先日の記事、コロナ疲れ:思ったよりも幅広い「トラウマ」とアヤワスカによる治療の可能性の続きで、アヤワスカの儀式で起きる具体的なメカニズムについての説明です。

 

 

 

「あなたは怠け者ではありません。

 

やる気をなくしたわけでも、行き詰ったわけでもありません。

 

長年に渡って『サバイバル・モード』で生きてきて、疲れてしまっているだけです。

 

そこには違いがあります」

 

 

 

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アヤワスカがトラウマ(心的外傷)の治療に強力である6つの理由
6 Ways Ayahuasca Works like a Good Trauma Therapist
https://chacruna.net/6-ways-ayahuasca-works-like-good-trauma-therapist/ より翻訳

 

 

アヤワスカがトラウマを癒す6つのメカニズム

 

「アヤワスカには、過去のトラウマ経験を鮮やかに思い起こさせる性質があることは広く知られていることです」

 

 

(参考画像:癒し・シャドーワークの段階:左から

「自分の闇の部分を認識する」→「それを全身で感じる」→

「その闇と折り合いをつける」→「そこから解放される」)

 

 

 

1. トラウマ体験への回帰と再体験


アヤワスカには、過去のトラウマ経験を鮮やかに思い起こさせる性質があることは広く知られています。これには人の成長を妨げている未解決の過去の経験に焦点を合わせさせる、間違いようのない力があると考えられています。

 

アヤワスカの儀式の中では、この過去の経験を第三者的視点からのビジョンとして視えることがよくあり、その際には当時の感情も伴います。

 

より広い視点と増幅された感情が組み合わさって、この経験に苦しんだ昔の自分自身に対して共感を生み出します。EMDR療法でも同じような現象が起きるのを目撃しことがあり、今後、この点に関する研究が必要になると思われます。

 

 

2.抑圧された記憶の解放


アヤワスカのセッションにより、埋もれた記憶が掘り起こされる場合があります。多くの場合は子供時代のトラウマですが、大人として経験した、打ちのめされるほどのできごとに関して抑圧されていた記憶も表面に上がってくることもあります。

 

この経験は、前述のような観察者としての視点から追体験される場合が多いようです。しかし長い間無視され続けてきた魂の欠片として、無視され続けてきた子供や死んだ赤ちゃんが自分の体内にある様子など、抽象的な幻視として表面化する場合もあります。

 

嘔吐や、その他の形態の「浄化」(下痢や涙、震え、あくびなど)は、こういった幻視の出現と共に現れる場合もあります。

 

この経験はカタルシス(感情の浄化)を起こすこともありますが、トラウマの再体験にはならない場合もあります。

 

アヤワスカ経験で過去の記憶とそれに伴う感情を解放することにより、精神のバランスが取り戻され、成長に必要な余裕が生まれるでしょう。

 

 

3. 増幅された感情や感覚により、身体に気づきをもたらす


身体ベースの心理療法の重要な点は、クライアントの内面にある、具現化された経験を現在の時点から探求することです。会話によるセラピーは「上から下へ」プロセスを行うのに対し、このような療法は「下から上へ」プロセスを行うのが特徴的です。

 

この作業にアヤワスカが非常に向いているのは、体が長い間抱き続けていたものを開放するために身体的・感情的な情報を強烈に、かつ心の底から波のように引き起こすからです。

 

この解放は、嘔吐や震え、あくび、暑さや寒さを感じるなどの形で現れる場合もありますが、こういった現象は身体ベースのトラウマ治療におけるトラウマ解放の兆候として知られているものです。

 

アヤワスカは、表面的なストーリーよりも深いレベルから物事を掘り起こすことに非常に優れており、本人の気づきの有無を問わず、感情を過去の経験と融合させます。

 

人の「感じた感覚」が無視されることはよくあることですが、これを具現化することで、こういったすべてのメカニズムが起動するのです。

 

身体ベースのトラウマ療法では、身体レベルでの作業によって原始的な思考の脳の「縦割り統合」をかきたてると言われていますが、アヤワスカによって同じようなことが起きている可能性があるのです。

 

 

4. 新しい認識のもたらし


セレモニーで生まれる洞察によって、自分自身や自分の過去に癒しをもたらす視点から見ることができるようになります。

 

EMDR療法による自発的な変化と同じ様に、アヤワスカのセッションではこういった理解が唐突に起こる場合があります。その際には、例えば次のような表現として出てきます。

 

「私に悪いところなんて、何もなかったのが見えた」

「あれは私のせいじゃなかった。私は罪のない子供だったんだ」

「その時、私は自分のベストを尽くしていたのに」

 

心理療法を何年も受け、ようやく「たしかに私の人生で悪い状況があったけど、それは私のせいだったというわけじゃない」という心の奥底からの理解に至る場合があります。しかしアヤワスカの儀式では一度受けただけで、これと同じことが起こる場合があります。

 

つまり、自分に起きたことは単純に起きただけであなたのせいではないとわかることが、トラウマ治療のまさに核心にあるのです。

 

アヤワスカの儀式において、子供の頃に苦しんだ痛みに対して大人になった自分の知恵が持ち込まれ、自分のバラバラになった面を再び結びつけます。そしてより思いやりのある解釈をその過去の経験に対して行う自由が生まれます。

 

このプロセスでは、「(当時の)私にはケアを与えられてしかるべきだったが、誰もケアをしてくれなかった。でも今の自分は十分に大きくなったので、この小さくて、幼い自分の一部のケアをできるようになった」 という感じ方を与える場合がよくあります。

 

そのトラウマ経験によって課せられた制限に矛盾する、新しい経験を作り出すことによって、あなたの中で神経(脳)の中の配線(パターン)が変わるのです。

 

 

5. 神経系(脳)にポジティブな経験を与える


アヤワスカにポジティブなサポート体制を作り出す力があることは、十分に記録されている事実です。

 

アヤワスカ体験の特徴は「地獄から天国へ」行ったような突然の変化です。アヤワスカを飲んだ人は、混乱した状態からから平穏や落ち着き、そして癒しの感覚へと駆り立てられます。

 

この変化は脳などの神経系に対するトラウマによる深い痕跡を巻き戻させ、それによって現実にしっかりと足がついた、復活した状態へシフトできるようになるポジティブな経験です。

 

アヤワスカについていえば、この劇的な変化は次のような自然発生する現象を通じて起きます。


★癒しをもたらすビジョン:
極上な美しさや普遍的な愛のビジョンや、あるいは自分自身の癒しの能力や回復力、今までとは別の現実を作り出す能力のビジョンなどがそうです。

 

★感情面でのサポート:
愛情や安心感、そして(生死を問わず)愛する人や精神の導きとなる存在、あるいは非現実的な存在に対するつながりが自然に感じられるようになることがあります。

 

★一体感:
あらゆる存在の中に存在する知恵や愛情の能力として、本人の完全な人間の本質が自然に明らかにされる場合が時としてあります。

 

トラウマ経験があるにもかかわらず、自分が完全体としての人間であり続けていたと理解することは、(アヤワスカの儀式で)最も貴重な経験として報告されています。

 

勇気や愛、統合感などの本質的な自分の性質と、強烈な出会いを遂げることも、よく見られる経験の一つです。

 

 

6. 自分や他人に対する思いやりと許しのもたらし:

 

儀式の参加者は、傷つき、放置されていた若い頃の自分のイメージを見る場合があり、それによって自分の頭から締め出されていた「自分の一部」に対しより意識的で、思いやりのある関係を築くきっかけを得ることがあります。

 

またアヤワスカの儀式参加者で過去に虐待の経歴のある人はよく、自分に虐待を与えた人も人生で苦しみ、その結果として傷ついて抱えたトラウマの映像が見えたと話しています。

 

子供の頃に父親に性的虐待を受けていたあるクライアントは、
「父の人生で起きた苦しみのイメージが見えている間、『これを見た人はどんな人でも、思いやりを持つことになるだろう』という言葉が繰り返し聞こえてきました」 と話しています。(2016年8月23日)

 

ここで生まれる理解が、加害者に対する本当の許しをもたらすのです。

 

そして自分に対する許しも起き、当人の個人的な罪悪感や過剰な後悔から解放されます。

 

当人が負う責任感を消すことはありませんが、自分を縛りつけていた自分に対する批判が解消される場合があり、さらにこれがわずか一回の儀式で起きることもあるのです。

(こういった自然な大きな変化は、EMDR療法でも起きる場合もあります。)

 

 

儀式の後:トラウマの癒しと統合


アヤワスカの儀式一度、あるいは何度か行ってもトラウマが解消されるとは限りません。始まったプロセスを完成させるために、その後の作業が必要になる場合も多くあります。

 

解放されたものを通じて、成長するために取り組んでいくためには、エゴ(自我)の強さや感情についての知恵、そして強い決意が必要になります。

 

トラウマ治療のためにアヤワスカがうまく利用されている心理療法の未来があるところを想像した場合、選ばれた参加者が小さいグループとなり、全体的なサポートを受けるのが望ましいと私は考えています。他の身体ベースのトラウマ療法の代わりに、うまく順序だったアヤワスカのセッションと、それに合わせてとても大事な内面世界に対する理解を広げる様々な取り組みが理想的です。

 

トラウマによってできた体と脳の損傷を治す作業は、複雑で繊細なもので、様々なレベルでの熟練のサポートが必要になります。

 

よりよく知られているEMDR療法や身体ベースのトラウマ療法と同様に、アヤワスカにはこの領域において、かけがえのない貢献を行う可能性を秘めています。

 

 

 

 

(翻訳終了)

 

 

 

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【コメント】

 

この記事は教育目的で、決してアヤワスカの使用を推奨するものではありません。

 

時間はかかるかもしれませんが、他にもカウンセリングなどの同様の効果を出す方法はたくさんあるようです。

 

またアヤワスカは作り方によってはかなり強力な幻覚剤となりますので、精神が不安定な方や心に大きな傷のある方は特に、経験豊富なガイドなしでは絶対に手を出さないことをお勧めします。

 

不安を感じられる方は特に、十分に個人でリサーチをされた上でのご検討をお願いします。

 

 

アメリカでは「アヤワスカ教会」なるものまであり、合法的にアヤワスカの儀式を受けることができるようです。

 

 

 

他にも英語ですが、アヤワスカを飲んで人生が変わった!という動画もたくさんありますし、セッション前と後の体験者の顔の変化を見るだけでも効果のほどがうかがえます。

 

 

アヤワスカの飲み物もそうですが、この「儀式(セレモニー)」で専任のガイドさんが意識を癒しの方向へ誘導してくれるところに大きな癒しの効果があるようです。また自分との相性や自分の意識の状態、ガイドさんのスキルなどでも効果のほどは違ってくるでしょう。

 

 

 

 

 

今の私はもう、過去の自分とはあまり共鳴するところはありませんが、

それでも過去の自分を愛しています。

 

 

過去の私は成長途中でした。

 

過去の私は自分のベストを尽くしてくれました。

 

過去の私ががんばって戦ってくれたからこそ、今私がここにいることができています