まず最初に、彼の名前を 「うさ男」 としよう。

「うさ男」と名づけたのは、彼のペットが、うさぎのうさ子(メス)に由来する。
歳はわたしの2こ下で、この辺では珍しく東京生まれのベルギー育ち。
高校進学の時に一人帰国し、東京の有名私立の付属高校へ入学。
その後エスカレーター式に上の大学へ進学し、卒業後は、一部上場企業へ就職。
札幌勤務を経て、その後盛岡へ赴任して2年目というプロフィール。


彼と初めて出会ったのは、私が幹事をした合コンだった。
その日の合コンは、4対4の王道スタイル。
しかし、幹事だった私は特に積極的に狩りをするつもりもなく、一番端で仕切りに専念した。
定刻を過ぎたが、あたしのお向かいさんの男子は遅れている様子。
まずは7人で乾杯。


遅れること30分、ようやく私の向かいに4人目の男子が到着。それが「うさ男」だった。
会は男女4人グループが二手に分かれてそれぞれ盛り上がる展開になった。
こんな風に話が弾みだすと、幹事としては一安心。
お酒の勢いも手伝って、私はコンパの盛り上げ役に徹した。
得意の自虐ネタがみんなに大うけ!
そんな中ひときわ笑ってくれてたのが、その向かいに座っていた彼。「うさ男」だった。
ノリも良く、人なつっこい。私はかなり好感を抱いた。


その後、二次会、三次会と流れる中、女性陣は狩りの獲物が見つかったらしく、
それぞれお気に入りの彼に狙いを定めている様子。
そうこうしていると、いつの間にか私の隣には、一次会で向いだった「うさ男」がいた。
かなり酔っぱらっているらしく、わたしの手を握りながら「かわいい」を繰り返す。
その時は特に彼に興味も無かった私は、とりあえず適当にみなと一応のアドレス交換をすませ帰宅。
翌日、全員にお礼メールを送信。もちろんその彼にも。
(これは合コンしてアドレスを交換した相手には必ず送るわたしの定番メール。)
彼以外の皆からお約束の返信メールがあったが、しかし彼からは何の返事もなし。
ダメ男かと思いきや、その日の夕方、私と出会えた事が嬉しいという内容のかなり長いメールの返信が届いた。そんな風に言ってくれるのは、やっぱり嬉しい。
何だかんだとかなり長い時間メールのやり取りをしてしまった。
そして、次に二人だけで会う約束も・・・してしまった。


ベルギー育ちで年下のうさ男と初デートの日。私は特に何の期待もしていなかった。
しかし、彼は私の気持ちを揺さぶってくれた。
人なつっこくて話し上手な彼に、私はあっけなく引き込まれていった。
恋愛経験がどちらかというと多いはずのあたしが、今までにないタイプの彼にどんどんハマってしまっていた。
久しぶりにドキドキする恋をしているようだった。
彼の家に行けば料理を作って待っていてくれる。
ワインを飲みながら楽しい会話と美味しい食事。
幼少期に育った海外でのお話や高校や大学でやっていたスポーツのお話。
彼の話はいつも楽しかった。そして私をすごく気遣ってくれていた。(ように見えた・・・)
やはり、海外で育っただけあって、レディーファーストが身に付いているんだと感心させられた。


そして彼は、うさ子というミニうさぎをペットとして飼っていた。
かなり溺愛していて、そのうさ子とたわむれている時は、私の事は一切お構いなしで、
うさ子とうさ男の世界だった。
その時ばかりは多少、彼の性格を疑ったが、その時はもう彼の事が大好きでそんな細かい事はどうでもよかった。


そんなこんなで三か月が過ぎ、季節は冬。
彼は営業職で、県南から沿岸のエリアを担当していた。
冬の季節は道路事情も悪く、車での移動に支障をきたす事もある。もちろん出張も多かった。
でも、うさ子がいた彼はできる限り出張をさけ、夜遅くなっても家に帰宅していた。
どうしても帰れない時には、私が彼のお家にいってうさ子の面倒をみていたりもした。
しかし、道路が凍結している冬の時期に彼のお家に車で通うのはかなり難儀した。

そんなある日、彼が突然出張先で急な仕事が入り、その上予想外の大雪で帰れなくなった。
そこで、母とあたしは彼のお家に出向き、うさ子を私の家に連れて来た。
しばらくの間、うさ子をうちで預かることにした。仕方の無いことだったが・・・・
それが、すべての事の始まりだった・・・。



うさ男のペットのうさ子をしばらく預かることにしたが、・・・・
我が家には犬が一匹いて、わたしは両親と暮らしている。


初めは動物が一匹いても二匹いても変わらないと思っていた・・・・
がその考えは相当甘かったらしい・・・
うさぎという生き物は相当手がかかる。
それ以前にこのうさ子が相当のわがままウサギなのである。
以前犬が使っていた大きめのサークルの中にうさ子のゲージを入れて
いつでもゲージの外で遊べる空間を作ってあげた。
初めこそおとなしくしていたが、数時間後には我が物顔でサークルの中を暴れまわっていた。
じゅうたんはかみつきボロボロにするし、何もかも散らかし放題。
そこに大量のぽろぽろウンチを振りまく。
強暴うさぎの為、それを掃除するのも大変。
挙句の果てに、サークルを飛び出し愛犬とひと悶着。
捕まえようとすると物凄い勢いで逃げまくり、しまいには唸りながら襲いかかってくる。
そんなこんなで、凶暴ウサギと格闘した一週間が過ぎ、やっと週末。


動物を飼っている彼だったら、その面倒を見るのが大変なのも、わたしが両親と暮らしているので、両親にも多少の迷惑を掛けているのもわかるはず。
普通は、仕事が休みの週末なら、我が家を訪ねてうさ子の様子をみたり、両親に挨拶をするのは社会人として常識だと思っていた。
しかし彼は違った。
週末にうちに来るどころか、うさ子を置いて、私に彼のマンションに来いと言う。
ちょっと人間性を疑ったが、そこはまだ恋する私、気にしないようにしていた。
でもそんな週末が2回3回・・・。
仕事が一段落した平日、食事に行く事になり彼がうちにわたしを迎えに来た。
その時、うさ子の様子を見るのかと思ったら、メールで「お家の前に着きました」
これにはさすがに両親も呆れ顔。
わざとらしく彼に「うさ子が淋しがってるからちょっと様子を見て行ったら?」
彼は「今日は時間がないのでまたにします。もうしばらく宜しくお願いいます」の一言・・・
両親が彼に失望したのは明らかだった。
それと言うのも、うさ子をうちに連れて来てから彼はうちの両親に一度も挨拶していなかった。
その時私ですら「この人大丈夫?」って思ってしまったくらいだ。
私と一緒に御飯は食べに行けても、うちに入ってきちんとした挨拶もできない男。うさ男。
その頃から徐々に私は、彼に不信感を持ち始めた。


ベルギー育ちのうさ男のペットであるウサギのうさ子を我が家で世話して一ヶ月ちょっと。
その間彼がうちにうさ子を訪ねたのはたったの一回。それも無理やり、わずか5分。


この一か月ちょっとで、私は彼への熱が完璧に冷めてしまった。
ある意味あの暴れうさ子に感謝だ。
人間、恋をすると自分が見えなくなりがちだ。
たぶん、うさ子を預かっていなかったら、今だにわたしは彼に甘えられようが、
尽くしていようが、理不尽に扱われようが、見て見ぬふりをして恋に恋をしていたと思う。
わたしはいまどき珍しいかもしれないけど、家族や礼儀を重んじる方で、付き合う彼にもわたしの家族を分かってもらいたいし、仲良くなってほしい。
そして、社会人として当たり前の礼儀をわきまえてほしいと思ってる。それは相手のご両親にたいしてわたしも同じこと。
自分たちだけ楽しければいいという恋愛はしたくない、と思っている。


その後、うさ子はうさ男の元に帰り、私たちの関係も元通りになるかと思ったら大間違い。
彼の本質を疑うような事件が続いた。


彼が友達の結婚式に呼ばれ東京に行くことになり、一緒に上京した新幹線の中で
彼が、「ご祝儀のお金を下ろすのを忘れていた」と言うので多少現金を持ちあわせていた私は、彼にご祝儀にプラスお小遣いをやや多めに貸した。

そして一か月が過ぎたころ、「わたしの記憶が間違ってなかったら、東京に行った時のお金をまだ返してもらってないと思うんだけど?」というと彼は
「あーそうだぁ。早く言ってよー忘れてたじゃん!!」という。しかし返してくれる気配はない。


更に、二人で温泉に泊まり、翌朝チェックアウトに行ったら、彼は椅子に座ったまま動こうとしない。しょうがないので「とりあえずあたしのカードで払っておくね」と言ってそれっきり。


結局、ご祝儀で貸したお金も温泉の宿泊代も払われないまま。


週末会っても、わたしがご飯を作って食べたらそのまま彼はごろ寝。
出会った頃の彼とは大違い。
うさ子を巡るドタバタで垣間見た彼の本質とルーズな金銭感覚に
情けないほど疲れた私は、ようやく彼と別れる決心をした。
しかし、そんな土壇場になると、渋太い優しさで引き止めようとするんだろうな。
典型的な「駄目男」・・・。ベルギー育ちで年下のうさ男には、くれぐれもご用心を・・・。
 恋多き女を自認する彼女は、29歳。そこそこの証券会社勤務。
恋愛モードのピークには、一年で10人の男とつきあい、そのうちの一人と結婚を決めた。
25歳の春だった。「この人こそ、私の運命の人」と確信したらしい・・・がしかし、結婚式の直前に、新たな「運命の男」と出会い、結婚式をドタキャンしたツワモノだ。
その新しい「運命の男」とも、結局縁がなく、半年で別れた。

残されたのは、式場のキャンセル料やら婚約者への慰謝料など・・・膨大な借金だけ。

それ以来、結婚には慎重になっている。
というよりは、むしろ経済的に結婚なんか出来る状況ではない。
玉の輿の話でもあれば、別だが・・・・。
ただ、もともとが「恋多き女」なので・・・男が切れることは、ほとんどなかった。

まぁ29歳の女盛り、スタイルも悪くない。ルックスもまぁまぁ・・・、なので男うけは良い。

仕事がら、日常的に経営者や資産家と接する機会が多い。
しかし、そうした方々は当然のように年配の妻帯者で、多少のアプローチがあったとしても、それはあくまでも「お遊び」。
その辺をわきまえて、何人かと割り切ったお付き合いをしたこともあったが、けして本気の恋愛には発展しなかった。
それが、今度ばかりはまいった。・・・・

割り切ってると思ってた旦那系の彼が、どんどん本気モードにエスカレートしてきてる。

彼は、48歳の中堅企業の2代目社長。もちろん妻子ありだが・・・・、
奥さんと別れるとまで言う。
おいおい、そりゃ作法が違うだろう・・・。とも思ったが、・・・
そんなふうに本気で私のことを考えてくれる事は正直嬉しい。
彼女の気持ちも少しずつ彼に傾いていた。
来月の誕生日が来て、三十路を迎える。その前に、彼女は「確かなもの」が欲しかった。

三十路を目前にした恋多き29歳の彼女。
仕事柄、経営者や資産家と接する機会も多く、
そんなオジ様たちと割り切った付き合いをしてきた。
がしかし、割り切ってると思ってた妻子持ちの今の彼が、
どんどん本気モードにエスカレートしてきてる。
彼は、48歳。中堅企業の2代目社長。


先日のバレンタインデーには、ちょっとしたドラマがあった。

「バレンタインデー」という特別な日に、妻帯者である彼を夜遅くまで引き止めておくのは不味いだろうと考え、バレンタイン・イブの夜、一日早いバレンタインデーを二人で過ごした。

本当は、「私を本気で好きならバレンタイン当日に約束してよ。」と思ってたけど、

わざわざ波風立てて、この心地よい関係を壊したくない・・・。と考えてた。
今年は奮発して、ブランド系のかなり豪華なチョコをあげた。
そして、彼のために手料理も作り、家に招いた。

48歳の2代目社長である彼は、彼女の心遣いと思いやりにかなり感激した。
これまでも何人かの若い女の子と浮気をしたことはあったが、彼女ほど自分を気遣ってくれた女性はいなかった。妻でさえ・・・・。

そして当然のように、その夜二人は、かなり燃えた・・・・らしい。

そして、燃え尽きたベッドの中で、

「本気で妻とは別れる。結婚して欲しい。」と、いきなり彼からプロポーズされた。

ついに出たぞ!その一言!! そこから彼女の頭の中で、電卓が激しく音を立てた。

彼は、48歳。中堅企業の2代目社長。もちろん妻子あり。
結婚したのは、29歳の秋。両親に奨められた見合い結婚だった。
妻の実家は、地元でも知られた建設会社を経営。
一男一女をもうけ、長女は今年高校3年になる。
誰もが羨むような幸せな家庭・・・・だった。


だから、景気のいい頃は、小遣い目当ての若い女の子とも遊べた。
何人かと付き合っているうちに、ある一途な女の子と深い中になり、
「奥さんと別れて結婚して欲しい」とせがまれた。
これは不味い・・・と思い、その女の子とは距離を置くようになった。

しかし、その女の子が、ある日突然、我が家にやってきて、妻に
「旦那さんを私にください!別れてください!!」と泣きじゃくった。
それからが大変だった。まさに修羅場。

妻は逆上して取り乱し、親父には殴られ、お袋は卒倒した。・・・
挙句の果てに女の子の親まで出てくる始末・・・・
一件落着したと思った後も、子供たちから軽蔑の目で見られ、妻には無視され・・・・
こんなことなら、あの女の子と一緒になればよかった・・・と思うこともあった。


その事件から時間もだぶたったが、いまだに家では身の置き場がない。
更に悪いことに、不景気のあおりで会社もかなり厳しい経営状況だ。
そこで、一計を案じて「株」に手を出した。
その証券会社で、彼女に出逢った。株取引には多少の知識があったが、なにぶんにも素人。最初は、失敗ばかりしていた。そこで、彼女に相談したところ・・・

彼女が進める「株」がことごとく当たった。
彼女こそ「福の神」、「勝利の女神」だと思った。
そして、思い切って食事に誘ってみた・・・すると、その後はとんとん拍子にベッドまで。

彼女こそまさに「運命の女」・・・・彼はそう信じた。


三十路を目前にした恋多き29歳の彼女は、バレンタイン・イブの夜、
48歳で中堅企業の2代目社長の彼に、
「妻と別れるから、結婚して欲しい。」とプロポーズされた。
女として、そこまで言われては、悪い気がしない。
しかし、それ以上に彼女はやっぱり証券会社のOL。
彼と結婚した場合の収支について、あれこれと計算を始めた。



(彼女の心の声)

奥さんへの慰謝料は、だいたいこれくらいで、
二人の子供は奥さんが面倒見るとして、養育費が二人でアレくらい・・・
彼の収入は月額いくらだっけ?・・・・、少なく見積もってもこれくらい・・・
広い邸宅はローンもないし、車は3台だっけ?・・・その他に土地もある。
ムフフフ・・・うつむきながらも、思わず笑みがこぼれた。


「ホントに私たち結婚できるの?」彼女は笑いをこらえながら聞いた。

「君さえウンと言ってくれたら・・・」

彼女は、思わず彼に抱きついて「貴方が私の運命の男だったのね。」と言った。
彼も、力強く彼女を抱きしめて、

「何もかもなくしても、君となら、どんな苦労も乗り越えられる。」
「うん・・・・」
・・・・?ちょっと待って!・・・・「何もかも失くしても?苦労ってどうゆうこと??」

彼、曰く・・・
妻とは、もう別れるしかないんだ。妻の実家の建設会社が倒産してね。
僕も僕の親父も、その会社の保証人になっていて、
たぶん家も土地も、資産は全部もってかれる。
僕の会社も今はかなり厳しいから、君と一緒に株でなんとかしないとね。
高校3年の娘は、問題起こして保護観察中、中学3年の息子は不登校でひきこもり。
だから、僕が引き取るしかないんだ。

僕の両親は、二人とも寝たきりなんで「徘徊」する心配はない。安心して。
僕は、君と一からやり直したい。君だけが頼りだよ。・・・・

その瞬間、彼女の収支計画が音を立てて崩れた。
48歳、2代目社長の彼を部屋から叩き出して、彼女はつぶやいた。

「私は、貴方の「運命の女」なんかじゃない!」 どっちかって言うと「運の悪い女」かも・・・?
 私は23歳、OL。そして彼は、北海道出身の医大生24歳。
彼とはドタバタ劇を繰り返しながらも、なんとか仲良く付き合って、3年近くが経った。
その頃あたしは、仕事が忙しく平日はいつも残業。休日出勤も当たり前の毎日。
夜遅く部屋に帰るとグッタリ。なのに、学生の彼は私の仕事の事などお構いなしに、ベタベタと甘えたがる。それはそれで嬉しいけれど、彼が少しうざったく感じる時もあった。

彼は一人でいる時間の遣い方が下手で、私がいないと決まって誰かと飲みに出掛けてた。
医大生なんだから勉強すればいいのにね・・・・。
私は特に気に留める事もなく、逆に彼が友達と遊んでる事に安心してた。
がしかし、そんな私の放任主義から事件が起きた。

ある日、久々にゆっくり時間が空いたので、彼の部屋に遊びに行った。
何気なしに洗面所に行った時、妙な違和感を覚えた。

いつも、置いてあるはずのあたしの洗面用具が無い。
おかしいなと思い、洗面所をよーく探すと、
洗剤などが入っている戸棚の奥にわたしの洗面用具が・・・。
これはどうも怪しいと思い、お風呂場を開けると、
なんとそこに見覚えのない洗顔フォームが・・・。
これは絶対に「女」だと確信したわたしは、湧き起こる激しい怒りを抑え、
取り合えず平静を装った。がしかし、正直、かなり頭にきてた。


彼の部屋で浮気の痕跡を確信した私だったが、その場は平成を装った。
しかし!これで終わらないのが女の怖い所!!
その後、しばらくして、わたしは何気なく
「そういえば、お風呂場にあたしのじゃない洗顔フォームがあったよ。
あれあなたのじゃないよね?
女物だったし。使わないならどっかにしまってくれる?」
って、きわめて冷静に普通に言った。
すると彼は”ぎょっ”とした顔で私を見て、
「あれ、お前のじゃないの?お前のかと思ってた。じゃぁお袋のかなぁ?」
・・・・。と、ドギマギ。
彼の実家は北海道で、母上が盛岡に来ると一緒に食事をするような間柄。
何より、マザコンな彼は母親が来る前に必ず私に母親が来ること、お土産の事など報告する。
それにも関わらず、しらじらしく「お袋のかなぁ・・・」って、あんたのママはいつ来たのよ!?
って感じだった・・・。
しかも、あたしはその頃ほとんど彼の部屋に行ってないし、お風呂場も使ってない。
しまいにはあたしの洗面用具は戸棚の奥。
どうしてもっとうまい嘘がつけないのかと逆に呆れてしまった。
怒る気もしなかったので、冷ややかに「へー、そうなの」とだけ言って、特に追求しなかった。

すると彼は、その空気にいたたまれず、
「すみません。女性が部屋に来たんだけど、何もないし、
相談があるって言って夜いきなり訪ねて来て、結局、夜が明けるまで話を聞いて、
その彼女が今日仕事だからシャワーを貸してって言うから貸しただけ」って
これまた、認めたとこまでは良かったけど、なんで見え見えの嘘の上塗りをするかなぁって感じ。
じゃぁなに?その女は夜中にひとり暮らしの男性の家に来て、しかもコンビニで売ってるミニチュアサイズじゃない、デパートに売っているブランドの、しかも正規サイズのでかい洗顔フォームをいつも持ち歩いてるのか!?って話、誰が信じるよ。
馬鹿にするのもいい加減にしろ!?って、思ったけど、何もかも面倒くさくなって追及はしなかった。


浮気性の彼が、嘘くさい言い訳で謝ってくれたので、とりあえずその場は許す事にした。
そして何事もなく平和な日々を過ごしていたが、またまた事件が起きた!!
その後も、忙しい毎日に流されていた私は、申し訳ないと思いながらも、相変わらず彼をほったらかしにして過ごしていた。
申し訳ないと思う気持ちから、ある日、仕事で外に出た際に、ちょっと彼の部屋に寄って家事をしようと考えた。
すると、いつもは、鍵をかけない彼の部屋に鍵が・・・。
でも、中には人の気配。
しかも駐車場には、彼の車の他に、明らかに女の子と思える見知らぬ車が停まってた。

恐る恐るチャイムを鳴らしてみた。
するとインターホン越しに彼が出た。それまた、なんとも不自然・・・。
彼は、普段部屋に鍵もかけない性格で、インターホンなんて使うはずもなく、
実際にこの何年か付き合ってて見たことない。
その彼がインターホン越しに「どちらさまですか!?」って、アンタ、私だと分かってるでしょう。

「私だけど、お取り込み中みたいなのでまた来るね」と吐き捨てて帰ろうとすると、
「ちょ、ちょっと待ってて」と慌てる彼。
それから待つ事5分・・・。
何でそんなに時間がかかるんだよ・・っと思いつつ玄関前で彼を待った。
そして突然ドアが開いたかと思ったら、ドアにはチェーンがかかったまま・・・・。
そのドアのわずかな隙間から「急にどうしたの!?」と繕った笑顔の彼が言った。

明らかに不審な行動だって事、自分で気付かないのかしら?と思いつつ、
「近くに来たから寄ってみただけ。忙しいみたいだから帰るね」と言うと
「え!?もう帰るの!?」と、心にもないお言葉!
じゃぁ入ってもいいのかよ?と大声で怒鳴ろうとしたら・・・。
ドアの狭い隙間から趣味の悪い女物のブーツが見えた。やっぱりなぁ~。


その日の彼は挙動不審だった。しかも、玄関には趣味の悪い女物のブーツ。
まぁ、確実に女だとは思ってた。けど、本当に呆れる。詰めが甘すぎるんだよ!!
部屋にも入れてくれないんだから、「もう、帰るの?」なんてお愛想はたくさんよ。
「本当に帰るから。じゃぁね」っと言って車に乗り込んだ。
すると速効で彼からの電話がなり、またしても、巧妙な言い訳が始まった。
どれどれ、今回はどんな言い訳かなぁ~・・・・話だけは聞くことにした。
「すみません。今女性が二人部屋にいたんだけど、俺の友達も部屋に居て、四人で部屋飲みをして、そのままみんな雑魚寝しちゃって」ということらしい。
なるほど、馬鹿な女ならなんとか騙されそうな言い訳だ。
しかし、嘘ばればれで、怒る気もしない。
「わかった・・・」と納得した振りして、電話を切った。

その夜、色々考えた。
浮気してる彼を認めるつもりはないけれど、仕事の忙しさにかまけて、彼をほったらかしにしていた私にも非がある。彼も淋しかったんだと思う。
今までずっと一緒に居て、彼を見てきたのにそんな淋しがり屋な部分を忘れていた自分がちょっと情け無く思えた。
前に一度、女性が部屋に来た時も結局、何もとがめる事なくそのまま受け流した。

もし、自分だったら・・・、浮気をしたのに彼がやきもちも焼かないし、怒りもしなかったら・・
たぶん悲しい。
そんな思いから、またしても私は彼を許した。しかし・・・・それがいけなかった。
「浮気はもうしません!」と約束したのに・・・
結局、彼はまた浮気をして、挙句の果てにその女に彼を奪われてしまった。
でも、別にあんまり悔しくはなかった。
だって、もっと好きな彼ができたんだもの。

「バレンタインに女の子からチョコを贈って「告白」・・・なんて、10代で卒業さ。」

「バレンタインは、所詮イベント、「恋のお祭り」・・・期待なんかしちゃ駄目よ!」

と、去年までクールに言い切ってた先輩が、この春、晴れて結婚することになった。

それは、おめでたいのだが・・・、そのきっかけが、去年のバレンタインだったらしい。

そりゃないだろう!所詮イベント、期待するな・・・

と言ってたのに、先輩は嘘つきだ、と詰め寄ったら・・・

「義理rチョコ」を配っただけで、「告白」なんかしていない。と返された。

「義理チョコ」が何で結婚につながるんですか?と、たずねると・・・

先輩の「義理」にも色々事情があったらしい。

なんでも・・・遊び仲間の男達に借りがあって、その借りをバレンタインに手作りチョコで返せとリクエストされたそうだ。

そもそも、先輩は料理が苦手なのだが、料理上手の男達になじられて、

苦し紛れに「私、スィーツだけは自信がある。」と見栄をはった。

それならバレンタインの「義理チョコ」を手作りでよこせと仲良しの男達からせがまれた。

その中に結婚のお相手がいて、そのレシピを彼にそっと教わったそうだ。


一生懸命、一心不乱に作ったが、・・・なにせ初の試み。

悪戦苦闘の末、出来上がったチョコは、どうみても「泥団子」・・・。

バレンタインの翌日、彼女のもとに届いたメールには、彼らからの苦情ばかり。

「あの泥団子は、嫌がらせか!」とか、「チョコレートには、こんな不味いものがあるのですね」

とか、「来月、復讐してやる」てな、脅迫文まであった。

それでも、彼だけは「チョコ本来の味があって美味しかった」と言ってくれたらしい。


そして、先輩はホワイトデーに、彼からの「お返し」に「落とされた」そうだ。

聞けば・・・・彼は本当に料理上手らしく、彼が手作りしたボール一杯分のプリンに面食らった。まず最初にそのプリンが、べらぼうに美味かったそうだ。

そして、そのプリンの中から、まさか指輪が出てくるとは思いもしなかったらしい。

尊敬するクールな先輩は、プリンと指輪で、あっけなく落ちた。と笑顔で言った。

ハイ、ご馳走様でした!

《バレンタインの泥団子》 その2


幸せな先輩はともかく、今年のバレンタインは、本当に悩んだ。

もう2年も付き合っている彼はいるけれど、あの事件から「冷戦中」・・・。

あの事件というのは・・・・、年末年始、彼の仕事も忙しく慌しいさなかで、

私も気を使って、電話やメールも控え、出来るだけワガママを言わないようにしていた。

だけど「忙しい、忙しい」と言いながら、先月、知らない女の子とツーショットで飲んでた、

と友達が教えてくれた。

「どういうことなのよ?」ぶちきれて責めたら、

「お前が連絡もくれないからだ!」と逆切れされた・・・。

それから電話もくれない・・・。メールもない・・・。

バレンタインが、仲直りのきっかけにもなるかも・・・とは思うが、どうも釈然としない。

私は悪くない。でも・・・・腐っても彼は、「私の彼」。

そこで私はひらめいた!

先輩の「泥団子」をヒントに、わざと苦くて不味いチョコでリベンジしてやろうと決めた。

チョコにショウガやら唐辛子やらをぶち込んでみた。

味見してみたが・・・かなりの力作だ。

これはもう、ほとんど嫌がらせだと、思わずほくそえんだ。


バレンタインだから・・・と言い訳しながら、久々に彼に会った。

渾身の「泥団子」をそっと渡したら・・・・、嬉しそうに受け取って早速一口食べた。

「やった!ざまあみろ!!」と心で呟いたが・・・驚いたことに「美味しい」と一言。

こんなに「凄い泥団子チョコ」なのに、あっという間に全部食べてくれた。・・・・

腐っても彼は、やっぱり「私の彼」だ。思わず惚れ直した。

その時、料理が苦手な先輩の幸せそうな笑顔が、頭をよぎった。

次は、私の番かな・・・・・。

《チーズ好きの税理士のバレンタイン》 その1



チーズ好きな税理士の彼が、生涯でバレンタインにチョコレートを貰ったのは、10回。

最初にチョコを貰ったのは、高校受験を控えた中学3年の時だった。

自転車置き場に止めてあった自転車のかごに板チョコが一枚だけ入っていた。

板チョコの下にメモ用紙が一枚。「受験勉強頑張って下さい」と一行だけで、

名前も何も書いてなかった。それでも、初めて貰ったチョコレートに、心がときめいた。

「誰だろう? どんな女の子だろう?」 様々に妄想は膨らんだが、ついに犯人は分からなかった。彼は、この初めてのバレンタイン体験を、

後に「バレンタイン、板チョコ投げ入れ事件」と名づけた。


2回目と3回目は、高校時代。部員が少なく、むりやり引っ張り込まれた演劇部だったが、

演劇の魅力にとりつかれ、思いがけず夢中になった。

その演劇部の後輩から生まれて初めて告白された。

自分には不釣合いなほどに、成績優秀で、美形の後輩だった。

高校3年のバレンタインデーに初めて女の子とキスをした。

彼の人生で一番輝いていた頃だ。

がしかし、運命とは非常なもので、その年の大学受験にことごとく失敗し、

一浪の末、彼が合格したのは三流私立大学・・・。

方や一年後輩の彼女は、現役で一流国立大学・・・。

その後は当然のように、格差社会の現実の中で、二人は疎遠になった。

《チーズ好きの税理士のバレンタイン》 その2



チーズ好きの税理士の彼が、青春時代に貰ったチョコは、通算3個。

高校時代に付き合っていた頭の良い一つ年下の彼女は、現役で一流国立大学に入学し、

自分は、一浪の末やっと受かった三流私立大学・・・・。

大学の格が違うだけで当たり前のように、彼女との距離は遠くなった。

その後の大学生活は地味だった。

地方出身の貧乏学生には、都会のバレンタインデーなど無縁だった。

4年間、一度もバレンタインにチョコなど貰ったこともない。

そもそも虫歯が酷くて、チョコなど食べることもなかった。


卒業後、今の会計事務所に入ってからは、6年連続で同僚からありがたい「義理チョコ」を頂いてきた。しかし、その「義理チョコ」も一昨年、所長の都合で廃止された。


バレンタインのチョコには、もう縁がない、と思ってたが・・・・、

なんと今日、思いもかけず宅配便でチョコが届いた。

生涯10個目のバレンタイン・チョコだ!

贈り主は、去年の暮れに業界のパーティで知り合ったベンチャー企業の女社長!

確か・・・独身だと言っていた。久々に胸がときめいた。

パッケージを開くと、ハート型のチョコレートに、メッセージが添えられている。

その女性らしい手書きの文字にもときめいた。が・・・・そこには・・・・

「今月の確定申告、よろしくお願いします。」と、力強い一行があった。

「できる女」は、義理に厚い・・・・。

彼女は現在25歳。明るくさばさばした性格で、男友達は多いのだけど彼氏となるともう2年くらい居ないまま。
彼女が好きになるのはみんな年上ばかり、しかも結構年の離れた人。
同年代はお子様にしか見えなくて最初から恋愛対象にならないのが自分でも悩みの種。
そして今、彼女は自分の気持ちがわからなくなってきているようなのです。
果たして彼女はどんな男たちと付き合ってきたのでしょうか?
そこから見える彼女の恋の癖、みなさんも心当たりないですか??

彼女の初恋は、小学6年生のとき。仲の良かった男の子から、突然告白された。
その頃は好きなんて気持ちはまだよく分からなくて、一緒に居たら楽しいから付き合っていた。
映画を見に行ったりして、なんだかオトナの仲間入りをしたみたいでウキウキした。
でもその子は小学校卒業と同時に大阪へ転校してしまった。
ただ転校を理由に別れることはなくて、手紙も書いたし電話もよくしていた。
相変わらず話は合うし楽しい、でもやっぱり知らない友達の話が多くなるのは自然なことだった。
その子とはもう違う世界にいることを感じ始めた頃、
好きな人ができちゃった、と言われて、普通の友達に戻った。
その別れはあまりにあっさりしていて、この日が来るのは当然な気さえした。
でも中学生の彼女は他の子を好きになることもなかったし、他の子に興味も沸かなかった。
それは一応付き合ってる男の子がいたからなのかもしれないし、色恋沙汰に元から興味がなかっただけなのかもしれない。
事実、周りにいる同年代の女の子は流行りの恋愛マンガを読んで夢みたいな恋を追いかけていたけど、彼女はそういうのがあまり好きではなかった。
その頃から冷めた子供だったのかも、と彼女は苦笑いを浮かべながら言った。


彼女の二回目の恋は中学3年生の夏、突然訪れた。
彼女の父は家具の彫刻を仕事としている、いわゆる職人で、家には住み込みで働く弟子みたいな人が何人か居た。
その弟子の一人が彼だった。
8歳も年上の彼は、彼女の勉強をよくみてくれ、もちろんすごく可愛がってくれた。
彼女は自分が彼の大人の魅力というやつに憧れ、惹かれていくのが分かった。
子ども扱いされるのは嫌で仕方なかったけど、ただ気にかけてくれるだけで嬉しかった。
高校生になった彼女は、急にオトナっぽくなった。
妹みたいに可愛がられるだけじゃもう我慢できなくて、彼に告白した。
彼は最初驚いて戸惑った顔をしたけれど、いいよと笑ってくれた。
家族には内緒の付き合い、ドラマみたいな恋だと思ってドキドキした。
8歳の年の差は彼女にたくさんのものを与えてくれて、彼女の悩みはほとんど彼の言葉で解決した。
でも今考えてみれば、彼は彼女に甘えられなかったし彼女は彼女で彼に釣り合うオトナの女になりたくて背伸びばかりしていた。
そんな2人に別れは突然やってきた。
彼が修行のため、イタリアへ行くことになったのだ。
最後の最後までドラマみたい、と彼女は思った。別れる必要はないと思った。
けれど彼は別れを切り出した。
ここで別れなきゃ彼女が他の恋をできないから、と言って。
これがオトナの対応、というやつだろうかとその頃の彼女は泣きながら思った。

大学生になった彼女は、勉強とバイトの日々だった。
8歳上の彼氏と別れてから、彼女は他の人は好きになれないだろうと思っていた。

本気で彼が帰ってくるまで待とうと考えていた。
だからむやみに恋を探すこともしなかったし、大体恋愛には少し疲れてしまっていた。
そんな中、バイト先で妙に気になる先輩に出会った。
その先輩は、面白くていい人だし仕事もできた。
でも、いかにも軟派な感じで喋り方も軽くて、全然好きなタイプじゃなかった。
そんな先輩だったけど、メールをしたら意外と真面目なところもみえてきた。
遊びに誘われて、その帰り道、案の定・・・というかびっくりするくらい普通に告白されて、
しかも、ホント口がうまいから、自分でもほとんど知らない間にオッケーしていて、なだれ込むように付き合いが始まった。

彼は面白かったし、話は真面目に聞いてくれるし、一緒に悩んでくれる優しい男だった。
けれど彼の優しさを彼女は永遠に続くものだと勘違いしてしまった。
彼女は彼を甘えさせてあげられなかった。というかそういうことが思いつかなかった。
そんな関係が必要な付き合いをしたことがなかったから。
彼は愛されてる実感が無いから別れたいと泣きながら言って、目の前から居なくなった。
彼が居なくなって彼女は初めて彼からもらった愛の大きさを知って、胸が苦しくなった。

彼女が付き合ってきた3人の男たち。どう思いますか?
普通の恋といえるのは最後だけだね、と彼女は当時を振り返って言います。
彼女はどうやら甘えるのも甘えさせることも苦手なよう。
束縛されるのもするのも嫌だし、いつでも強くいたい、大人でいたいと思ってしまう癖があるみたいです。
まぁ、本人が気づいているかは分かりませんが。
そんな彼女、今は会社の後輩から猛アタックを受けているのです。

初めての年下の彼氏、なんてことになるんでしょうか?
私は年下の男…意外といけると思うんだけど。
新境地開拓、って感じで、ね。
とりあえずその彼が彼女のお眼鏡にかなうことを祈ってみることにします。
あなたの周りにも潜在的に年上の男ばっかり追いかけてしまう人、居ませんか?
たまには目線を変えてみると、新しい自分が見つかるかもしれませんよ。
そしてステキな恋も…