《彼と彼女の「それから」》(2008/9/25 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

昨年10月からお楽しみ頂いております【わけ:あり】ナイト・クルーザーですが、
残念ながら今日の放送を締めくくりに、一旦お休みする事になりました。
この一年間、この番組をお聴き頂き、本当にありがとうございました。
さて、【わけ:あり】第一幕の最終回、今日はこれまでご紹介した様々な彼と彼女のその後のお話をご紹介してまいります。


父の影響で、幼い頃からラグビーに親しんできた彼女は、いわゆる「ラグビー」オタクだった。
高校時代もラグビー部のマネージャーをしていたが、今も地元の草ラグビーチームのマネージャーをしている。
たまたま、練習試合で対戦した相手チームのエースである彼に一目惚れした。

彼は、高校時代に花園経験があり、県の選抜メンバーにも選ばれた一流プレーヤーだ。
その彼が、ラグビーの名門大学を卒業後、家業を継ぐため地元に帰り、彼女のチームよりも格上のクラブチームに所属していた。

そんな二人は、今年の県大会終了後、二人だけの祝勝会で恋仲になった。
両方の親も公認で、週末はいつも二人一緒に過ごした。
だけど、日曜日は朝からグランドで練習なので、二人だけの時間は日曜日の午後だけ。
それでも、グランドを走り回る彼の姿を見ているだけで、彼女は幸せだった。
最近は、彼のチームと彼女のチームが合同で練習する事が多くなったので、今や彼女は、両チームのマネージャーのような存在になっていた。
それがきっかけという訳ではないが、この頃、両チームの合併が考えられている。

伝統ある競技ではあるが、最近両チームともメンバー不足が悩みの種になっていた。
サッカー人気に押され、この頃はラグビーを志す者が少ないためだ。
日曜日の朝の練習には、両チームあわせて20人足らずのメンバーしか集まらない。
ラグビーは1チーム15人のスポーツなのに、2チームで20人じゃ、話にならない。
メンバーの中には、彼と彼女を結婚させて、ついでにチームも結婚しよう・・・
などと冗談みたいな事を本気で考えてる連中もいる。

チームはともかく、ラグビーで結ばれた二人には、そろそろノーサイドのホイッスルよりもウエディング・ベルを鳴らして欲しいものだ。


彼女は、一人が怖い「淋しがり屋」の28歳。「ほっとけない」タイプの可愛い女。
仕事は、今も中堅の会計事務所で税理士をしている。
彼女には、地元でも評判の飲食店を2軒経営する34歳の彼がいたが、今年の春、忙しい彼と会えない寂しさからベンチャー企業の青年社長と関係を持った。
しかし、あろうことか彼ら二人は、同級生で友達だった。
二股を掛けた事がばれて、うろたえた彼女は、その場を逃げるしかなかった。
がしかし・・・・逃げおおせるはずもなく・・・・二人から「チャンと訳を話せ!」と叱られた。

3人で話すのだけは、どうしても避けたかったので、別々に会って話す事にした。
最初に、本命である飲食店経営の彼の店に行き、素直に事の経緯を話し謝った。
「だって、貴方が忙しくて、私の相手してくれなかったじゃない・・・・。」
最後は、いつもどおり泣いて誤魔化した。
「あっちの彼には、私から謝って終わりにするから許して・・・・」
涙声で話す彼女に、彼はいつもの事と呆れたが、許すしかなかった。

それから、ベンチャーの青年社長と会って、言い訳した。
「けして彼がいる事を隠してたわけじゃないの。彼とは腐れ縁なの・・・。」
「向こうの彼とは、いずれ別れるから・・・・時間を頂戴。」
と、いけしゃーしゃーと言ってのけたらしい。

結局、飲食店経営の彼は、彼女が犯した友人との一夜の過ちを許す事になり。
ベンチャーの青年社長は、友人と彼女が決着をつけるまで、
彼女と「付き合いながら」その時を待つ事になった。
彼女の二股は継続され、なんとも彼女にだけ都合の良い結果となった。


以前「ずるい女」のお話をしたが、こちらの彼女の方こそ、計算高くその上本当にずるい。
なんと言っても、一度しくじった経験から、彼女は二人の行動パターンをデータにして、絶対に鉢合わせしないデートの段取りを組んでいるという。
果たして、彼女は今後どちらの男性を選ぶのだろう?
もしかして、次は別の男かぁ~!?
彼と彼女は、高校の同級生だった。
彼女は、高校時代からバレーボールに熱中し、
就職してからも社会人チームで活躍している。
そんな彼女の彼氏は、ミュージシャン。
大学時代に受けたコンテストで、バンドは落選したが、レコード会社から彼だけに声がかかり、一大決心の末、東京に出て音楽修行をしていた。

彼女は二人で黙って海を見ているのが好きだったから、
彼が、東京に出るまで、週末には二人でよく海に出掛けた。
今は、ときどき彼女一人で海に行く。まるで彼に会いに行くように・・・・。
そんな彼女の元に、先日彼から一枚のCDが届けられた。
東京に出てから彼がこつこつと作り続けたオリジナル曲をまとめたCDだった。
彼らしい言葉で綴られた素敵な曲ばかりだった。
その一曲、一曲に懐かしい彼と見知らぬ彼が息づいていると感じた。
きっと彼は東京で懸命に生きているんだな・・・と切ないほどに心にしみた。

彼は、東京に出てからアルバイト生活をしながら、ディレクターの指導で、様々なミュージシャンと交流を重ね、オリジナル曲を書き溜めてきた。
最近は、ライヴハウスの定期的なギグで2~3曲歌わせてもらえるようにもなった。
次第に彼のステージにも客が増えていた。

つい先日、レコード会社のディレクターから電話があった。
「いよいよお前のデビューが決まった!」その言葉に彼は震えた。
真っ先に彼女に電話した。しかし・・・呼んではいるが、彼女は電話に出ない。

それもそのはず・・・
彼女は、電話を車に残し、その日も一人で浜辺を歩いていた。
まるで彼と一緒に歩いているように・・・・ゆっくりと・・・・。


彼と彼女は、コンピュータ関係の会社の同僚だった。
しかし彼は、もっと人間らしく自然とともに暮らしたいと決意して
2年前に会社を辞めて、お爺さんが一人で暮らす田舎で農業を始めた。
都会に残された彼女は、そんな彼に付いて行けず、一度は別れを考えたが、
今年の春、彼女も会社を辞めて、彼の元へやってきた。
退職金で買った赤いワゴンに家財道具を詰め込んで、
彼女は彼と一緒に田舎で農業を営む決心をした。

彼女にとって、初めての試練は、春の農作業だった。
機械化が進んでいるとはいえ、田植えや畑の種蒔きなど、
人がする手作業は沢山ある。その上、炊事洗濯など彼女も朝から晩まで働いた。
OL時代の3倍は働いていると思う。それでも彼女は、心からの充足感を味わっていた。
彼が言ったとおり、自然の中で自然にしたがって暮らすことの喜びが少しずつ分かってきた。

忙しい毎日とはいえ、雨の日は農作業はほとんど出来ないので、
二人で本を読んだり、大工仕事をしたり、新しい料理を作ったり・・・・愛し合ったり・・・・。
それに、夏の間はこれといった大変な農作業もないので、
8月には、近所の青年団の仲間と1週間も海でキャンプした。

この頃は、稲刈り前の下準備で、草刈作業が主な仕事だ。
最初は、草刈機の扱いが分からず苦労したが、最近では彼の手も離れ、
彼女も一人前に草刈が出来るようになった。
あれほど嫌いだった虫やヘビも見慣れたせいか、最近ではそれほど怖くない。
「住めば都」とはよく言ったもので、お祖父さんと3人で暮らすこの家が「我が家」だと実感できるようにもなった。

そして、実りの秋を前に、つい先日、彼女が妊娠している事が分かった。
彼とお爺さんは、飛び上がる勢いで喜んだ。
おめでとう。
新しい道を拓いた二人に、神々の祝福がありますように・・・・。


そして、ラジオの前の彼と彼女にも、幸福な日々が訪れますように・・・・。
《彼女のタイプは痩せ型・妻子持ち》(2008/9/11 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

独身女性なのに、何故か妻子ある男性に魅かれる・・・・という
ちょっと偏った女子って、案外多いらしいんですよね。
特に「出来る女」は、仕事も忙しく、なかなか出会いの機会が少ない・・・
ということで、どうしても職場恋愛に陥りがち・・。
職場で、しかも妻子ある男性と恋愛・・・・って、それかなりヤバクナイ?


彼女は33歳、団体職員。容姿端麗で高学歴、職場では「出来る女」ともっぱらの評判。
2年前までは、実家から地元の職場に通っていたのだが、今は国道沿いの閑静な住宅街に一軒家を借りている。
それというのも、昨今の自治体や団体の合併、統合の流れで、彼女が勤める団体も近隣の団体と合併統合し、できる女と評判の彼女は、当然のように本部に勤務する事になった。

一人暮らしをするのは、学生の頃以来で何かと不自由だったが、口うるさい両親から解放され、ある意味、ようやく自立した自分を実感できた。
今回の合併統合は、時代の流れだが、しかし裏には「リストラ」の意味も含んでいた。
元の職場からも何人かの退職者が出た。その中には昔好きだった人もいた・・・・。
別の町で居酒屋を始めたと聞いたけど・・・・どうしているんだろう・・・・。
一人でいるときに、ふっと彼の事を思い出すこともあった。

彼女が惚れる男のタイプは、ずばり「痩せ型」の男。
自分でも理由は分からないが、何故か好きになる男はみんな「痩せ型」だった。
そして、今務めてる部署の隣の席にも「痩せ型」の男性職員が座ってる。
しかし、彼は昨年結婚したばかりの男性で、半年前に子供が生れたと聞いた。
いくらなんでも、そんな男は恋愛の対象にはならない・・・・と思ってた。

高い能力を認められて本部勤務になった彼女と同様に、隣の席の男性も、別の団体から高く評価され、本部勤務になったらしい。
なるほど、要領も良く、読みも深く、話が早い・・・。
仕事のパートナーとしては、申し分ない。
だから・・・最近は職場以外でも一緒にいる時間が長くなった。
でも、彼は妻子持ち。けして恋愛対象じゃない!
そう考えれば考えるほど、逆に彼女の心は彼に傾いていった。
新しい職場で隣の席に座る彼は、かなり仕事が出来た。
だから有能な彼女のパートナーとしては申し分なかなった。
年齢も34歳と、彼女の一つ上。だから仕事以外の趣味や話題も違和感がなかった。
しかし、彼は去年結婚し、半年前に子供が生れたばかり・・・・
「彼にだけは惚れちゃ駄目!」と自分に言い聞かせるのだが・・・
逆に恋心は膨らむばかりだった。

合併間もない団体本部の仕事は、多忙を極めていた。
お盆明けの金曜日、月曜日までに仕上げなければいけない仕事が、無能な上司の指示ミスで、大幅な修正をしなければいけなくなった。
彼女や彼も、その後始末で金曜日だというのに、深夜まで職場で仕事に追われた。
ようやく一段落ついたのは、午前2時・・・・。
彼女が帰りのタクシーを呼ぼうとすると、彼が送ってくれるという。
彼は軽い気持ちで言ってくれたのだろうが、彼女は内心かなりときめいた。
残業の帰りとはいえ、こんな時間に彼の車に二人きり・・・
ぼんやりと彼の横顔を見つめていたら、あっという間に彼女の家に着いた。

「もっと彼の横顔を見ていたい」
「このままもう少し彼と一緒にいたい」
彼女は、どうしようもなく高まる感情を懸命に押さえ込もうとした。
けれど・・・「今日はホントにお疲れ様」という彼の笑顔で、彼女の衝動に火がついた!
家の前に到着した車の中で、彼女は思わず彼に抱きついてキスをした。
最初は驚いた彼も、何かが弾けたように荒々しく彼女を抱きしめた。
二人はその日、夜が明けるまで激しく求め合った。

それから二人の危うい恋が始まった・・・・・。
彼女は、大学を卒業後すぐに、合併前のこの団体に就職した。
容姿端麗で高学歴の彼女は、20代の頃からスキルが高く、仕事が出来た。
就職後、まもなく花形部署へ配属された。20代前半の女性には異例のことだった。
その部署の有能な上司からも評価が高く可愛がられた。
その上司は、弁舌爽やかな50代の紳士で、人望も厚く、部下にも慕われていた。
年齢の割りに痩せていて、見るからにスマートなおじ様・・・という感じ。

痒いところに手が届く・・・・、そんな彼女の仕事振りが気に入られ、彼は、仕事先だけでなく、地元のお歴々が集まる様々な会合にも彼女を連れて行った。
容姿端麗で快活な彼女は、当然のように地元のお歴々からも可愛がられた。
そんな会合に同席するたび、地元の有力者達からも一目置かれる上司を頼もしく感じた。
「やっぱり、出来る男は素敵・・・・」
そんなふうに20代の彼女は、50代の彼に憧れていた。
その時は、いくら憧れの人とはいえ、
父親ほどの年の人を好きになるなんて・・・ありえない。そう思っていた。

仕事にも慣れ、彼女の評価が更に高まると、彼が担当する大切な交渉ごとにも付き添った。
ある日、上司である彼と部署の仲間の4人で北海道に出張した。
彼の交渉のお陰で、円満に話もまとまり、相手先から手厚い接待を受けた。
宿泊先までのタクシーの中で、ほろ酔いの彼がふざけ半分で彼女の手を握った。
その手の感触で電流が走った。抑えていた彼女の恋心に火がついた。

その夜、彼女の方から彼を誘い、二人は禁断の恋に落ちた。
彼の奥さんにバレルまでの5年間、20代の彼女と50代の彼の関係は続いた。
しかし、二人の関係が明るみに出るとあっという間に噂は広まり、彼女よりも50代の彼の方が大きなダメージを受けた。
その後、彼は閑職に回され、そしてついに・・・・この合併統合でリストラされた。

そして今、統合で本部に配属された彼女は、またしても危うい恋に激しく落ちていった。
あの残業の夜から、彼女は、配属された部署の隣の席に座る彼と道ならぬ恋に落ちた。
彼は、昨年結婚し半年前に子供が生れたばかり・・・・。
いけない恋だと知ってはいるが、走り出した想いは止める事が出来ない。
週に一度、彼は仕事帰りに彼女の家を訪れ、その度二人は激しく求め合った。
そして、深夜に飲み会帰りを装うように運転代行で帰っていった。

そんな関係が半年ほど続いた頃・・・・・
いつものように隣の席の彼と普段どおりテキパキと仕事をしているところに、
若い主婦らしい見知らぬ女性が職場にやってきた。
「この人何のご用かしら?」と彼女は異様な雰囲気に戸惑った。
しかし、慌てたのは隣の席の彼だった。
なんとその女性は、彼の奥さんだった。

「貴方の浮気相手って、この人でしょう!」
フロア中に聞こえるような大声で、あたりをはばからず彼の奥さんは怒鳴り散らした。
彼女は、頭から冷や水を浴びせられたように、一瞬にして凍りついた。
まぁ、それからがまさに修羅場!前代未聞の珍事・・・・。
慌てて職場の上司が間に入り、場所を代えての話し合いになったが、彼女は放心状態で、彼の奥さんの要求にただうなずくばかりだったという。

その後、彼は季節外れの人事異動で、予想外の部署に左遷されたが、彼女は、相変わらず本部に居座っている。
彼女に関ったばっかりに、彼は思わぬ不運に見舞われたのか・・・・
以前不倫関係だった年上の上司も悲惨だったが、今回もまた可哀そうな事になった。

しかし彼女は、どうして痩せ型の妻子持ちばかり好きになるんだろう。
容姿端麗で高学歴な「出来る女」でも、こと恋愛に関しては、成就できない「道ならぬ恋」ばかり・・・・・とは、なんとも切ない・・・。
《許されない愛の十字架》(2008/9/4 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

様々な「わけあり」な愛の形をご紹介している番組ですが、今日は、ちょっと大人な二人のお話です。
道ならぬ恋、とか・・・愛し合っているのにひきさかれた二人・・・だとか・・・
世の中には、悲しい恋の物語も沢山ありますが、今夜の二人は、許されない愛の十字架を背負ってしまったとか・・・
さて、どんなお話なんでしょう。


僕はその頃、飲食店チェーンの営業マンだった。
時はまさにバブルの時代で、毎日がお祭りのような盛り上がりだった。
今みたいに石油価格が高騰するなんて、その頃は思いもしなかった。
だから平気で燃費の悪い高級外車を乗り回してた。
普通のOLさん達でも、高価でゴージャスなブランド品で身を固め夜毎、ディスコやナイトクラブに集まっていた。
僕らといえば、毎日仕事終わりに馴染みのディスコでそんな女の子達を漁るまさに「けだものの」の一味だった。

「けだもの」と言っても、カッコよくあるためには、ある意味ブランドが必要で、僕らはそのディスコで、年に数回のパーティを主催し、その組織の名前でナンパした。
数年前に、集団暴行事件で逮捕された大学のOBみたいな事を普通にやっていた。
思えば、ホント酷い奴らだった。

ちょっと背伸びした若い女の子が、僕らに近づけば…
あっという間に、仲間の餌食になった。もちろん僕もその一味だった。
でもけして違法な行為ではない。
彼女達が僕等のナンパに応じたんだから・・・合意の上の事。
とはいえ・・・、集団で妙な組織を作り、それを餌にナンパする・・・なんて
最低の男達だよね。今は、本当に反省してる。

でも、そんな時に僕は、生涯で最高の彼女に出会ったんだ。
最初は、僕と同じで、掃き溜めの「同じアナのムジナ」だと思ったけど・・・・
実は、彼女こそが、僕の「約束の人」だった。
彼女と出逢ったのは、今から15年前。
今流行のキャバクラみたいな店だった。
身長はそれほど高くは無いが、物凄くセクシーなスタイルで、ルックスも女優系。
僕は一発で、彼女に惚れた。
しかし、夜の店で働く女の子は、それなりに「わけあり」で、
きっと彼女も「海千、山千」。かなりしたたかな女なんだろう・・・と勝手に警戒してた。
一緒に飲みながら、仲良くはなったけど、どうも今一歩踏み出せずにいた。

ある日、大きな仕事が終わって一段落した夜、打ち上げもかねて後輩達と彼女の店で飲んだ。
飲んだ勢いで、ストッキング破りゲームとか、王様とか、バブルならではの遊びで盛り上がった。
僕の標的は彼女だったが、彼女はそれを察しているように、酔っ払いの僕の無理難題に笑って応じてくれた。
その夜限りの遊びだと思い、僕は酔った勢いで最低の男に徹した。
彼女は、夜の商売のプロだと信じてたので、すき放題を許してくれると思ってた。
・・・・・

数日後、仕事で大手の取引先に呼ばれ、会議室で打合せに挑んだ。
かなり大きな仕事で、僕も緊張していた。そこに、取引先のOLさんがお茶を持ってきた。
ただうつむく僕の耳元に、「頑張って・・・」と、そのOLがささやいた。
思わず顔を上げてみると・・・・そのOLは、昨夜の彼女だった。
「まさか・・・・」

ドアを閉める間際に、彼女が見せた怪しい笑顔を、今も僕は忘れたれられない。
彼女が、大手の取引先のOLだと知ってから、僕は彼女が夜のアルバイトしている店には、行かなくなった。
そりゃ、やっぱり行きずらい・・・・。
すると彼女の方から電話が入った。
気にしなくていいから、店に着て欲しい・・・と言う。
まぁ営業的な意味もあるんだろう・・・と最初は思ってた。

「来月、私の誕生日なの・・・」と聞かされて、とりあえず誕生日のお祝いでもして、そこでこれまでの事を「チャラ」にしてもらおうと目論んでた。

その頃のOLさん達が誕生日のプレゼントで喜んでくれるのは、やっぱりブランド物の小物だろうと読んで、いわゆるLVの財布を用意してイタリアンなディナーで、誠実にこれまでの不良行為を詫びた。
しかし、意外にも彼女は、これまでの僕等のあの破廉恥な行為には驚くほど寛大で、僕の差し出した誕生日プレゼントの方が驚きだったらしい。
彼女にしてみれば、軽い気持ちで言った誕生日の事を、まさま、僕が覚えていて、かなり奮発したプレゼントを用意して、しまもイタリアン・・・。
そんな、微妙なニュアンスの違いがあったけど、お互いに嬉しい誤算のお陰で二人の距離は、急速に近づいた。

仕事柄、僕は結構接待や仲間内で夜の街に切り出す機会も多かった。
そんな店でバイトしていた彼女は、その辺の事を考えそろそろ潮時だと感じてた。
だから、彼女の方からバイトを辞めると・・・・切り出した時は正直、ホッとした。
それに、彼女がバイトをしていたのは、けしてバイト料欲しさのためじゃなかった。
その店を任されてた彼女の友達に頼まれて仕方なく手伝っていただけだったから、バイトを辞める事に躊躇は無かった。

それから、僕と彼女の「大人の恋」が始まった。
本気で僕達は、愛し合っていた。
夏の月が、いつも僕達を優しく見守っていてくれた。
僕が37歳、彼女が独身27歳。
多少年の差があって、僕にはバツイチ、子供二人のハンデがあったが、それでも僕達はきっと大丈夫だと、確信していた。・・・・僕は・・・・。
しかし、彼女は僕に大事な事を・・・・隠していた。というか・・・話しそびれていた。
実は・・・・・その頃、彼女には、結婚を約束した男がいた。
銀行員だと言う・・・・。

ある日、彼女が改まって僕に言った。
「あの日、貴方と恋に落ちた。貴方を愛してる事に嘘はないけれど・・・
貴方と出会う前に約束した人がいるの・・・・」
「・・・・・・・・」

「私達、どうしてもっと早く出逢えなっかたの・・・・」
彼女は泣きながら、運命を呪ったが・・・・、僕は目の前が真っ暗になって・・・
その後の彼女の言葉を覚えていない。
そして、僕達は、今をむさぼる様に泣きながら抱き合った。
彼女の婚約者の事など、その時の僕にはどうでも良かった。

しかし・・・・現実は非常なもので・・・
その年の秋、彼女はホントに銀行員と結婚した。
僕は、もう幸せなど夢見ないと誓った。

しかし・・・
彼女が結婚してから一ヵ月後の夜、ピンポン・・・部屋のチャイムが鳴った。
ドアを開けると、そこに幸せな結婚をしたはずの彼女がいた。
「旦那さんは、勤務先が遠いんで単身なの・・・、だから・・・・」

そして、僕達は今、彼女が独身時代と同じように、むさぼるように愛し合ってる。
彼女の旦那さんに、後ろめたい気持ちはもちろん、ある。
こんな事は、きっと間違っていると思う。
道徳的にも、法律にも反する行為だと思う。
だけど・・・・僕は・・・僕達は、本当に愛し合っているんだ。

彼女が言ったあの日の言葉を思い出す。
「私たちは、どうしてもっと早く出逢えなかったの・・・?」
運命を呪っても仕方がない。
いま僕たちは、この重い十字架を背負って走るしか道はない。
《再会の夏祭り》(2008/8/28 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

今年の夏も、そろそろ終わりの気配。
長期予報では、「暑い夏」と予想されたけど、案外涼しい夏だった気がしてます。
そんな東北の短い夏だったけど、あちこちで様々な恋模様があったでしょうね。
特に各地で繰り広げられた「夏祭り」では、出会いや再会など、
沢山の物語が生まれたようです。今日は、そんな夏祭りでの再会のお話です。


彼女は、地元の商工会に勤める27歳。
学生時代までは、夏休みは長期の泊りがけで、海へ山へと遊びに行ってたけど、
商工会に務めてからここ数年は、まともな夏休みはなし。
お盆休みも、地元恒例の「夏祭り」の準備や裏方仕事に駆り出され、家のお墓参りさえ、ままならない有様だった。
それでも、夏祭りが多くの帰省客でにぎわうと、裏方としてはそれなりに充実感はあった。
夏祭りの沢山の人出を見ると、寂れたこの町のどこにこんなに人がいたんだろう???
と、つくづく感じていた。

彼女が、案内所でぼんやりとそんなことを考えていると、「よう、元気か?」と、聞き覚えのある懐かしい声がした。
見上げるとそこに高校時代の同級生で、片思いだった彼がいた。
彼は、地元を離れて関東の会社に勤めていて、久々に帰省したという。
これから何人かの同級生と一緒に飲むから、後で合流しようと誘われた。
商工会に務めてからは、ときめく出会いなんてなかったから、久しぶりに、しかも突然再会した片思いだった彼に誘われて、彼女のテンションは上がった。

後片付けもそこそこに、同級生が待っている居酒屋に駆けつけた。
懐かしい顔が揃い、昔話に花が咲いた。
酔うほどに、あちこちから「実は・・・」という、あの頃の暴露話に展開していった。
今明かされる10年前の真実・・・・とか言って、かなり盛り上がった。
そこで彼が、思いがけずポツリと言った。
「実は俺、あの頃お前に惚れてたんだよ。」
片思いだった彼からの突然の告白に、彼女は激しく動揺した。
「冗談でしょう!」と笑って誤魔化したが、しかし、内心物凄く嬉しかった。
消えかけた恋心に、再び「ボッ!」と火がついた。

彼は、高校を卒業後、仙台の大学に進み、
その後すぐに就職はせずに、2年ほど海外で放浪の旅をしたと言う。
風の噂で、そこまでは彼女も知っていたが、その放浪の旅で彼が見た様々な話に彼女は思わず聞き入った。
インドとチベットで、事故に巻き込まれ、死ぬかと思ったとか・・・・
ニュージーランドの魅力にとりつかれ、一生ここ暮らそうかと、本気で考えたとか・・・・
でもやっぱり、田舎の長男として生れた以上、どうしても両親のことが心配で、日本に帰ってきたと言う。
今は、実家を離れて関東の会社に勤めているけど、いずれ近いうちに地元に帰るという。

彼女は、その話を聞いて、更に心がときめいた。
高校時代、片思いだった彼が、「実は私の事が好きだった・・・」。
そして、その彼が彼女の側に帰ってくる。それだけで、彼女は気絶しそうなほどに嬉しかった。

でも・・・・
このご時世に、地元に彼のような人材が活かされる会社があるんだろうか?
商工会勤務の彼女だからこそ、そこが急に心配になった。
「帰るといっても、お勤めはどうするの? どこかあてはあるの?」
すると彼は、「実は、一関に12月に開業するちょっと変わった温泉に興味があるんだ。」
「ただの温泉旅館じゃないんだ。エンターテイメントと癒しを提供する温泉なんだ。」
と言う。

「エンターテイメントと癒し・・・・?」
一体どんな温泉なんだろう?
でも、情報通の彼が、そこまで言うからには、相当面白い温泉なんだろうな・・?
彼女は、俄然興味を持った。

高校時代の同級生で、片思いだった彼と、夏祭りの夜に偶然に再会し、仲間達と久々に飲んだ夜。 彼女は、彼の話に引き込まれていた。
旅の話や地元へ帰ってくる話、そして彼が地元で勤めようとしている
新しいスタイルの温泉の話・・・・。
いつまでも、ずっと彼と話していたかった。
酔った勢いもあって、ちょっと大胆に彼女は彼にもたれかかってみた。
すると、彼は自然に彼女を支えてくれた。その感じが凄くしっくりした。

その後、居酒屋で仲間達と別れ、二人は川沿いの道を並んで歩いた。
「実は、あの頃、私も貴方の事が好きだった。私の片思いだと思ってた・・・。」
そういうと彼は、立ち止まり黙って彼女にキスをした。
そして、二人はその夜、10年越しの恋を実らせた。
彼女にようやく幸せの予感が訪れた。

夏休みが終わり、彼も一旦、関東へ帰るというので、ひとまず彼を見送った。
彼が、地元に帰るまでしばし遠距離になるけど・・・これまでの時間を思えば、どうと言う事もなかった。
しかし、恋する女は複雑なもので・・・、距離が近かろうが、遠かろうが、大好きな彼の事をあれやこれやと深読みしてしまう。
「聞き忘れたけど・・・・彼には、付き合っている彼女とかいないんだろうか?」
「彼ほどの男なら、女の一人や二人、いてもおかしくない・・・。」
「もしかして私、ひと夏の遊び相手だったの????」

嗚呼、恋する女は、どうしてもこうも愚かなんだろう・・・。
夏休みが終わり、地元に帰るまでの間、一旦遠距離になった彼からは毎日のようにメールが入った。
もちろん彼女も、毎日彼にメールした。でも、「誰か付き合ってる人いないの?」とはなかなか聞けなかった。
彼女は、ただただ疑心暗鬼の毎日だった。

劇的な再会から一ヵ月後、突然彼からの電話で、明日就職面接があるので帰ると言う。
この一ヶ月、本当に長かった。一ヶ月がこんなに長いと感じた事はなかった。
遠距離恋愛って、こういうものか・・・・彼女はつくづく実感した。

帰ってきた彼は、真っ先に一関の面接試験に向かった。
紳士的な社長は、今年12月に一関に開業するユニークな温泉施設の話を熱く語ってくれた。
365日毎日行われるエンターテイメント・・・・・
これまでの温泉施設のイメージを一新する空間デザイン・・・
彼は、その新しい温泉に「夢がある」と感じた。
社長も、ユニークな経歴の彼を気に入ってくれて、即座に内定が決まった。

その朗報を抱えて、彼は彼女の家にやって来た。
もやもやした気持ちの彼女にはお構いナシに、彼はその温泉の話やこれからの段取りを嬉しそうに彼女に話した。
しかし、どうも彼女の表情が暗いので、「どうしたの?何かあった?」と聞くと「ねぇ、向こうで付き合ってる人とかいないの? 私で大丈夫なの?」
これまで彼に聞きたくても聞けなかった事を思い切って聞いてみた。
すると彼は、
「付き合っている女性がいるのに、別の女性とエッチするなんて・・・
僕が旅した国々では、そんな裏切りは許されないんだよ。」
彼は、笑いながらそういって彼女を抱きしめた。

「さて、就職先も決まった事だし、次は結婚の準備でもするか。」
冗談めかして彼は、彼女の耳元でそうささやいた。
やれやれ・・・どうぞご勝手に!

ところで・・・・一関に12月にオープンするエンターテイメントと癒しの温泉、あれ、本当に出来るんですよ。今から楽しみですね・・・。
《遠距離と二股とエンゲージリング》後編(2008/8/21 エフエム岩手わけ:ありナイトクルーザー ONAIR)

今日は、先週に引き続きラジオをお聞きの方からの恋愛体験談をご紹介します。
彼女は今、30代。20代の頃に運命的な出会いで知り合った彼氏との
紆余曲折を番組に寄せてくれました。
頂いた体験談にもとづき、一部筆を加えてご紹介してまいります。
さて今週は、どんな展開になるのでしょうか?


数年前の大晦日の夜に、運命的に出会った彼と私は婚約したはずだった。
しかし、遠距離恋愛の彼は、毎週車で福島―盛岡間を往復し、いけしゃーしゃーと、私以外の女と二股をかけていた。

私にとっては、恋敵なんだらろうが・・・その女はあっさり片付いた。
『こんな人だったなんて…私は彼と別れます』そう言って彼女は静かに去って行った。

その夜、彼女に散々責められたらしい彼から、観念したように電話があった。
浮気の経緯を一から説明された。
悪びれた様子もない彼。
『1番好きなのはオマエだよ』だって!
さすが、あのブラボーなフタマタ生活をやってのけた男だけある。

さぁて、どうしてやろうか?
いろいろ考えたけど、しばらく彼を泳がせることにした。
だって、ここで騒ぎ立ててフタマタ相手の彼女と同じコトしてどうするの?
同じレベルで騒いで、もしかして彼が彼女を選んだら悔しいじゃない?

いろんな気持ちを押し殺して、あたしは寛容さを装うことにした。
彼女とは対象的な行動。それには勝算があった。
しっかり彼を引き付けて、あとは捨てるも拾うもあたしの自由。
主導権は、私が握っている。確かな手ごたえを感じてた。

覚悟を決め、指輪は引き出しの奥にしまった・・・・
彼はあたしにいろんな「初体験」をさせてくれた人だった。
遠恋、婚約、そして修羅場・・・・彼と付き合って、あたしは随分変わったと思う。
もしくは、あたしが成長するその時期にたまたま傍にいたのが彼だったのかも知れない。

フタマタ事件後、あたしはそれまで勤めた洋服屋を辞め、昔から抱いていた夢に向かって歩き始めていた。

キャンギャルを経てモデル事務所に所属し、テレビの仕事もはじめた。
仕事は面白いようにどんどん決まってく。
新しい世界は初めてづくしで何をしても楽しかった。
しかし彼は、そんなあたしの変化を快く思ってはくれなかった。
急激に変わってくあたしに彼は苛立っていた。

時間が見えない仕事だから約束ができない。約束が有っても急な仕事でキャンセルしちゃう。
彼には理解できなかったみたい。『仕事だから仕方ないでしょ』っていつも思ってた。
自分は浮気してたくせに、こっちは仕事よ?って…
いまになってみれば、あたしにも思いやりが無かったんだと思う。
そうして、当たり前のように、彼はあたしから離れていった。

出会ってから二年・・・・、長く付き合うといろいろある。
浮気性で二股かけた彼、仕事で相手を省みないあたし。
ただでさえ遠い二人の距離は、ますます離れていった。
あの日、病室で泣きながら誓った結婚話は、いつの間にかどっかにいってしまっていた。
残ったのは『二人で使おうね』って買ったテーブルや食器、
そして、引き出しの奥に眠るダイヤのエンゲージリング。

そろそろ潮時かぁ~・・・・
そう思っていたのは彼も一緒だった。あっちが先に別れを切り出してきた。
別れ話なんて生まれて初めて。
確かにそろそろ終わりかな?とは思ってたけど・・・・・、
なんであたしが振られちゃうワケ?分けわかんない!!!

「もう、俺達終わりにしよう・・・・」電話の向こうで彼が寂しく言った。

電話が切れた後、じっとしていられなくてフラリと飲みにでた。
飲まなきゃやってらんないっつーの!!
四合瓶を抱えて道端をウロついてたら、おまわりさんに止められた。
声をかけられたら、途端にふっと何かが弾けたように、もう涙が止まらなくなった。
子供みたいに泣きじゃくるあたしに困り果てたおまわりさん。
仕方なくパトカーにあたしを乗せて警察署へと向かった。

『一人で帰れる?』おまわりさんの言葉に泣きながらブンブン首を横に振るあたし。
『誰か迎えに来てもらおうか?』と言われ、とっさに彼の電話番号を告げた。

呆れながらも彼が迎えにきてくれるかもしれない…
『何やってんだよ。馬鹿野郎・・・』なんて言いながらも心配してくれるかも・・・・
なんて、淡い期待を抱いていた。
が、しかし、現実はそんなに甘くなかった。
彼は、警察からの電話に、『そんな女、知りません』の一言で電話を切った。
あたしは彼の怒りに油をそそいだようだ・・・・・。

家に帰って部屋に一人。酔ってはいたけど眠れるわけが無かった。
どこで私たちは道を間違えたの?あの浮気事件さえ無ければ・・・・なんて風にも考えた。
その夜、警察に連行された事でさえ、彼のせいだと思えた。
思い付くだけ彼への悪態を並べた後・・・あたしは放心状態になった。
なんか・・・空になった感じ。もう涙は出なかった。
気持ちは驚く程落ち着いていた。
全て捨て去って何も無い世界。「色即是空」という仏教的な境地だった。

そして、私はその日、彼に手紙を書いた。彼への想いを素直に書いた。
あたしは自分勝手で、彼の事を思ってあげられなかった。
あたしにも苦悩があったように彼にだって苦悩があったはず。
あたしはそれを見ようともしなかった・・・・だからこの結果は仕方ないね。
甘んじて受け止めようと思う。ごめんね。
そんなふうに真っ直ぐな想いを込めて、あたしは彼への手紙を、夕暮れのポストに投函した。
私が、本当の気持ちをこめた手紙を出して数日後、手紙を読んだ彼から電話がきた。
彼は『やり直そう』と言う・・・・呆れるほど、単純なヤツだ・・・・
彼を嫌いになったわけじゃなかった。愛していたとも想う。
浮気事件で、意地を張ってるワケでもなかった。
ただ…あたしの心が平になっていただけだ。
もう、あたしは彼と別れたんだ。だらか、あの手紙を書いた。それを分って欲しかった・・・。

紅葉も散り、小雪がちらつく季節がやってきた。
私の仕事は順調だった。年末年始に向けてのハードな日々が続いていた・・・
彼を思い出す暇も無かった。
気付いたらクリスマスイブ。その日も遅くまで仕事をしていた。
家に帰ると間もなく、思いもかけない「別れた彼」からの電話。
『近くに居るから少し会えないか』って…ちょっと躊躇したけど、結局会うことにした。

迎えに来た彼の車に乗り込むと、リボンの付いた大きな箱を渡された。
促されて開けてみると、あたしが欲しかったコートが・・・・
別れた男にこんなもの貰っていーんだろうか・・・・?あたしはコートを見つめながら固まった。
『あげたからヨリ戻せ、なんて言わないから大丈夫だよ』
彼はあたしの心を読んだかのように言った。

プレゼントを受け止り、他愛もない会話をして、そろそろという空気が流れはじめた時、
彼がおもむろにあたしの手を掴んだ。
『やり直せないか…?』
いや~ん!!やっぱりそんな話?あたしはもう一度貰ったコートを見つめる…
断ったらやっぱりコレ置いて帰らなきゃだよ…ね…?
次の瞬間、あたしは彼に抱き寄せられてた。 あー、久々の感触!
プレゼントに負けたのか?ぬくもりに負けたのか?
・・・・・・よくわからないけど、あたしは久々に彼にオチてしまった。

クリスマスイブ・・・・・、また彼が戻ってきた・・・・
とはいえ、やっぱり前のようにはいかない。
結局、彼とは春を待たずに別れた・・・
最後は二人で大泣きして別れた。『大好きだったよ』って抱き合って泣いた。
あたし達は、本物のバカップルだ。
最後は燃えかす。余熱だけで付き合ってたんだと思う。指輪は彼に返した・・・・。
それ以来、私はもう、彼に会うことは無かった・・・。今度こそ、本当にさようなら。