頼の動きが出てくるのでは…

   と懸念されています。

   「免税事業者」にとっては、ゆゆしき事態です!

 

 

3.だからお客様が消費者のみなら影響ない

 

 ただ、「仕入税額控除」を気にしないといけないのは、

 消費税を課税する義務のある「課税事業者」。

 一般の消費者(事業をしていない人)は、消費税の納付義務はありませんから、

 モノを買うお店やサービスを受ける事業所が、「適格請求書(インボイス)発行事業」かどうかなんて、

 関係ありません。

 だから、お客様が一般の消費者のみの事業者… 例えば、町の美容院や、飲食店、塾などの場合は、

 「免税事業者」のままで、インボイス制度導入について何もしなくてもいいですし、

 今までどうりで影響もありません。

 

 一方、お客様に、事業者…会社や個人事業主として仕事をしている人…がおられる方は?

 例えば、美容院でも個人のお客様の他に、芸能プロダクションなどと契約している美容院、

 飲食店でも会社の接待で利用されるお客さんがおられて領収書の宛名が法人であるお店。

 また、大手メーカーの協力業者としてお仕事をされている工事関係の事業者さん。

 作家や写真家、音楽関係のお仕事…いわゆるフリーランスと呼ばれている方で、

 法人や個人事業者よりお仕事を請け負っておられる方など。

 サラリーマンの方が副業で、企業の請負でWebライターをされている場合もそうです。

 実は、この層の方たちが、最も深くインボイス制度と向き合わなければならない方たち

 なのではないかと思います。

 では、次回以降、この層の方がやるべきことをお話していきますね。

 

 あ、お客様が一般の消費者のみの方は、このブログ、ここでおしまいです。

 ここまでお読み下さいまして、有難うございました。

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本ブログは、インボイス制度のポイントと取るべき対策を理解して頂くことを目的に作成しています。

そのため、敢えて細かいところは説明を省略している箇所もあります。

活用にあたっては、自己責任でお願いいたします。

最終的には、税務署や有資格者の方へのご相談をお勧めいたします。

インボイス制度のポイントと対策を、実務の手順に沿ってお伝えする12回シリーズ、

今回は、課税事業者(原則課税)の方を対象に

「 課税事業者の方がすべきこと その3(記帳)」 をお話します。

 

普段、記帳をされている方は、気付いておられると思いますが、

インボイス制度導入で記帳作業が、今までより面倒になります(泣)

法に定める帳簿への記載事項自体は、以前と変わりません。

参考までに、法で定められている「帳簿の記載事項」は以下のとおりです。

 

帳簿記載事項

  課税仕入を行った ①相手先  ②年月日  ③内容(軽減税率の場合はその旨)  ④対価の額

 

今後は、「適格請求書(インボイス)」か否か、特例に合わせた対応など、記帳までの 作業が大変になる

といったところでしょうか。想像するのもイヤなんですが..。

まぁ、あれこれ言っていても仕方ない。今回は、以下の順番で、ご説明していきます。

目  次

 

  1.請求書を受け取った時

   1)確認すること

   2)登録の確認ができます

 

  2.記帳 にあたって 

   1)まずは大枠

   2)「適格請求書(インボイス)」でなくても「仕入税額控除」できる取引

   3)経過措置によってカオス到来

   4)表にまとめてみました

   5)その他の注意点

 

  3.ソフト購入の補助金

なお、消費税の計算方法には、原則課税 と 簡易課税の2種類があります。

簡易課税を選択されている方は、「仕入税額控除」の金額は売上にかかる消費税のみで計算します。

そのため、支払が「適格請求書(インボイス)」によるものかなどは関係なく、

記帳作業について、制度導入前と変わることはありません。

ですので、この回をお読み頂かなくても大丈夫です。

★ ご自分が、どちらの計算方法で申告しているかわからない方は、過去の申告書控えを御覧下さい。

  右上に、原則課税なら「一般」、簡易課税なら「簡易」と縦に印字されています。

 

1.請求書を受け取った時

 

 1)確認すること

 

   請求書を受け取った際には、以下の確認が必要です。

   ① 「適格請求書(インボイス)」であるかどうかの確認

     ・基本的には、Tで始まる13桁の番号があれば「適格請求書(インボイス)」です。

     ・“請求書”という名称でなくても、記載事項を満たしていれば

      「適格請求書(インボイス)」です。(レシート、領収書等)

     ・複数の書類(納品書+請求書、契約書+BK振込票(家賃など))で

      「適格請求書(インボイス)」となるものもあるので注意して下さい。

   ② 適格請求書であれば、記載事項を満たしているかの確認

   ③ 適格請求書に誤りがあった場合、発行事業者へ修正・再発行の依頼が必要

     これまでは、受け取った側での加筆・修正が認められていたが、

     「適格請求書(インボイス)」では、発行者が訂正後に再発行するか、

     訂正のわかる書類を発行しなければならなりました。

 

 2)登録の確認ができます

 

   請求書発行者が、「適格請求書発行事業者」として税務署に登録しているかどうか、

   国税庁のサイトよりデータをダウンロードして確認することができます。

   (登録番号から検索をかけられる)

 

   ・ダウンロード画面↓

   https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/download/index.html

   ・利用方法の説明↓

 

2.記帳にあたって

  

 1)まずは、大枠

 

   これまでは、支払時の記帳の際、消費税は、以下の4種類だけを気にすればよかったです。

     a. 10% b. 軽減税率(8%) c. 経過措置旧税率 d. 不課税または非課税

   制度導入後は、「適格請求書 (インボイス)」によるものか否かを判断しなければなりません。

   しかし、判断した後は、「適格請求書(インボイス)」による支払いでないものを、

   dのグループに入れれば良いというだけで、後はこれまでどうりです。

   これくらいなら、対応していけそうです。

 

 2)適格請求書がなくても「税額控除」できる取引がある

 

   ただ、法律で「適格請求書」の発行が免除されている取引が9つ定められています。

   一般的に使われそうな取引は以下の3つかと思います。

    ・公共交通機関による運送費(税込3万円以内)

    ・自販機での販売(税込3万円以内)

    ・従業員の通勤交通費・出張費

 

   これらは、「適格請求書(インボイス)」がなくても、

   帳簿の保存だけで「税額控除」が認められます。

 

   ただし、帳簿には、通常の記載事項に加えて、

   免除されているどの取引にあたるかを記載しなければなりません

   例えば、「3万円未満鉄道交通費」など。

 

   ちょっと、ややこしくなってきました。

   でも、これらは、「いちいち「適格請求書」を発行してられない取引だよね~」

   と理解もできるし、種類も少ないので、なんとかできそうです。

 

 3) 経過措置によって、カオス到来

 

   問題は、負担軽減のために取られた経過措置。

   これによって、一気にややこしくなります。

   『1万円以下なら「適格請求書(インボイス)」がなくても「仕入税額控除」していい』

   でも、中小企業者だけね~。中小企業者っていうのはぁ... とか、

   『「適格請求書(インボイス)」以外の取引での「仕入税額控除」も80%認める』

   こっちは、誰でもOKだよ! でも、請求書はちゃんと残しといてね。とか。

   「適格請求書(インボイス)じゃなかったら、消費税付かないグループね~」と、

   気軽に処理できなくなったのです。

 

   は?「適格請求書(インボイス)」以外の支払は「仕入税額控除」できない。

   ってハナシでしたよね?ね?ねっ!

 

   記帳する立場からすると、

   「お気遣いなく。『適格請求書による取引以外は、消費税つけられない』

   それでいいじゃないですか。

   何事もシンプルに。シンプルこそ、ミス撲滅の最短距離!余計なことしないでぇーっ!!!」

   と叫びたいところですが、仕方ありません。

 

   順番にみていきましょう。経過措置は2つ。

   2つとも、対象期間はR5.10.1~R11.9.30です。

 

① 経過措置1 少額特例(中小企業者向)

 

 < 対象事業者 >

  ・2年前(基準期間)の課税売上が1億円以下

     又は

  ・1年前の上半期の課税売上が5千円以下の方

 

 < 内  容 >

  ・ 税込1万円未満の支払は、

    適格請求書 (インボイス)」がなくても「仕入税額控除」が可能

  ・ 取引先が「免税事業者」でも適用

 

 < 摘 要 条 件 >

  ・なし

 

② 経過措置2  免税事業者からの仕入れに係る経過措措置

 

 < 対象事業者 >

  ・全事業者

     

 < 内  容 >

  ・「適格請求書(インボイス)発行事業者」以外への 支払についても、

    一定期間、「仕入税額控除」を認める

  

     適用期間       認められる仕入税額  

     R5.10.1 ~ R8.9.30  仕入税額相当額×80%

     R9.10.1~R11.9.30  仕入税額相当額×50%

 

 < 摘 要 条 件 >

  ・帳簿に通常の記載事項に加え、  この適用を受ける課税仕入である旨を記載する

    例)「80%控除対象」

  ・請求書には「区分記載請求書(※)」等の記載事項と同様の記載事項が必要              

    ※    区分記載請求書の記載事項 

        ① 請求書発行者の氏名又は名称 ② 取引年月日 ③ 取引内容(軽減税率である旨)

        ④ 税率ごとに区分して合計した税込対価の額 ⑤ 請求書受領者の氏名又は名称

       (区分記載請求書は、現在(インボイス制度導入前)に一般的に使用されている請求書です)

    どうでしょう?「なにがなんだか...」ですよね。

   「ゴメン。10/1以降、仕訳すんのムリ。」って挫けそうです。でも、やらねば…。

    そこで、表にまとめてみました。

 

 

   4)表にまとめてみました

 

 

 拠

請求書

取引内容

通常に加えて

必要な

帳簿記載事項

(例)

備考

 本

 則

×

 

 

 ① 税込3万円未満の

   公共交通料金

 税込3万円未満の

 鉄道料金

・対象は、船舶、バス、

 鉄道。飛行機は対象外。

・往復や複数人数分の購入

 で3万円以上は対象外

 

 ② 適格簡易請求書の

   記載事項が記載

  されている

  入場券が使用の際に

  回収される場合

 

 

 入場券

 

 

 ③ 税込3万円未満の

   自販機での購入

 

 税込3万円未満の

 自販機

・対象は、支払とサービス

 提供が機械で行われる

 もの

 自販機、コインロッカー、

 ATM手数料等

・コインパーキング、セルフレジ

 での支払は対象外

 ④ 切手代

 切手代

・対象はポスト差出分

・窓口での支払は対象外

 ⑤ 出張旅費・宿泊費

   通勤手当

 出張旅費

 

 ⑥ ①~⑤以外の

  の支払

  ★ 中小事業者は、

     ①~⑤以外の支払で

     1万円以上の支払

 

 

 中小事業者の定義は下段参照

 特

 例

×

 

 ⑦ ①~⑤以外の

  税込1万円未満の支払

  (★対象は中小事業者)

 

対象となる中小事業者とは 

2期前の課税売上が

 ・1億円以下

   又は

 ・1年前の上半期の課税売上

 が5千円以下

 の事業者

 特

 例

 

   以

 ⑧ ①~⑤以外の

  税込1万円以上の支払

 

 

 

 

  80%控除対象

 

 

  50%控除対象

 

 

・適用期間と控除割合

 

 R5.10.1~R8.9.30

 控除相当額×80%

 

 R8.10.1~R11.9.30

 控除相当額×50%

 

 

・適用は「区分請求書」等

 と同様の記載事項のある

 書類がある場合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   表に整理してみると、少しはモヤモヤが取れたでしょうか...。

 

 5)その他の注意点

 

  ① クレジットカードの利用明細

    カード払の経費を記帳する際に、月1回、クレジットカード会社から発行される

    利用明細書を確証とされている方もいらっしゃると思います。

    でも、この明細書は、カード会社が発行したもので、

    販売者やサービス提供者が発行したものでないので、「仕入税額控除」は認められません。

    カード利用時に渡される「お客様控」に、

   「適格請求書」を満たす内容が記載されていれば「仕入税額控除」が可能です。

    今後は、「お客様控」もしっかり保存しましょう。

 

  ② 口座振替(家賃)など、都度、請求書や領収書をもらわない取引

    毎回、請求書や領収書がなくても、「適格請求書」の内容が記載している契約書と

    支払の証拠(通帳や、銀行の振込金受取書)で仕入税額控除が可能です。

    現在、継続中の物件で、契約書に必要な事項が記載されていない場合は、

    契約書を結び直さなくても、

    貸主より不足事項を記載した書面を発行してもらうのでも構いません。

 

  ③ 返品・奨励金

    返品や値引き、販売奨励金などの売上に係る対価の返還を受ける時には、

    「適格返還請求書」が必要です。

    ただし、税込1万円以下の返品や値引きは、発行義務がありません。

    < 売掛金振込  振込手数料を差し引いた場合>

    注意すべきは、売掛金を振込で支払い、振込手数料を差し引いている場合です。

    この振込手数料は、インボイス制度導入後は、値引きとみなされます。

    勘定科目は「支払手数料」でも認められていますが、

    軽減税率にあたる商品の支払時の振込手数料の場合、消費税も8%となります。

    また、“値引”にあたる旨を帳簿に記載しておくことが必要です。

 

  ④ 3万円未満でも「適格請求書」が必要

    インボイス制度導入前は、やむを得ない事情がある場合、税込3万円未満の場合には、

    請求書がなくても「仕入税額控除」が認められていましたが、

    導入後、この規定は廃止されます。

    少額特例を受けられる場合以外は、100円のボールペンであっても、

   「適格請求書」がなければ、「仕入税額控除」が認められませんので、注意しましょう。

 

 

3.ソフト導入の補助金

 

  現在、会計ソフトを利用せずに記帳をされている方で、

  この機に会計ソフトの購入を考えておられる方、朗報です。

  経済産業省が管轄の「IT導入補助金」というのがあり、

  会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの購入について、

  3/4程度の補助金がつきます。

  ソフトと同時に購入するパソコン、クラウドの利用料(最大2年分)も対象です。

  制度の内容、利用方法については、後日、本ブログでもまとめてお伝えする予定ですが、

  とりあえず、事務局のURAを貼っておきます。

  正直、わかりづらいとは思うのですが、制度の概要・詳細などが書いています。

 

 

  また、コールセンターも開設されています。

  気になることがあれば、電話でさっさと聞いてしまうことも手かと思います。

 

  <  サービス等生産性向上IT導入支援事業 コールセンター >

    ナビダイヤル        0570-666-424 (通話料がかかります)

    IP電話等からの問い合わせ先  042-303-9749

           ( 受付時間 9:30〜17:30(土・日・祝日を除く))

 

 

 

以上、記帳時に一般的に必要であろう内容について、ご紹介させて頂きました。

また、今回で課税事業者の方に対する、インボイス制度の説明はおしまいです。

このブログで、インボイスに対するモヤモヤが減少したり、準備に向けて手がかりを掴んで頂けたなら、嬉しく思います。

長いシリーズを最後までお読み下さいまして、誠に有難うございました。

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本ブログは、インボイス制度のポイントと取るべき対策を理解して頂くことを目的に作成しています。

そのため、敢えて細かいところは説明を省略している箇所もあります。

活用にあたっては、自己責任でお願いいたします。

最終的には、税務署や有資格者の方へのご相談をお勧めいたします。

インボイス制度のポイントと対策を、実務の手順に沿ってお伝えする12回シリーズ、

今回は、課税事業者の方を対象に

「課税事業者の方がすべきこと その2 (適格請求書)」 をお届けします。

以下の順番で説明していきます。

 

目次

 

 1.準備すべきこと

 

 2.「適格請求書(インボイス)」とは

       1) 記載すべき事項

       2) 1枚じゃなくても、“請求書”っていう名称でなくてもいい

 

 3.注意すべきこと・これまでと異なる点

  1) 端数処理

  2)「適格返還請求書」の発行

  3) ミスを修正できるのは、発行した事業者のみ

 

 4.簡易インボイス

 

 5.インボイスの発行が免除される取引

 

 6.交付した「適格請求書(インボイス)」の写し等の保存が必要

 

 7.国税庁 制度の詳細用パンフレット

 

1. 準備すべきこと

 

 インボイス制度の導入により、「仕入税額控除」が認められるのは

 「適格請求書 (インボイス)」による支払いのみ (一部例外あり(後で説明します)) となりました。

 「適格請求書(インボイス)」は、記載事項が法律で定められています。

 そのため、発行する請求書に、法律で定める内容が正しく表示されるよう、準備が必要です。

 

 ■ 請求書作成ソフトを利用されている方

   →  自動で更新されるのか、自分で何らかの更新作業(ソフトの買換え や 

      バージョンアップの操作)をしなければならないのかの確認。

   →  更新後、入力の仕方に変更はないかの確認。

     入力方法に変更がある場合は、作業手順や集計方法の見直し。

     スムーズな入力のために、問題がなければ現行のままでよいですが、

     不都合が想定されるなら、対応策を立てておく必要があります。

 

 ■ 請求書ソフトを利用されていない方(手書やエクセル等で作成)

   → フォームの変更

 

 

2.「適格請求書(インボイス)」とは

 

 1)記載すべき事項

 

  「適格請求書(インボイス)」に、法にて定められている記載事項は以下のとおりです。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ① 適格請求書発行事業者の氏名または名称、及び登録番号

   ② 取引年月日

   ③ 取引内容(軽減税率対象品目である旨)

   ④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込) 及び 適用税率

   ⑤ 税率毎に区分した消費税額等

   ⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 

   ※    下線部は、現行の請求書(区分記載請求書といいます)の記載事項に追加される事項です。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  実際はこんな感じです。

                 【 適格請求書(インボイス) 例 】

  

 

  2)1種類でなくても、“請求書”っていう名称でなくてもいい

 

   「適格請求書(インボイス)」とは、一定の事項が記載された請求書、納品書等

   これらに類するものです。

   書類の名称に “請求書”という言葉が入っていなくても、

    「適格請求書(インボイス)」になり得ます。

   そして、

   ひとつの書類のみで、すべての記載事項を満たす必要はない

   とされています。

 

   例えば、請求書と納品書など、

   相互の関連が明確な複数の書類全体で記載事項を満たしていればOKです。

    ★ 表示例が国税庁のパンフレットに記載されています(8頁)

      必要な方は、こちらをご覧下さい。

     ( パンフレットに飛ぶURAは、今回のブログの最後に記載しています)

 

   他に、家賃のように、通常、契約書に基づき代金決済が行われ、

   都度、請求書や領収書の交付がされない取引の場合は、

   「②取引年月日」以外を記載した契約書 と 通帳又は銀行の振込金受取書 を合わせて

   「適格請求書(インボイス)」とできます。

 

 

3.注意すべきこと これまでと異なる点

 

 1)端数処理

 

  端数処理は「適格請求書(インボイス)」の税率毎に1回。

  つまり、

  消費税は、「適格請求書(インボイス)」の税抜合計額に 税率をかけて 算出する。

    というように定められました。

  ひとつの取引毎に算出するのではなく、合計額でというところがポイントです。

    なお、1円未満の端数の「切捨て」「切上げ」「四捨五入」については、

  これまでどうり、どの方法でも構いません。

 

  具体的な例で説明します。

 

 11月分の「適格請求書(イインボイス)」において、

 8%分の取引が、以下の場合

 

 〇 正しい計算方法 

  ・11/2 トマト   13,861 円

  ・11/2  ピーマン 13,199 円

    税抜合計     27,060 円

    消費税      2,164 円 ← 税抜合計27,060円 × 8%

 

 × 誤った計算方法

  ・11/2 トマト   13,861 円 × 8% = 1,108円

  ・11/2  ピーマン 13,199 円 × 8% = 1,055円

    税抜合計     27,060 円

    消費税                 2,163 円 ← 1,108円 + 1,055円

 

  これを実際の請求書でみると、以下のようになります。

 

         【 〇 正しい計算方法の適格請求書(例)】

 

 

                      【 ×誤った計算方法の適格請求書(例 】

     

 2)「適格返還請求書」の発行

 

  「適格請求書(インボイス)発行事業者」は、売上に係る対価の返還(返品・値引き・割戻し・

   売上割引・販売奨励金)があった場合、適格返還請求書」を発行しなければなりません。

   ただし、1万円未満の場合は発行不要です。

 

   ★ 記載事項およびフォームの事例が国税庁のパンフレットに記載されています。(11頁)

     必要な方は、こちらをご覧下さい。

    ( パンフレットに飛ぶURAは、今回のブログの最後に記載しています)

 

 3)ミスを修正できるのは、発行した事業者のみ

 

  「適格請求書(インボイス)発行事業者」には、交付した「適格請求」や「適格返還請求書」に

  誤りがあった場合は、修正した「適格請求書」を交付する義務があります。

  これまでのように、受け取る側の修正や追記は認められなくなりました。

 

   ★ 修正方法および修正例は、国税庁のパンフレットに記載されています。(12頁)

     必要な方は、こちらをご覧下さい。

    ( パンフレットに飛ぶURAは、今回のブログの最後に記載しています)

 

 

4.適格簡易請求書(簡易インボイス) 

 

  不特定多数のお客さまを相手に商売を営む業種(タクシーやスーパーなど)は、

  記載すべき事項が少ない「適格簡易請求書(簡易インボイス)」が認められています。

 

  「適格簡易請求書(簡易インボイス)」に、法にて定められている記載事項は以下のとおりです。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ① 適格請求書発行事業者の氏名または名称、及び登録番号

   ② 取引年月日

   ③ 取引内容(軽減税率対象品目である旨)

   ④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)

   ⑤ 税率毎に区分した消費税額等 又は適用税率 (両方でも可)

 

   ※    下線部は、現行の請求書(区分記載請求書といいます)の記載事項に追加される事項です。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  「適格請求書(インボイス)」と比較して、以下の3点が異なります。

   ・「⑥ 交付を受ける事業者の氏名または名称」が不要

   ・「④ 税率ごとに区分して合計した対価の額」に適用税率を記載しなくてもよい

   ・「適格請求書(インボイス)」では

    「⑤ 税率ごとに区分した消費税額等」であったのが、

    「⑤ 税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」となります

 

   実際は、こんな感じになります。

                   【 適格簡易請求書(簡易インボイス) 例】

   

 

5.インボイスの発行義務が免除される取引

 

 以下の取引については、インボイスの交付が免除されます。

  ・3万円未満(税込)の公共交通料金

  ・自動販売機や無人販売機による3万円未満(税込)の販売

   ジュースやお菓子の自販機、コインランドリー、自動写真撮影機など

   飲食店の食券、コンビニなどのセルフレジは対象外

   (お金の支払いは自動券売機だが、商品の提供が別途行われるものは対象外)

 ・出荷者等が卸売市場で生鮮食品などを売る時

 ・農協、漁協、森林組合委託して売るとき

  など

 

6.交付した「適格請求書(インボイス)」の写し等の保存

 

 交付した請求書等の写しについては、以下の期間保存する必要があります。

  ・交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間

 個人事業主さんの場合、発行した年の次の年から7年間ということです。

 例えば、個人事業主の方が、令和5年に発行した「適格請求書(インボイス)」は、

 令和12年末日まで保存の必要があります。

 

 

6.国税庁 制度の詳細用パンフレット

 

 以下URAをクリックして頂くと、

 国税庁発行の「適格請求書等保存方式の概要~インボイス制度の理解のために~」

 のパンフレットに飛びます。

  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf

 

 今回のブログで掲載した 実際の「適格請求書(インボイス)」等の事例4点も、このパンフレットより

 引用しています。

 掲載できなかった事例等が掲載されているページは以下のとおりです。

 必要な方は御覧下さい。

 ・複数の書類による対応(請求書と納品書で「適格請求書(インボイス)」とする場合)・・・8ページ

 ・適格返還請求書の記載事項等・・・11ページ

   ・記載事項

   ・販売奨励金支払明細書の記載例

   ・前月の売上値引を差し引いて請求する場合の記載事例

 ・修正した適格請求書の記載例・・・12ページ

 

 

以上、今回は「適格請求書(インボイス)」を発行する場合について、お話しました。

次回は、「記帳=受け取った時の処理方法」です。

最後までお読みくださいまして、有難うございました。

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本ブログは、インボイス制度のポイントと取るべき対策を理解して頂くことを目的に作成しています。

そのため、敢えて細かいところは説明を省略している箇所もあります。

活用にあたっては、自己責任でお願いいたします。

最終的には、税務署や有資格者の方へのご相談をお勧めいたします。

インボイス制度のポイントと対策を、実務の手順に沿ってお伝えする12回シリーズ、

今回は、課税事業者の方を対象に、

「課税事業者のすべきこと その1 (登録申請)」について、お伝えします。

 

目次

 1.概要

 2.書面申請 の方法

 3.E-tax申請 の方法

 

1.概要

 

 「適格請求書(インボイス)発行事業者」となるには、税務署への登録申請が必要です。

 登録申請後、税務署に登録されると「登録通知書(登録番号、登録年月日などが記載)」が

 文書または電子データで届きます。

 また、登録されると「適格請求書発行事業者公表サイト」に掲載されます。(誰でも閲覧可能)

 

 ・登録方法

   登録方法は、2つ。書面での提出と E-taxで電子申告する方法です。

   E-taxの方が、書面と比較して

    ・申請が簡単(画面の質問に沿い入力すれば申請が完成)

    ・登録から通知までがスピーディー(書面では1ケ月、E-taxなら2週間程度)

    ・通知がデータで来るので紛失の心配がない

   などのメリットがあります。

   しかし、マイナンバーカードが必要で、初めてE-taxを利用する方は登録が必要です。

 

 ・注意すべきこと

   インボイス制度導入前は、課税売上(税抜)が1,000万円以下となると「免税事業者」となり

   1,000万円以下となった2期後の 納付義務がなくなりましたが、

   制度導入後(2023.10.1以降)は、「適格請求書(インボイス)発行事業者」として登録している間は、

   課税売上(税抜) 1,000万円以下となっても「免税事業者」になりません。

 

 ・登録の取り消し

   登録は取り消すことができます。

   「適格請求書(インボイス)発行事業者」を辞めて「免税事業者」に戻りたい時は、

    取り消しの申請を行います。

 

   以下、申請に進んで頂きやすいよう、

 国税庁の申請用紙をダウンロードできるURA、E-tax申請画面のURAを掲載しておきます。

 どうぞ、ご利用下さい。

 

 10/1より制度開始です。

   登録しておかないと、お客様にご迷惑をおかけする場合があります。

 まだ申請していない方は、急ぎましょう!

 

2.書面申請

 

 ・提出先   所轄税務署(=確定申告を提出している税務署)へ

 ・提出方法  郵送または持参にて

        ※    提出用と手元に残す控(提出用をコピーで可)の2枚を用意。

           控は、受付時に受付印を押印して返却されます。

                     申請の証拠として、保管しておいて下さい。

        ※    郵送の場合は、コピー(控)と切手を貼った返信用封筒を同封して送付。

 

 ・申請用紙  ↓こちらからプリントアウトして お使い下さい。(国税庁HP)           

        https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/0022003-083.pdf   

          ↓記載方法(個人事業者用) の説明(国税庁HP)

        https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/0021009-084_01.pdf

 

 

3.E-tax申請

 

 ▢ の中の、英語の部分をクリックして下さい。申請画面または動画に飛びます。


 <スマホ用>

 

  ● E-tax 申請画面(スマホ用)※個人事業者の方のみ、スマホからの申請が可能です。

 


  ○ スマホでの申請方法 説明動画

 

 <パソコン用>

 

 ● E-tax 申請画面(パソコン用) 

 

 

 ○ パソコンでの申請方法 説明動画 (事前準備編)↓

 

 ○ パソコンでの申請方法 説明動画 (登録申請手続編)↓

 

 ○ パソコンでの申請方法 説明動画 (登録通知確認編)↓

 

今回は以上です。次回は「 課税事業者がすべきこと その2 (適格請求書)」です。

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本ブログは、インボイス制度のポイントと取るべき対策を理解して頂くことを目的に作成しています。

そのため、敢えて細かいところは説明を省略している箇所もあります。

活用にあたっては、自己責任でお願いいたします。

最終的には、税務署や有資格者の方へのご相談をお勧めいたします。

インボイス制度のポイントと対策を、実務の手順に沿ってお伝えする12回シリーズ、

今回は課税事業者の方を対象に「課税事業者の方のすべきこと(概要)」 を、お届けします。

 

 

1.復習  インボイス制度導入で変わること

 

 インボイス制度導入で変わることを簡単にまとめると、以下の3点でした。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 A .仕入税額控除が認められるのは、「適格請求書(インボイス)」による支払いのみとなった

 ↓

 B.「適格請求書(インボイス)」とは、インボイス制度導入に伴い 定められた書類の名称。

    「適格請求書(インボイス)発行事業者」が発行  かつ  法律で定められた事項を記載   

 ↓

 C.「適格請求書(インボイス)」発行事業者」となるには、税務署に登録申請する。

    登録されると、Tで始まる13桁の番号が交付される。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

2.課税事業者の方がやるべきこと

 

 上記を踏まえて、現在、課税事業者の人がやるべきことも簡単にまとめると、以下の3点です。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 その1.  税務署に届を提出し、適格請求書(インボイス)」発行事業者」となる(Cに対応)

 

 その2.  請求書のフォームを「適格請求書(インボイス)」として規定されている内容に

     変更する(Bに対応)

 

 その3. 支払った 仕入や経費について、

    「適格請求書(インボイス)」によるものと、それ以外によるもの に分けて記帳する(Aに対応)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「その1」と「その2」については、課税事業者すべての方に共通です。

 「その3」については、基本的には同じですが、

  売上規模により、 運用が2パターンに別れています。

  売上規模の小さい事業者さんには、事務負担が軽くなるよう、

  本来の規定より、一部、緩い運用が可能になっています。ただし、令和6年までの経過措置です。

  ここでの売上規模の小さい事業者とは、

「基準期間の売上(税抜)が1億円以下。又は1年前の上半期の売上(税抜)が5千万円以下」

  の事業者さんです。(基準期間とは、2期前のこと)

 

では、次回以降、「その1」「その2」「その3」について、順番に説明させて頂きますね。

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本ブログでは、インボイス制度 及び 取るべき対策 のポイントを理解して頂くことを目的として作成しています。

そのため、敢えて細かいところは説明を省略しているところもあります。

活用にあたっては、自己責任でお願いいたします。

最終的には、税務署や有資格者の方への相談を お勧めいたします。