http://vimeo.com/48834336 より翻訳 


1970年、ハワード・ジン(Howard Zinn)が市民不服従に関する討論の一部として行ったスピーチを、ハワード氏の生涯の友人であったマット・ディモンが読み上げた。

2012年1月31日、シカゴで行われたイベントの中で、マット・ディモンとルーペ・フィアスコが行った講演の一部であった。

ハワード・ジンは、2004年、Anthony Arnove氏と共著で「民衆のアメリカ史 上巻 (世界歴史叢書)」(Voices of a People's History of the United States)という本を出版しているが、本全体への前書きとしてハワード氏は次のように記している。


「1970年11月、私は陸軍基地で兵士がベトナムに送られることを阻止しようとボストンでのデモに参加し、他の人たちと一緒に逮捕されました。その後、ボルチモア市のジョンズ・ホプキンス大学に飛び、哲学者のチャールズ・フランケル氏と共に市民的不服従についての議論に参加しました。
当日、私は陸軍基地でのデモの結果として告訴されたことと関連し、出廷しなければなりませんでした。

私には選択肢がありました。出廷し、私の市民的不服従への決意を説明、実践する機会を見逃すか、あるいは、ボルチモアに赴き、裁判所命令に反抗することによる帰結に直面するか。

私は(ボルチモアに)行くことに決めました。

翌日、ボストンに帰って来た日の午前中、教壇に立つためにボストン大学に赴きました。刑事が二人、教室の前に待っていて、私を裁判所に連行し、そこで私は数日間拘留される判決を下されました。

次の文章は、私がジョンズ・ホプキンス大学でその夜に行ったスピーチの内容です。


(翻訳終了)


それをマットディモンが読み上げている動画が次のものです。

すでにどなたかが日本語訳をつけて下さっていました!!
ありがとうございます。


タイトルは英語で出回っていたものに合わせて、一部変更してあります。



マット・デイモンがハワード・ゼンの「市民的不服従」を朗読

“まず私は こう仮定することから始める この世界は すべてがあべこべだと”
“すべてが間違っており――”
“間違った人びとが 罪を問われ――”
“あるいは 罪を問われず――”

“間違った人びとが 権力を握り――”
“あるいは 権力の座を追われ――”

“そして この国や世界の富が 小手先の改革ではなく――”
“劇的な富の再分配を 必要とするような――”
“分配のされ方をしていると”


“また私は こうも仮定する 異論などある筈もないと”
“ちょっと世界の状況のことを 考えてみれば 誰でも――”
“この世界のすべてが あべこべだと気付くからだ”

“もし 考えることをせずに”
“TVや学者の言うことだけを 信じていれば――”
“「現実はそんなに悪くない」”
“「些細なことがおかしいだけ」 と 思ってしまうことだろう”

“だが 少し離れたところから 見てみると――”
“世界のありようが 見えてくるようになる”
“そして 恐ろしくなるだろう”
“だから この仮定から始める”
“世界はすべて あべこべなのだと”


“「市民的不服従」という  この話題も 実にあべこべだ”
“「市民的不服従」を”
“話題にした突端――“
“「市民的不服従に問題がある」と 言っていることになる”

“問題は そこにあるのではない”
“問題は 「市民的服従」にある”
“問題は 世界中の多くの人びとが――”
“政府の指導者の命じるがまま 付き従ってきたことにある”
“そして服従したがために――”
“戦争が起こり 数百万もの人が 殺されたことにある”

“ナチスドイツが まさに そうだった”
“問題が服従にあったことは もう分かっている”
“人びとは ヒトラーに従った”
“人びとは従った それが間違いだった”
“人びとは異を唱えるべきだった そして抵抗すべきだった”
“我々がその場にいたら そうして見せただろう”

“スターリン時代の ロシアでもそうだった”
“人びとは従順だった まるで家畜のように”
“搾取されるのが当たり前の 封建時代のようではないか”
“中世はあまりにも 悲惨な時代だったではないか”

“だが現代では 西洋文明が栄え 「法の支配」がある”
“「法の支配」は――”
“それ以前に存在した社会的不正を 規則化し かつ最大化した”


“それが 「法の支配」が もたらしたものだ”
“世界のあらゆる指導者が 法治を寵愛する一方で――”
“人びとにとっては それが 災いでしかないとき――”
“我々は 気付かなければならない”
“我々の思考の中で 国と国の境を越えなければならない”

“ニクソン大統領は 我々よりも ブレジネフ書記長と響き合っていた”
“フーバー長官は 我々よりもずっと ソ連秘密警察の長官と響き合っていた”

“法や秩序への国際奉仕の精神が 指導者たちを同志のような絆で結んだ”
“だから 我々は常に驚かされる”
“彼らは会えば 笑みを絶やさず 堅い握手を交わし 葉巻を愉しむからだ”
“表で何と言おうと 彼らは本当は仲良しなのである”

“我々は何を 為そうとしているのか”
“それは多分 『独立宣言』の理念――”

“目標 そして精神に 立ち返ることであろう”
“その精神とは即ち 不当な権力や 生存 自由――”
“幸福の追求の権利を奪う 勢力に対する抵抗の精神を指す”



“したがって そのような状況下では――”
“現行の政府を「改造」または 「廃止」する権利が要請される”
“ここで強調されるのは 「政府の廃止」だ”
“だが 『独立宣言』の理念を 確立するためには――”
“「法の外」へと 出なければならない”
“殺人を強要したり――”
“これまでのような 富の配分を許容し――”
“厳格な解釈でしか 成立しえない罪を問い――”
“大罪を犯した者の罪を問わない 法に従うことを やめなければらない”


“私の願いは――”
“こうした精神の発露が この国だけでなく――”
“他の国々でも起きることだ どの国にも必要な精神だから”
“世界のあらゆる国々の人びとに 国家への不服従の精神が求められている”
“それも 抽象的なものではなく――”
“力と豊かさに溢れる 形あるものが”

“そして 同じものを希求する 世界中の国々の人びとが――”
“『相互独立宣言』のようなものを 行うことが――”
“求められているのだと思う”




(引用終了)


***

【コメント】

こちらは最近、Facebookで非常に人気が出て出回っていた動画です。


マット・ディモンと言えば、あの映画「ボーン」シリーズの主役の俳優さんですね。

この人、以前から政治活動を行っていたようなのですが、数年前にこんなブログも書いていたんですよ。

安全な水とトイレ―望みすぎでしょうか?...25億人の人たちのために(マット・デイモン)


パッと見、すごく素敵な活動をしているような感じなのですが、よく読んでみると・・・発展途上国で水を十分に得ることのできない家庭に水道を設置するためのローンを組ませる活動なんですよね。さらなる「負債による奴隷」を作る活動とも言えるかと。

元がペプシコと、マスターカードというところまで見ると、もう完全にあちら側の手先か、思いは純粋だけど騙されているオバカかどちらかだろうな、という印象を持っていたんです。


確かに調べてみると、彼のこともイルミナティの一部だなんていう噂もあったりして。

(ただこれに関しては、ラッセル・ブランドもアノニマスも、ビートルズもダライ・ラマ、デイビッド・アイクなどについても、イルミナティだという噂もあるようなので、不都合な活動をする人達に対して、そのような噂が立つのはよくあることなのかもしれない、とも思い始めましたが。
噂だけよりも、彼らの生き方、話している内容とそれが社会に与えるであろう影響、周りの人達、顔つきや話し方なども合わせて考えた上で判断する方が、本人にとってはよりフェアかなと思います。)


それはともかく、こちらのスピーチの内容は前述のハワード氏のスピーチの内容で、前回の市民不服従の記事(「市民としての反抗:過去と現在」)とも重複し、アナーキズム的な思想も含まれていて非常に素晴らしいものだと思います。


日本では秘密保護法案なるものが議論をよんでいますが、同法のようなインターネットの、特に情報を発信する市民を抑圧する動きは日本に限ったものではありません。アメリカでも陰謀論系ブログを取り締まるメディア・シールド法というものが審議されていました。

そんな中で、この二年近く前の動画に新たに注目が集まっているようです。