ギリシャが大変なことになってますね・・・
細かいニュースをいくつかまとめて。
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まず、ギリシャではこの財政危機を受け、一般市民は食料品などの買占めに走っており、スーパーの棚が空っぽになっているそうです。
★ギリシャのスーパーマーケットが、ベネズエラのスーパーのようになってき始めた
Greek Supermarkets Begin To Resemble Those Of Venezuela
6月29日【Zerohedge】 http://www.zerohedge.com/news/2015-06-29/greek-supermarkets-begin-resemble-those-venezuela
また別のニュースによると、ギリシャ全体ではすでに食料品や医薬品が不足しているのだとか。。。
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そしてEUやIMFの緊縮財政案に賛成しているギリシャの極右勢力のデモ(参加者5000人)の最中に、40人のアナーキストが攻め寄せそのど真ん中でEUの旗を燃やしました。
Greece: 40 Anarchists infiltrate and confront 5.000 right wing protesters in favour of austerity
映画「300」で、100万人のペルシャ軍に、スパルタの300人の親衛隊が対抗したのを連想しますが、実際にはアナキストは旗を燃やしているだけで、極右勢力も罵倒は浴びせかけても手は出していないようです。
大人ですね。
極右にしろ、極左にしろ、どちらも真剣に国のためになるようにと考えているのは共通しているのに、単に毎日のように得ている情報ソースが違うためにそれぞれの異なる結論に達したというだけで、そんなところで分極化して抗争しているヒマがあったら、それよりも問題な無関心層に協力し合って働きかけたらいいのに、と思いますが。
とはいえギリシャもこれだけの状態になれば、無関心でいる余裕もないでしょう。
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そしてその数日後に、アナキストの反EUデモを取材していたRTの記者が警察官による催涙ガスの攻撃を受けてしまい負傷しています。
RT correspondent caught in Athens anarchist protest, teargassed
7月2日【RT】http://rt.com/news/271339-athens-anarchist-march-clashes/
BREAKING: RT reporter @ilpetrenko_rt caught in Athens anarchist protest, teargassed http://t.co/YKGBCOYm02 #Greece pic.twitter.com/dZ7coECGWm
— RT (@RT_com) 2015, 7月 2
このデモに限って言えば、一番破壊的だったのは極左でも極右でもなく警察官だったようです。
(アメリカなどでも「テロリスト」によって殺害されるアメリカ人よりも、警察官の暴力的行為によって殺害されるアメリカ人の方がずっと多いようですが)
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そしてBBCの最新ニュースから。
ギリシャ国債:ヤニス・バルファキス財務大臣が債権者(国)がしようとしていことは「テロリズム」だと非難
Greece debt: Varoufakis accuses creditors of 'terrorism'
このヤニス・バルファキス大臣は、Prospect (プロスペクト、インテリ層をターゲットにしたマガジン)が「世界でもっとも影響力のある思想家」は誰かと読者を対象に行ったアンケート調査によると、世界で最も優れた思想家の2位にリストアップされています(the guardian、ちなみに4位がラッセル・ブランド)。
そんな彼が、単に借金を踏み倒そうとBBCの記事のような暴言をいきなり吐いたのでしょうか?
その点について考えるために、少し過去に遡って、あまり大手メディアが取り上げてなさそうな極左的視点のニュースをさくっとまとめました。
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2012年2月に翻訳した記事から。
★ギリシャ 財政緊縮法案=経済的大虐殺
RTの経済評論家のマックス・カイザーは、次のようなことを言っています。
「ギリシャの負う負債は、ギリシャが招いたものではなく、ドイツ、イギリス、アメリカなどの国が不良債権をギリシャに押しつけたのが原因です」
「ギリシャは、単に次のターゲットになっただけです。ギリシャは革命を起こし、自らの主権を取り戻すべきです」
「銀行から不明となって消えた顧客のお金はそのまま戻って来ません。銀行システムそのものが無法地帯だからです」
そしてベルギーの国際的会計士Lode Vanoost氏は、EUは最初からギリシャを救済する意志などなく、EUは、ギリシャで社会的試みを実行する一方で、ユーロ通貨を守ろうとしているだけだと考えているようです。
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同じ月には、このようなデモも。
★ギリシャ 警官・消防隊員・医師もデモに参加
公務員が財政緊縮でかなり手痛いダメージを受けることになったからですが、警察・消防・医師すらまともに面倒の見れなくなると悲惨ですね。
そればかりでなく、緊縮財政として、国のインフラを担当している多くの国営企業や不動産までもが外国に売り飛ばされています。
国の存続にすら関わるレベルです。
ここでもやはり、ナチスの旗が燃やされており、世界中からもギリシャの市民を支援するようなデモが開催されていました。
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そして2012年10月には、ギリシャの特別部隊までもがメルケルドイツ首相のギリシャ訪問に合わせて「反ドイツデモ」を行っています。
デモでは、一般人はナチスの旗を燃やしています。
'Out of Greece- Special forces march in uniform, chant in anti-Merkel protest
つまり一部の国の兵士でさえも、ギリシャの国債そのものがただの国際金融詐欺による被害であるという認識に到達し、そのためにEUや、EUの中で勝ち組のドイツを批判しているのではないでしょうか。
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最近では、イギリス人が例のクラウドファンディングを利用して、ギリシャに対する緊急援助をしようとしていましたが、その中でもドイツ人が一番寄付金額が多いのは、そういう背景があるからなのかもしれません。
ギリシャへの緊急援助としてクラウドファンディングが設置され、3日間で50万ユーロを越える寄付金が集まる
Greece crisis: Crowdfunding campaign crashes Indiegogo, raises half a million in just three days
【Independent】http://www.independent.co.uk/news/business/news/greece-crisis-crowdfunding-campaign-crashes-indiegogo-raises-half-a-million-in-three-days-10357000.html
国別の寄付金の割合
https://twitter.com/ThomFeeney/status/616123287366672385/photo/1
ドイツからはこの時点ですでに1万ユーロ以上が集められていました。
また今年4月には、ドイツの一般市民がギリシャの都市を訪問し、ナチス統治時代にドイツがギリシャに対して負ったとされている金額の、ドイツ国民一人当たりの金額を勝手にギリシャに支払っていたそうです。
★世界各地で通貨制度に対する革命的な動き★
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また2012年2月のBBCの報道によると、ギリシャ人は労働時間は長いものの生産性が低いためにこのような事態になったとしています。
★ギリシャ人はヨーロッパで一番の働き者?
要は国力の差というか、産業構造の違いというところなんでしょうか?
実際のギリシャ人の働きっぷりは自分の目で見ない限りはどの説も信じられませんが、EUの中でも農業中心の国ばかり負債が増え、工業や金融などの強い国が勝ち組になっているのを見ると、ギリシャ人が「怠け者」だからこのような事態になったというよりは、単なる国際経済の不均衡な面が大きく現れた、つまり「国際金融」という大きな詐欺機構の犠牲になっただけだというギリシャの財務大臣の考えは、私にはかなり妥当なもののように思われます。
7月5日に行われるギリシャの国民投票の行方が気になります。
現在の世論調査によると、かなり拮抗しているようです。
★ギリシャ、7月5日に国民投票 EUの金融支援条件で(CNN)