「人の振り見て我が振り直せ」という諺が、事務所内の勉強会で出てきました。

内容は、Sさんという方が同僚から仕事の進め方について指摘を受け、Sさんは同僚の言葉に苛立ちを覚え、反論したところ、その様子を見ていた上司から「お互いを否定ばかりせず、相手の姿から良いところも悪いところも学びなさい」と注意を受け、冷静に自身を振り返る。といった内容でした。

 この場合は丸く収まって良い教訓となったわけですが、仕事関係の注意や指摘で腹を立てることは働いている人にとってよくあることです。その理由のひとつは、仕事への注意・指摘が『自分自身の全てを否定されている』という無意識の思い込みによるものもある、と以前読んだ本に書いてありました。

 上司のAさんが女性社員のBさんに仕事上の注意をする。しかしそれはあくまで仕事の注意で『上司のAさんがBさんを嫌っている』わけではないのです。そして仕事後に労いの意味もかねて上司のAさんがBさんを食事に誘うと、Bさんは「行きません!」と怒ったまま帰ってしまいました。上司Aさんは困惑し、Bさんとは心の距離を置くことにしました。

 こんなエピソードもあるように、仕事上の注意や指摘=自分を否定されたと受け取る人が多いそうです。ですがそれは間違いで、本来なら切り離して考えるべきことなのですね。

 職場での人間関係は複雑ですが、こういった人の心理を把握しておくことで、注意をする側・される側の双方ともにストレスの少ないやりとりができるのではないでしょうか。

 

 今、世間では『残業時間を月100時間にする』という件が騒がれています。しかし、周囲の声を聞いていると誤解があるようで、これは『毎月100時間の残業をさせてもOK』という意味ではありません。

 そもそも、36協定(事業所と労働者の合意の上で時間外・休日出勤をするという協定)がないと残業自体が法律違反です36協定が結ばれていた場合、通常は月に最大45時間の残業が認められます。しかし例外的に年に六か月は45時間を超えての残業も許されます。繁忙期等のためです。

 問題は、その例外である六か月の残業時間は上限がなかったことです。

 極端なことを言えば、その期間は毎日午後5時~午前0時までの7時間残業、月にして154時間の残業でもよく、それによる事業所への罰則はまったくないのです。

 今回の法案はそこに100時間以内という上限を作り、超えた場合は事業所に罰則が与えられる、というものなのです。どちらかというと労働者を守る法律なのですね。

 

 

 当事務所では3月から『職場の教養』という冊子を毎日1ページ、全員で読むという時間を設けました。今回は『何のために仕事をするのか』という題材で、一人は生活するお金のため、一人は報酬以上に仕事への誇りを持っているため、一人は仕事を通して多くの人が喜ぶことを思い、働いているという例が挙げられていました。

 二人目、三人目のような志を持つことが理想ですが、現実は『生計を立てるため』という理由が大多数であると思います。

 では、一人目の考えから二人目または三人目へと心境を変化させられるものは何でしょうか?

 一人目のように、仕事への愛着や忠誠心がなければ、その従業員が退社する際、トラブルの発生率は跳ね上がります。裁判への発展や労基署からの注意が入れば、事業主の方々も疲弊してしまい、結果、事業がうまくいかなくなることもあるでしょう。

 退職する従業員が労基署に駆け込む話や、いきなりぷっつりと来なくなる、必要な引継ぎをまったくしていない――そんな話を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

これらの労働問題はコミュニケーションの不足からきています。労働問題を防止するためには、事業主と従業員間の意思の疎通やちょっとした気遣いはとても大切です。

 二人目や三人目のような志を持った従業員を育てるのは、他ならぬ事業主の方々なのです。

ツイッターで回ってきたものですが、『行政は積極的に教えてくれないけれど、実はこんな制度があるんですよ』という知っていたら得かもしれない一覧表を載せます。

この一覧の中で、社労士の担当できる範囲は「埋葬料」「寡婦年金」「寡夫控除」あたりです。

こちらは社会保険に加入していれば申請できるものなので、もしご家族に御不幸があった場合は、顧問先の社労士事務所や行政に相談・問い合わせてみて下さい。

 

他にも『こんな補助があったのか!』と思わずにはいられないものがありますね。例えば、私事ですがチャイルドシート購入時に補助があることを初めて知りました。チャイルドシートは設置義務があり、決して安いお買い物ではないので、ぜひ使っていきたいものです。

 

ただし市町村により条件や補助金額等が違う場合が多々ありますので、ご注意下さい。

 

担当・北村

確定申告の時期を過ぎると、もう春だなぁと思う日が続いてきますね。

入学入社試験も終わりを迎えるここで、当事務所でやっております『人事評価制度』のポイントを纏めていきたいと思います。

 

『人事評価制度』と書いてそのまま、事業所で働く労働者をどう評価するか?という制度です。

当然、上司や事業主が労働者を評価します。しかしそのとき、その評価は本当に正当でしょうか。

 

例えば、昨今では男女雇用機会均等法等、男と女の仕事における平等さが取り上げられるようになりました。逆に言えば、これまで雇用において男女は平等ではなかったようです。男だから~女だから~と採用や採用後の仕事内容や昇給等に性差ができていたのです。100点中80点をとった女性より、60点を取った男性の方がはやく昇進などができてしまっていたのです。

理由は“男だから・女だから”。

いやいやそれは納得できない!という声も上がるでしょう。特に評価される側は必死です。

上司の評価に僅かでも納得できない点があれば愚痴も出てきます。社員同士の蹴り落としもあるかもしれません。そんな環境は事業所にとって悪いスパイラルを起こしていき、最終的には事業所の存続にまで関わる深い問題です。

 

そこで、『誰が見ても適切な評価の基準』をどう作るか…これが『人事評価制度』です。

その事業所で必要なスキルは何か、を事業主や上司はもちろん、現場に出ている労働者達も考え、ほぼ全ての人がこの「評価は正しい」と頷けるものを作ろう、という考え方なのです。

 

具体的な方法は色々とありますが、この考えが人事評価制度の根底なのだと思って頂きたいです。

 

担当・北村